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[ career-働き方 ]

リアルタイム就活ストーリー(4)自己PRポイント発見 vs 情報の洪水

西山昭彦 authored by 西山昭彦一橋大学特任教授
リアルタイム就活ストーリー(4) 自己PRポイント発見 vs 情報の洪水
撮影協力:大東文化大学

 就一と活子、2人の3年生は、今月もまったく別の就活をしている。それぞれの行方はどうなるのだろうか。2人とも新たな変化を感じている。

キャリアカウンセラーが見つけてくれた「PRポイント」~活子

 内気な活子に対して、この道10数年で幾多の学生の内定をサポートしてきたプロの女性キャリアカウンセラーは言った。

 「あなたのPR点は、その地道な性格よ。誰かが見ていなくても、その仕事がやりたいものでなくても、あなたはゼミでは資料作りやセッテングをやり、サークルでは片づけや日記をつける役を進んでしているんでしょ。友達に、馬鹿正直とか縁の下の力持ちっていわれてる。会社は何も強いリーダーだけを求めてるんじゃないのよ。まじめにコツコツと会社を支える無数の社員がいるから成り立ってるのよ。あなたはその一員にぴったりじゃない」

 これまでいつも「成績が伸びない、要領が悪い」といわれ続けてきた活子。人生で初めて真正面から褒められ目頭が熱くなった。「この私がそのまま認められるなんて」

 「それでは、書いてきたES見せてね。うーん、まだまだ書き直さないとだめだけど...。この5歳から17歳までピアノを続けた話はいいわよ。その途中にはつらいことや障害がいっぱいあったはず。あなたはそれを乗り越えて12年間、そして大学でも3年間やってきた。これは目標に対する達成力、継続力の証になる」

 今までゼミとバイトを中心に書いてきたけど、趣味がそういう風に評価されるとは夢にも思わなかった。1時間があっという間だった。部屋を後にした活子は、初めて就活をやれる元気が身体の中から湧いてくるのを感じた。がんばってみよう。

もしかして俺、出遅れてる!?~就一

 就一は、インターンの合間に、クラブのOB訪問を続けていた。そして、いつもの「先輩は面接で何を聞かれ、どう答えましたか」を聞き続けた。ヒントがあったりなかったりの日々。OBメモにはヒントが、手帳には予定がぎっしりだ。それをこなしていると、毎日内定に向かって進んでいる気がする。

 大学で、そして夜は大学・高校の友人との情報交換。「A商社は去年インターンから15名とったそうだ。Bメーカーは工場見学に呼ばれたら、一歩前進だって。C銀行は、リクルーターがつくかが分岐点だ」。来る日も来る日も情報の洪水。知らないことを聞くと、他の学生の一歩先を行っている気分になる。

 だが、受けない会社のディテールを知ったところで、実は何のメリットもない。単なる週刊誌ネタだ。必要のない情報まで必死に集めて、情報に振り回されている。

 「明日、飲もうぜ。近くに3時間『飲み放』あるから」

 友人5人で飲むと、そこでまた情報が飛び交う。とても消化しきれる量ではない。友人の話に「俺、そこ呼ばれてないな...」。いったん自分が遅れていると思い始めると、聞いた分だけ不安がよぎる。

 いつも自信満々なはずなのに、今日の宴会は妙に酔えない。「本当に、俺は勝ってるのか。もしかして俺の知らないところで、選考が進んでるのでは」。そう思いだすと、インターン先から声がかかってないことがとても心配になり、微かな震えが止まらなくなってきた。
(2017年2月8日現在)

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