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[ liberal arts-大学生の常識 ]

気候変動の今 2017(2)東京五輪をきっかけに
「環境に配慮した暮らし」をつくる

authored by Climate Youth Japan
気候変動の今 2017(2) 東京五輪をきっかけに<br />「環境に配慮した暮らし」をつくる

 こんにちは、気候変動に取り組む若者団体、Climate Youth Japanの佐藤媛香です。私は東京五輪をきっかけに、日本がより環境に配慮した社会になってほしいと思い活動しています。この記事では私が思い描く未来の環境配慮型の暮らしを紹介し、この未来像を考えた経緯をお伝えします。みなさんも「東京五輪をきっかけに何かできるかも?」とわくわく感じて頂けたらと思っています。

「環境配慮」が生活に溶け込んでいるドイツの暮らし

2週間滞在したドイツのレーゲンスブルク

 「これもビオマーク(有機農法認定マーク)がついているのよ」と朝食のヨーグルトを指さしながらホームステイ先のお母さんは言いました。今度は食べ終わったバナナの皮を指さし、「これはコンポストには入れられないの」と話しました。窓の外に目を向けると、家の壁に覆い茂ったツタから鳥が出てきて、木の枝にぶら下がった餌をついばんでいました。よくある朝食の風景の中にも環境への配慮が見え隠れしているように思いました。

 大学1年生の冬、私はゼミでドイツに3週間滞在しました。ドイツで過ごした日々の中で感じたのは「環境配慮型の暮らし」。断熱加工で暖房を使わなくてもよい省エネルギーのスーパーに行くと、商品の包装は少なく、多くのビオ商品とフェアトレード商品(発展途上国から適正な値段で原料などを購入している認定商品)が並んでいました。また、空のペットボトルを入れるとボトル代が戻ってくる機械までありました。そして街に出ると自転車道や路面電車が整備され、道路の脇、路面電車の線路、屋上や壁面には緑化がされていました。移動中の車窓からは多くの風力発電機、太陽光発電機を目にしました。

空のペットボトルを入れるとボトル代の一部が戻ってくる機械

包装がないビオ野菜

「環境配慮型の暮らし」は環境のためだけではない?

 なぜ「環境配慮の暮らし」を実現できたのか。私が最も驚いたことは、ドイツの人は環境配慮をしないといけないという"使命感"だけで生活しているのではなかったということです。

 ドイツではLEDに変えたほうが電気代を節約できる、ペットボトルを回収するとお金が返ってくる、というように経済的利益と環境配慮が結びついていました。また、ビオ商品を買うことも環境のためというよりその商品が健康に良く美味しいからという理由で、公共交通機関は便利だからという理由で選ばれていました。このように環境だけでなく多くの人が同意する他の動機があるからこそ、環境に配慮した暮らしが一般的に行われていました。

 私はドイツの暮らしの中に環境配慮が組み込まれており、そんな暮らしがポジティブにとらえられていることに衝撃を受けました。これほどショックを受けたのはそれまで「環境を意識して生活しなければ環境問題は解決されない」という強い使命感と危機感を抱いていたからです。そして、環境に関心のない人には憤りさえ感じていました。しかし、危機感だけでは多くの人を巻き込み、暮らしを変えることはできないと気づいたのです。人々が自然に選んだ行動が環境配慮に繋がるような政策を日本でも実施すればよいのではないか、と思うようになりました。

ホームステイ先のお母さん

公衆電話を再利用して、本の再利用スペースにしている。市民が自由に本を置くこと、持って帰ることができる

日本が変わるチャンス「2020東京五輪」

 「日本でも環境問題に自然と配慮できるような暮らしはできないか」、「そんな仕組みを整えられないか」と思い、私の所属するClimate Youth Japanで新たに東京五輪に向けた事業を行うことになりました。2020年東京五輪は大きなチャンスです。五輪は「平和の祭典」という意味もあり、IOC(国際オリンピック委員会)はオリンピックの精神に「スポーツ」と「文化」に加え、「環境」を第三の柱と制定しています。また、五輪で日本は世界に注目されます。東京五輪での取り組みがより持続可能性と環境に配慮されたものであれば、それをモデルとして日本と世界に広がる可能性を秘めています。

 Climate Youth Japanの東京五輪事業では、東京五輪における『持続可能性に配慮した運営計画』に若者からの意見発信と意識啓発を目的としたイベントを行います。この事業によって持続可能性に対する関心が高まり、人々がポジティブに「環境配慮型の暮らし」の未来像を描けるようにしたいです。

 東京五輪を機に、ビオやフェアトレードのお店が増える。自転車道の整備が進む。排気ガスをださないバスが普及する。建物の省エネ化が進む。街路樹や壁面・屋上の緑化が広がる。人が太陽光パネルを持ち運ぶ。人々は利益や健康、心地よさを求めてそれらを選択する。それが私の思い描く「環境配慮型の暮らし」です。あなたはどんな暮らしの未来像を描きますか?私と他の若者と一緒にオリンピックと持続可能性をテーマに未来像を描いてみませんか?

東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の方と

 2017年2月11日(土)に東京・高田馬場の「エムワイ貸会議室 高田馬場 Room AB」で、「東京オリンピック・パラリンピック、どうなってるの?〜持続可能性を考えてみよう〜」イベントを開催します。詳細はこちら:http://climateyouthjapan.org/?p=1669またはhttps://www.facebook.com/events/1116966335087947/

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