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「ル・コルビュジエ? 誰それ?」から始まった芸大生活

あなたと建築したい!(2)

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NIKKEI STYLE

どうも、都築響子です。連載の第2弾は学生編です。前回はただの高校生が1年発起で恋心を胸に東京芸大を受験し合格するところまで書きました。今回は、東京芸大に入学後、私が出会う試練と、私が頭に建築を乗せるに至る前段階のお話です。

ようこそ建築ワールドへ

東京芸大に入学後、初めてのひとり暮らし、全てが新鮮な毎日で、これから始まる華のキャンパスライフに胸躍らせながら最初の講義にむかいました。そんな私をまっていたのは"自己紹介"でした。

芸大は1学年がとても少なく、他の工学部建築学科などでは1学年200人くらいいることも普通ですが、東京芸大の建築科はたったの15人しかいません。なので、1年生の最初の講義ではお互いを知るために、そして先生に知ってもらうために自己紹介があります。

ただの自己紹介であれば、笑顔で「つづきです! 愛知から来ました!」と簡単に答えていましたが、そうはいきませんでした。ゆったりとした足取りで現れたハムスターのように小柄で優しそうな教授は言います。

ハムスター教授 「芸大建築に入ってきた理由と今後の抱負を言いなさい」

まわりのみんながル・コルビュジエやミース・ファンデルローエ、安藤忠雄など、建築を勉強する人として知っていて当然の有名建築家の名前をあげながら自分の抱負を語っていました。そんな中で私は「ル・コルb...ジe...何これ?呪文?」と、建築科に入ったにもかかわらず、自分がたったの1人も建築家の名前を知らないということに気づき、そして困惑しました。

結局、自己紹介は他の建築志望者のような立派なものではなく、いたって普通の自己紹介をすることしかできませんでした。ハムスター教授は学生の似顔絵を描きながら微笑んでいましたが、入学早々、思い描いていたのと違い、不安を持ちながら大学生活がスタートします。

そもそも、私は大学に入るまで"建築家"という職業があることも知りませんでした。建築家と大工さんは同じものだと思っていたくらいです。大学に入ってから講義や書籍を通じて建築家とは建物をデザインする職業だということを知りました。"建築家"という職業は計算や法律、自然や人の動き、様々なものを想像、考慮して設計ができる人であり、海外ではお医者さんと同じくらいすごい職業として認識されています。

今になって思うと、受験のときも数学などの勉強や絵、立体物の創造力やそれを説明する文章力を試されていた気がします。

何もできない15分の1

そんな私ですが、1年生の課題は有名建築の模型を作ったり、家具のデザインをしたり、光のフィルターを作る課題など、難しいところは同級生の子達に助けてもらいながらなんとかこなしていました。

最初は、1年で芸大に合格してしまうなんて私ってすごいんじゃないか? なんてことも少しは思っていたのですが、周りの子達のすごさを目の当たりにして、それはまぐれだったと思い知らされました。

能力としても長けたものを持っていて、私の課題を手伝ってくれるような性格も良い友達を私はとても尊敬していて大好きでした。しかし同時に、「私は何もできないぞ」と、自分の無力さをいつも感じていました。

「厳選された15人に選ばれ、国立大学で税金を使って学ぶんだから、君には責任がある」という大人の声。「芸大に入るなんて凄い!」「優秀な子だね」といった地元の人たちや、同級生からの悪気のない賛美の声は、18歳の私には大きなプレッシャーでした。

たった15人の同級生は一人ひとりが何かに長けており、パソコンが得意で3Dソフトを使いこなす子、細かい作業が得意で建物についたサビまで表現した模型を作る子、前回の記事で登場したギャル美ちゃんの描く絵はこの15人のなかでも群を抜いて上手でした。そんなすごい子たちの中に紛れ込んだ普通の子が私だったんです。そんな1年目を終えて2年生になりました。

クラゲのように流れ漂う日々

2年生の課題で同じ形の物(ユニット)を大量に作ることで車庫くらいの大きさの構造体を作りました。作品名は『Seaweed』。海藻という意味です。自由な方向に軽やかに増殖して、海の中のように揺れるけど倒れず自立する。というコンセプトです。

よくしなる竹ヒゴを使って作成しており、しなることで誤差を回収し、伸びる方向の自由度を高めます。3種類の接合パーツを3Dプリンターで作り、さまざまな方向に繋げていけるようにしたり、竹ヒゴの密度も調整できるようにしました。

単に重くしっかりとしたものを、安定感がある形で作って同じ方向に伸ばすだけではありきたり。完成を想像できてしまって挑戦するのには面白くないと思い、写真のように軽く、一見安定させにくい素材を使い、組み立てる時にも楽しく創造性を発揮できるものを作りました。この課題では、担当助手さんの手も借りて学外コンペにも出品させてもらい、そこで優秀賞をいただきました。

1年生、2年生となんとかうまくやってこれたので、周りのすごさに圧倒されながらも、このままでもいいのかな? と思って、なんとなく毎日を過ごしていました。しかし、そんな2年の最後に、思いもよらない事件が起こります。第3弾に続く......。

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