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2017年の注目商品はコレだ!

2017年の注目商品はコレだ!

 2017年の新製品のトレンドをコラム「目利きが斬る」を執筆する専門家5人に占ってもらった。自動車では自動運転技術の進展が、家電では新規参入組の動静が注目点となりそうだ。パソコンやスマートフォン(スマホ)の進化も続く。

自動車

 地球温暖化を防ぐには自動車が排出する二酸化炭素(CO2)の削減が急務であり、ゼロエミッションの電気自動車(EV)化に大きくかじを切ったトヨタ自動車の動向が注目される。内燃機関のエンジンを製造しない自動車メーカーが、このチャンスに数多く誕生するかもしれない。

 自動運転は民間だけでなく国も後押ししている。この開発過程で「自動ブレーキ」など、現在でも安全性を向上させる技術が数多く開発されてきている。今年はこうした有用な技術を標準装備した車が数多く誕生するであろう。しかし性能はピンからキリまであり、カタログだけではその有効性は分からない。国土交通省と自動車事故対策機構などが安全性能の評価を公表しており、これを参考にしてほしい。

部分的に自動運転を実現した日産自動車「セレナ」

 前方の障害物を感知するセンサーは、カメラによる画像解析技術、ミリ波レーダー、赤外線レーダーなどの情報を分析して行う。悲惨な交通事故を回避できる自動ブレーキのセンサーはミリ波レーダーによるよりもカメラによる画像認識が適している。カラー画像化が徐々に進んでおり、交通信号の認識にも大きな役割を発揮するだろう。

 ただ自動車の完全な自動運転化はとても高いハードルを乗り越えなくては実現できない。

 走行区間が限定されていて道路のインフラがこれに合わせて整備される場合は不可能ではない。例えば高速道路や東京オリンピックでの選手村から試合会場への運行などがこれに合致する。

 ただ人間と自動車が混在する街中などではいくつもの難題が立ちはだかる。まず人間に生物的に備わっている「気配」を人工知能(AI)に感じさせるのが難しい。突然の陥没など、同じ道路を数分前に走行した車が取得した最新の地図情報を後続の車が入手するような仕組みはデータが膨大になり、実現は現時点で困難だ。今年はどこまで進むのかに注目したい。

 高齢者によるアクセルとブレーキの踏み間違いによる交通事故の防止も課題だ。筆者は高齢者がペダル感覚が鈍いスニーカーを履いていることにも問題があると感じている。こうした対策も周知されるべきだろう。

(自動車評論家 米村太刀夫)

家電

新発想の炊飯器、「バーミキュラ ライスポット」

 2017年の家電業界は、新規参入や新興メーカーの台頭により、多様化が進むだろう。

 高級機種が好調の炊飯器。この市場に昨年末、ホーロー鍋メーカー愛知ドビー(名古屋市)の「バーミキュラ」が参入した。10万円前後の高級炊飯器は大手家電メーカー6社が経験と技術を集結して開発に取り組む激戦区だ。異業種からの参入は非常に珍しい。

 新製品「ライスポット」は、大手の精密な構造に対し、加熱部にホーロー鍋をセットするだけの至ってシンプルな構造で、保温機能や多彩な炊き分けメニューもない。

 また、かまどで炊いたごはんを目標としている大手に対し、あくまでガスと鍋で炊くごはんを目指したという。電気調理鍋として料理ができることも強み。大手と全く方向性が異なる製品コンセプトが注目を集め、発売前から予約が殺到した。

 似たような現象は、高額の扇風機やトースターのヒットが記憶に新しい。その製品を手がけたバルミューダ(東京都武蔵野市)も、1月に炊飯器市場に参入する。目新しさがなくなった定番家電をよみがえらせる開発が得意な同社は、きっと大手が思いつかない新しい提案をしてくるだろう。

 また最近は、大手が得意とするファミリー向け仕様の製品より、新興メーカーが得意とする少人数世帯向けの製品が受けている。今後もこの傾向は続くだろう。力をつけた新興メーカーが大手の領域に参入し、変化が起こると予想される。

 大物家電にも新規参入の動向が見られる。3月には、全自動衣類折りたたみ機「ランドロイド」の先行販売が始まる。自動化できない家事の代表と言われていた「たたむ」が、いよいよ実現される。「ランドロイド」の開発から販売を手がけるのは、ベンチャー企業のセブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズ(東京・港)、パナソニック、大和ハウス工業の3社による共同出資会社だ。このように、家電のロボット化・IoT化には、家電メーカー以外の企業の力が必要になってくる。

 今後は階段掃除や片付けのように、不可能だと思われていた家事も可能になるはず。様々な業種からの新規参入が進めば、大手の看板の威力も変化していくだろう。

(家電コーディネーター 戸井田園子)

マンション

伊藤忠アーバンコミュニティの研究会がまとめた小冊子

 マンション管理を手がける伊藤忠アーバンコミュニティ(東京・中央)は2015年5月にマンションの未来を研究する「100年マンション研究会」を発足させた。これまで建物の老朽化と住民の高齢化が進むと、何十年か後にマンションを解体して売却清算または建て替えを選択するしかなかった。

 それに対して、新研究会は発想を転換。マンションを100年継承させることを目標に、(1)共用部の再生(大規模修繕工事+再生リノベーション)(2)専有部の再生(給排水管・設備・間取りのリフォーム)(3)生活価値の再生(コミュニティー形成)(4)環境価値の再生(植栽リノベーション)――という4項目を実施して、マンションの活力を維持・向上させることを目標にした。

 具体的には、各管理組合の理事が参加する勉強会や見学会を実施したり、研究会の研究員が特定の管理組合を対象に修繕計画や100年計画を立案し、将来像を考える参考にしてもらったりしている。

 発足以来、各地でセミナーをすでに10回ほど開催した。16年3月には炭鉱時代の建物が残る軍艦島(長崎県端島)への研修旅行も実施した。

 伊藤忠アーバンコミュニティは13年10月から14年4月まで「イトーピア豊玉マンション」(東京・練馬、1976年完成)の耐震補強・大規模修繕・再生リノベーション工事を実施。その工事前後の様子を実例集として小冊子にまとめた。

 同研究会は「この国のマンションが目指す、新しい未来のカタチ――100年マンションの育て方」と題するA4サイズのおしゃれなノートも作成した。ページをめくると4人の研究員が登場。「マンションの寿命は何年?」「建物100年化は2つの軸で」「年を重ねるほど便利・安心・きれいに」など複数のテーマについて、味わい深いマンション論を述べている。

 17年はこのような試みが、伊藤忠グループという一企業の枠を超えて、業界全体に広がっていけば望ましい。

(建築&住宅ジャーナリスト 細野透)

IT製品・サービス

「ヨガブック」には物理的なキーボードがない

 キャリアから携帯電話通信回線を借りて独自の通信サービスを提供する仮想移動体通信事業者(MVNO)の利用者は順調に増加している。総務省の調べによると、昨年9月末現在、SIMカード型が762万契約(6月末比12.4%増)となった。携帯電話契約全体に占める割合はまだ5%程度で、市場の伸びしろは大きい。

 ただ、事業者数も今や600社を超え過当競争に陥りつつあり、再編も始まっている。技術面とブランドイメージの確立の両方で努力しないと利用者増は難しい。

 パソコンでは、一部の高級機が人気を集めている。マイクロソフトの「サーフェスブック」やアップルの「マックブックプロ」は高額にもかかわらず、入手が難しいほどだった。高級機をラインアップする意味の一つは利用者に「いつかは高級機を買いたい」と思わせてロイヤルティーを高めることだが、両者ともその成功例だろう。

 一方、タッチパネルを光らせてキーボード代わりにするレノボ「ヨガブック」のように、先進的なアイデアを採用した製品も面白い。もっと増えてもいいのではないか。

 サービスで注目したいのがビジネスチャットだ。コミュニケーションの速度を数段アップさせ、メールを過去のものに変えてしまう可能性を持ち、マイクロソフトがこのジャンルへの参入を決めた。世界的に見ると、米スラックが利用者数で大きくリードしており、機能面でも進んでいる。まだ日本語への対応が不十分だが、日本語完全対応となれば勢力図は大きく変わるだろう。

 もうひとつ見逃せないのが、2020年に小学校でプログラミング教育が必修化されることだ。教員向けの研修や生徒向けのワークショップ、スクールなどで大きな市場ができると考えられる。ただIT業界での人材不足は深刻になりつつあり、指導者をどう確保するかが課題だ。

(テクニカルライター 森谷健一)

デジカメ

2つのカメラを搭載した「iPhone7プラス」

 スマートフォン(スマホ)で撮影した写真をSNS(交流サイト)などでシェアし、多くの人に見てもらうのが一般的になっている。これに伴いデジカメ市場は縮小しているが、一方で写真ファンが急増していることも確かだ。

 そこで注目されるのがスマホ内蔵カメラの機能アップだ。年々、画質の向上は見られていたが昨年はアップルのiPhone7プラスをはじめ、いくつかのスマホがひとつのボディーにカメラを2台搭載したモデルを発売したのだ。iPhoneは広角と望遠が手軽に切り替えられるようになり、ファーウェイのP9などはカラーカメラとモノクロカメラの搭載で表現の幅が広がった。

 カメラの進化はスマホの新モデルの注目ポイントであり、心臓デバイスであるイメージセンサーを供給するソニーのようなメーカーが鍵を握っている。

 純粋なカメラの分野でいえば、小さく安価なだけのコンパクトデジカメの市場はほぼ無視していい規模となってしまった。注目はレンズ交換式の本格システムカメラである「一眼レフ」と「ミラーレス」という2つのジャンルだ。

 信頼性と動くものを追う能力はまだ一眼レフの方に一日の長を感じるが、ミラーレスも徐々に追いつきかけている。

 今年は一眼レフメーカーであるニコンとキヤノンから本格的な高画質を追求した「35ミリフルサイズセンサー」を搭載したミラーレスモデルが登場すると予想する。いよいよ全メーカーがミラーレスを小ささを最大の特徴にしたカメラではなく、本格的なカメラとして注力してくるはずだ。

 またリコーの「シータ」などに代表される360度方向を一度に写し、仮想現実(VR)映像として楽しめるカメラも多数登場することが予想される。こちらはメカ部品が少なく小さなメーカーの参入も期待できる。ただ数年前の3Dテレビのように、小さな波が過ぎた後は開発と普及の進歩が停滞する可能性もあるので、このあたりにも注目していきたい。

(テクニカルライター 吉村永)[日経産業新聞2017年1月5日付、日経電子版から転載]

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