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ニュースの見方(34)いよいよ就活シーズン
「面接」を怖がらないで!

戸崎肇 authored by 戸崎肇大妻女子大学教授・経済学者
ニュースの見方(34) いよいよ就活シーズン「面接」を怖がらないで!

 3月になると、いよいよ主要な企業で2018就活の説明会が始まりますね。大学3年や修士1年の皆さんにとっては、名実ともに就活が本番を迎えることになります。今回は就活のなかでも、「面接」について考えてみましょう。

ハウツー本頼みは?

 人気のある企業を受験する場合、面接にたどりつくのも至難の業になっています。だからこそ、面接に進んだら、是が非でもいい評価を得たいところ。そのためにはどのような対策が必要なのでしょうか。

 面接で成功するためのハウツー本は多々出版されていますし、大学や専門学校では就職対策として模擬面接が行われています。しかし、個々人の性格、バックグラウンドが違う以上、模範解答をその中に求めることはできません。最終的には自分で考えて、オリジナリティーを出していかなければなりません。

 ハウツー本の内容はみんなが読んでいるわけですから、その通りに受け答えすれば他人との違いを出せません。何よりも、面接官が飽きてしまう最悪のパターンになってしまいます。一日に何人もの応募者に面接しなければならない面接官にとって、面接は重労働です。だからこそ、気持ち良くコミュニケーションしていただくように努力することが大切です。

完璧な業界研究はない

インターンシップ説明会に参加する学生

 ここでは難しいバランスが求められます。自然体でありながら、学生らしく、誠実にふるまうことです。受験する企業が属する業界の研究はしておく必要はあるでしょう。でも、いくら研究しようが、面接官の知識に適うわけはありません。わからないことはわからないとはっきり認めることです。十分な知識を持っていないことを認めながら、自分なりの抱負を述べることができるかが鍵です。

 オタクっぽいとみられる場合には評価が分かれるかもしれませんが、マイナスになる場合が多いと思います。たとえば、筆者が昔、航空会社に在籍し、採用面接に携わったことがありますが、航空機のマニアのような学生さんにはいい評価はつけませんでした。会社の将来を背負っていく人材としては、できるだけ広い視野を持っていてほしいからです。

無理に即答しなくてもOK

就活イベントの様子

 面接官の質問については、何を本当に聞きたいと思っているかをよく考えた上で返答すべきです。ですから、場合によっては即答する必要はありません。質問の意図をよく把握するために逆に質問を返しても構わないのです。

 これは筆者が教えている学生によく話す例ですが、面接官から「尊敬する人物を挙げてください」という質問をされたとしましょう。皆さんはどのように答えるでしょうか。

 筆者の経験からすると、最も多いのは「父親」「母親」といった肉親を挙げる答えです。まだ、「父親」「母親」なら、ましかもしれません。「お父さん」「お母さん」といった子供言葉を面接の場で遣う学生が多いのです。

社会に関心を持とう

 面接官にとっては、この質問をすることで、受験生が、面接官も知っているどのような人物を尊敬しているかを探り、その人がどのような生き方をしようとしているかを理解しようとしているのです。それなのに、面接官があったこともない人物を挙げられてしまえば、たとえその人を尊敬している理由を挙げられても、話題が広がりません。それに、いわゆる歴史上の「偉人」の名前を一人も出せないようなら、歴史を勉強していないのだな、社会的関心も薄いのだな、という印象をもたれてしまうでしょう。

 そもそも、肉親、特に両親は尊敬して当たり前です。それをわざわざ「尊敬している」と誇張すること自体が滑稽に見えてしまいます。せめて一人くらいは尊敬できる歴史上の人物を挙げることができるようにしておきましょう。

「一番幸せな時は?」

 「一番幸せな時はどんな時ですか」という質問も反応が分かれます。「おいしいものを食べているときです」「お風呂に入っている時です」といった答えはお勧めしません。これらは人間の原始的な欲求にすぎないもので、まるで面白味がないからです。

 筆者は昔、ラジオで落語の師匠さんが同様のことをおっしゃっていたのを覚えています。

 これに対してその師匠さんは自分の答えとして、「自分の落語を聞いて観客の方々が笑っているのを見るときが一番幸せだ」と言っておられました。とても素晴らしい受け答えだと思いませんか。

面接官の目線を考えよう

 先ほど、言葉遣いの問題に触れました。面接に際しては、面接官、特に最終的な決定権を有する年齢が上の世代の人々は、皆さんとは違った語彙を用いることを認識しなければなりません。伝統的に使用されてきた、いわゆる「正しい日本語」です。

 この点、参考になる本があります。『カネを積まれても使いたくない日本語』(内館牧子著、朝日新書)です。題名自体が「使いたくない日本語」ですが、どういう点に注意して話せばいいのかを考える上でのヒントを与えてくれるでしょう。実は、この本の中に描かれている悪い例の1つは、どう見ても筆者のことのようです。深く反省しています。

 筆者が特に気を付けるべきだと考えていることは、一つ一つの文章をきちんと終わらせるように話すことです。「~で、~で」というように、全く文として完結しない話し方をする人が非常に多いのですが、面接官として評価すると、非常に聞きづらいものです。それに、このような話し方をすると、考えがいつまでもまとまっていない印象を与え、聞いているうちにイライラしてくるのです。逆に、話す際に一文一文を完結させるように話そうと心がければ、それだけしっかりと自分の考えをまとめることに集中できます。筆者はテレビなどでコメントする際、常にこの点に留意しています。

 とにかく面接は、短い時間での真剣勝負。その中では緊張するために、日頃のあらゆる癖が出てしまうものです。せっかくの貴重な機会を台無しにしないよう、日頃から、面接を意識した日常生活での「訓練」に取り組みましょう。

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