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女子大生建築家の誕生 ~処女作の裏話~

あなたと建築したい!(3)

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NIKKEI STYLE

どうも、都築響子です! 連載の第3弾は学生編その2です。前回は芸大建築に入学し、周りの凄さに圧倒されながら自身の無力を痛感しながらも、なんとなく過ごしてきた1年生、2年生の自分をお伝えしました。今回は、東京芸大2年生の終わりに出会う、強敵「カピバラおじさん」のお話です。

カピバラおじさん現る

2年生も中盤、ある講評会のあと、突然現れた初めて見る先生(カピバラに似ているのでカピバラおじさんとします)に初対面で言われた言葉に驚きました。

カピバラおじさん 「これ、本気でやってないよね? 君は今後、建築をやる、やらないってところから真剣に考えたほういい」

私は心の中では「なんで初対面の人にこんな失礼なことを言われないといけないの? 嫌な人。あの人にはもう会いたくないなぁ」と思っていました。同時に、ずっと私の抱えている不安を見透かされてしまったような気持ちになりました。

後から、そのカピバラおじさんが次の課題の担当助手さんであることを知りました。芸大の課題は毎週提出があるので、その人に会いたくないと思っても、必然的に毎週会うことになります。とても憂鬱な気分になったのを覚えています。

課題のテーマは「サスティナビリティな住宅」。つまり、とても簡単にいうとエコな建築を考えよう! というものでした。なんとなくやってきたことが通用しなくなり、これまでは「これ合ってますか? どうですか? 教えてください」というような相手の反応を待つ、受け身のスタンスでしたが、ここで初めて能動的に攻めに転じました。

この人に何か言われるのは嫌だ。だけど、毎週会う。なら文句を言われないようにしよう! そう考えて自分で疑問を立て、情報を集めて、実際に設計し、模型を作りひたすら前のめりに取り組みました。その結果、カピバラおじさんから嫌なことは言われなくなり、最終の講評会にもあげていただきました。

嫌なことを言われたくない。だけど会わなくてはいけない。逃げ場のない中で出てきた策が、嫌なことを言われない方法(防御する方法)は、相手が文句のつけようのないものを作れば良い!(攻める)でした。これぞ「攻撃は最大の防御!」です。

そんな中できた作品が『moss』という苔でできた建築です。

「苔がある場所ってなんだか涼しい」。そんな経験から生まれました。苔の光合成による蒸発熱と、土壁の蓄熱性・調湿性を活かし、土壁に苔を貼り付けました。すると、夏は苔に水をあたえた時、光合成をして生まれた冷えがゆっくりと建物の中に浸透し、室内が外よりも少し涼しくなります。対して冬は苔を乾燥させることで建物が空気の層をまとった状態になり外の冷気を断熱します。という設計です。

できないことは先人を頼る

この『moss』は私が初めて積極的に設計した建築だったのですが、講評会では「実際には建たない」と言われてしまいました。私は「そんなあ?!」とがっかりしました。そして、どうしてもそれが信じられなかったので実際に建てみよう! と思いたち、さっそく行動に移りました。

しかし、建築学生というのは図面が描けても在学中に実際の建築を建てる、というのはとても稀なことです。自分にも周りにも何も情報がない。図面はあるけど、どうすればこれが建つのかわからない。そこで、私はいろんな人に聞くことにしました。アポをとって、会いに行って話を聞きました。大工さん、苔の専門家さん、土壁の専門家さんなどなど。

気付けば20人もの方のお世話になっていました。この経験はとても勉強になり、この素晴らしい経験を1人で味わうのはもったいないと感じました。実際に家を建てるとなると人手も必要だったので、このプロジェクトをワークショップ形式にし、毎回専門家の方に来ていただいて、一緒に作っていくプログラムを組みました。

題して『創って話して学ぶ、建築ワークショップ 苔と茶室の座談会』

場所を実家のある愛知に決め、その時東京にいた私はツイッターで参加者を募集しました。影響力を持っている学生団体の代表さんやフォロワーの多い人に拡散してもらうように頼んで広めてもらい、2週間で総勢50人を超える人が集まり、ワークショップは大盛況でした!

少ない予算と時間で作ることを考慮して当初住宅だった設計案を茶室に設計し直しました。お茶室らしい4畳半の室内でにじり口から入ります(写真の左壁にある小さな扉です)。個室としての使い方の他に、蔀戸(しとみど)になっている障子を開き、庭も使って屋外で行うお茶会である野点も楽しめる2wayの茶室です。

植物のように、水をあげて愛でるられ育てる建築になるように、可愛らしいフォルムに三角屋根をかぶせました。そして、『苔庵』という名前をつけました。

最初に言ったように私は他のみんなに比べて何かに秀でているわけではありません。どちらかというと、自分は何もできなくて、周りの人をかっこいいと思い羨ましがって、いつも自分の劣等感に悩んでいます。だけど、劣等感に卑屈になりネガティブな人よりも、とりあえず笑って明るくポジティブな方が愛おしくないですか? だから、私は「明るく楽しく」をモットーにしています!

自分に能力がなくて1人でできないなら、できる人とやればいい。できる人に教えてもらえばいい。そう考えていつも活動しています。そして、このワークショップを企画し、拡散し、茶室を建てたことをきっかけに、私のところに様々な方面から協力の依頼がくるようになりました。自分が思っていた以上にこのことは話題になっていたようです。

これがきっかけとなり第1話で最初に見ていただいた"頭に建築を乗せた私"が誕生することになるのですが、それはまた次のお話で。第4弾へ続く。

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