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[ career-働き方 ]

就活あきらめないで
未定の4年生、大学が支援

就活あきらめないで<br />未定の4年生、大学が支援

 最後まで諦めずに就職を目指して――。今春卒業予定の大学生の就職内定率が9割を超えるなか、大学があの手この手で進路未決定者の支援に乗り出している。職員総出で個別相談に乗ったり、卒業間際まで学内で会社説明会や採用試験を行ったり。取り組みからは「ひとりとして見放したくない」との大学側の思いがうかがえる。

 近畿大学は卒業が近づきながら進路が決まらない文系4年生を対象に、2015年度から職員総出の支援体制「TSUNAGU(つなぐ)プロジェクト」を実施する。経理や総務など普段、学生と接しない部署を含む職員約50人が「キャリアアドバイザー」(CA)に就任。卒業半年前の時点で進路報告がない学生を分担して就職支援の専門部署、キャリアセンターにつなぐ。

 近大によると、この時期に内定を得ていない学生は同センターなどの情報をうまく活用できずに孤立しがちだ。そこでCAが兄や姉のような存在となって相談に乗り、心強い応援団を目指す。

 CAのひとり、島田政之さん(30)は財務部の中堅職員。学生とメールや電話で連絡を取り合い、本来業務の合間にキャンパスで落ち合う。時にコーヒーを飲むなどしながら信頼関係を築き、「一番やりたいことを聞き出し、できる支援を一緒に考える」という。

 「公務員試験に専念していたので、ほかの進路が思い浮かばない」「スポーツや音楽関係の夢が諦められず、就活に乗り出せない」。進路未決定者の事情や状況は様々だ。それだけに「人生の先輩として気づきを与える意義は小さくない」(同センター)。職員の多くは学生と関わることを望んで大学で働いており「CAは皆、熱心に取り組んでいる」(同)。

 ゲーム業界を中心に就職活動を続けてきた4年の男子学生はCAとの面談を経てキャリアセンターを訪ね、年が明けても会社説明会があると知った。「まだ迷いもあるが、他の業界にも挑戦する勇気が出た。精神的に楽になった」と話す。

近畿大学では卒業間近の4年生に就職活動の支援を行っている(2016年12月、大阪府東大阪市)

 つなぐプロジェクトは15年度、就職を目指す文系4年生の約1割にあたる382人を年末から支援し、152人の就職や進学につなげた。今年度は成果を高めるため1カ月前倒しして昨年11月から277人を支援する。

 キャリアセンターの鈴木仁課長は「就職先が決まるのに越したことはないが、絶対的な目標ではない。(内定すればよいというのではなく)なるべく学生が望む形で就職先を決め、卒業させるのが使命だ」と語る。

 就活を乗り切るには家族の理解も必要だ。大阪経済大学では、保護者に夏ごろ就職情報の資料を郵送し、家庭内で話し合う機会を提供する。

 卒業間近の2月時点で進路が決まらない学生については保護者を加えた「三者面談」を実施。大学に寄せられた求人情報の中から本人の適性などを踏まえて勧める。毎年、同学年の1%にあたる20人ほどが参加する。

 黒正洋史・進路支援部長は「学生が自分の適性を客観視するのは難しい。大学と家族が一緒になって支えることで、本人に合った仕事を見つけられる」と話す。

 明治大学では4年生を対象に10月から翌年3月までの毎月、企業を招いて学内説明会を開く。毎回、5~10社の担当者が集まり、時には社長が出席する場合も。学生が望めば学内で筆記試験や面接を受けられる。

 企業の本社などで行われる従来型の試験や面接では、緊張のあまり実力を発揮できない学生もいる。「学内なら堅苦しくならず個性を出しやすい。その場で内定が出るケースもある」(就職キャリア支援部)という。
(藤井将太、岩沢明信)[日本経済新聞朝刊2017年1月16日付、日経電子版から転載]

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