日本経済新聞 関連サイト

OK
[ skill up-自己成長 ]

やる気スイッチを入れよう(23)面接の「身だしなみ」で
服装よりも大事なこと

菊入みゆき authored by 菊入みゆき明星大学特任教授、JTBコミュニケーションデザイン
ワーク・モチベーション研究所長
やる気スイッチを入れよう(23) 面接の「身だしなみ」で<br />服装よりも大事なこと

 就職活動の準備が本格化する時期です。スーツやシャツの形、靴下やストッキングの色など身だしなみに気を使っている人は多いと思います。

 しかし、身だしなみはこうした服装だけの話ではありません。

「うちの面接、辛いですか?」

 4年生からこれまでの就活について話を聞く機会があります。Tさん(男子)はこんなことを言っていました。

 「就活の最初のころ、ある会社で『うちの面接、そんなに辛いですか』と言われたんです」

 緊張のせいもあって極度のしかめっ面で入室し、質問をされるたびに辛そうな顔をしていたらしいのです。

 「そんなに恐いことを聞くわけじゃないので大丈夫ですよ。リラックスしてくださいね」と面接官が場を和ませてくれ、Tさんは少し肩の力を抜くことができました。

 さらに、面接官はこう言ったそうです。「緊張するのは仕方ないと思いますが、面接を苦行のように考えないで下さい。少しでも前向きな気持ちを見せてもらえると、面接をする側としても嬉しいですね」。面接官もベテランになると、このように、就活生のためになるアドバイスをしてくれることがあります。

 身だしなみというと、スーツや靴、バッグなど、服装や持ち物に関するマナー等をイメージします。しかし、気持ちの面でも身だしなみを整えることが大切です。

 今抱いている気持ちを面接官に見せたら、どのような印象を持たれるかを考えてみてください。Tさんが出会った面接官が言うように、「前向きな気持ち」を持つことは「気持ちの身だしなみ」の基本です。Tさんは服装の身だしなみは整えましたが、「気持ちの身だしなみ」が不足していたのでしょう。自分では意識していなくても、イヤイヤ面接を受けているような印象を与えてしまったのですね。

内発的なモチベーション(やる気)を持つ

 前向きな気持ちとは、まさにやる気のことです。やる気の中でも「気持ちの内から湧き上がるようなやる気」、すなわち「内発的なモチベーション」です。内発的なモチベーションは、興味があるからやる、やることそのものが面白いから進んでやる、という気持ちです。逆に、納得していないのにイヤイヤやるのは、外発的なモチベーションです。

 内発的なモチベーションを持って面接に臨むのは、応募先の企業や面接官に対する礼儀です。その意味で身だしなみと言えるのです。

 また、内発的なモチベーションは「結果」につながることがわかっています。例えば仕事であれば、内発的なモチベーションを持って臨むと、お客様から喜ばれたり、売り上げが上がったりします。学習に対して内発的なモチベーションを持てば、理解が深まったり成績が上がったりしやすいのです。逆に外発的なモチベーションは、結果につながりにくいのが特徴です。

 面接の際にも、内発的なモチベーションを持つことが、結果につながりやすいと言えます。面接官は、イヤイヤやる人ではなく、内から湧き上がるモチベーションで結果を出してくれる人を採用したいからです。

 では、どうすれば面接や就活に対する内発的なモチベーションを高めることができるでしょうか。

「自分で決めた」と思う

 自分で決めたのだ、という「自己決定感」は、内発的なモチベーションを高めます。「自分が選んだ会社なのだ。自分で選択して、この面接を受けるのだ」ということを、しっかり意識しましょう。

 最初にこの会社を選び、エントリーシートを書いたのは自分です。たくさんの会社の中から、自分が選び取ったのです。エントリーシートを見てあなたを選んだのは会社の担当者ですが、面接を受けるか否かを選んだのは、やはり自分です。イヤなら受けなくてもいいのです。

 面接の準備をしているうちにこうした「自己決定感」が置き去りにされ、あたかも、無理やり「やらされ」ているような気分になることがあります。意識して「自分で選んだのだ」ということを思い出しましょう。

 それにはまず、応募先の企業に興味を持ちましょう。企業研究をするときも「どんな会社なんだろう」「お客様第一ってサイトには書いてあるけど、お客様って誰だろう」など、頭の中にイメージを描きながら調べてみましょう。

 また、面接に臨む際も「失敗しないように、うまくやろう」と思うよりも、「こんなことを聞いてみよう」「どんな雰囲気の会社なのだろう」と、具体的に知りたいことを念頭において、関心を高めましょう。そのほうが、結果的に「失敗しないでうまくやる」ことにつながりやすいのです。

 面接では、笑顔は本当に大切です。最初の一瞬だけでもいいので、笑顔になることを意識してください。面接官に対して、内発的なモチベーションをアピールすることができます。そして、もう1つ、この点が重要なのですが、笑顔は、自分自身をリラックスさせ、楽しさを感じやすくさせる効果があります。これによって実際に、内発的なモチベーションが高まりやすくなります。

 緊張していると顔の表情筋がこわばりやすいので、面接の前に、筋肉を柔らかくしておくといいですよ。声を出さずに、口の形だけで、「あ、い、う、え、お」を作ってみましょう。また、人差し指を一本立てて、横にし、上下の前歯で軽く噛むようにしてみてください。指に唇がつかないように、噛みます。笑った時と同じ筋肉を動かすことができます。

ふだんからできること

 面接のときだけ、内発的なモチベーションを高めて「気持ちの身だしなみ」を整えるのは、難しいことです。ふだんから意識してやってみましょう。

 ゼミの講義や部活動、アルバイト等の場面で、「気持ちの身だしなみ」モードに入れるようにトライしてください。ゼミの講義であれば「このゼミは、自分で選んだんだ」と確認し、しっかり予習を行って、講義の内容に興味を持ちましょう。そして、笑顔で先生や仲間に挨拶をしましょう。いつでもこのモードに入ることができると思うことで、自信も湧いてきます。また、実際に会社に入って、仕事に携わるときにも、大切な能力です。

 「気持ちの身だしなみ」を整えて、やる気スイッチを入れることは、納得できる就活につながるはずです。

「日経College Cafe」のお勧め記事はこちら>>