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自分らしく多様性社会を生きる(3)小学生でもできる、夢の実現の仕方

岩澤直美 authored by 岩澤直美Culmony代表、早稲田大学3年
自分らしく多様性社会を生きる(3) 小学生でもできる、夢の実現の仕方

 「やりたいことが見つからないのですが、どうしたらいいですか?」という問いをよく見かけますが、これについての私の意見は前回の2つの記事でざっくり紹介しました。自分の視野と機会を広げ、そして自分とよく向き合うこと。少なくとも、私はこのようにして夢とビジョンをより明確化できたと感じています。今回は、前回に引き続き、それをどのようにして実現するか、のお話しします。

 多様な手段の選択肢にさえ築くことができれば、小学生であろうが、大人であろうが、実現に必要なステップは踏むことができます。次の図をご覧ください。

 これは、私が運営しているCulmony(カルモニー)で、小学生向けに展開している多様性教育のカリキュラムの一部です。私自身の「行動をするまで」という考え方に基づいて作られています。スケールや年齢の差はあれど、私も小学生も同じように段階を踏んで行動をすることができるのです。ご説明します。

 まずは、私の場合。これも図にしてしまいました。

 私が「多様性に寛容で、違いを愛せる社会」を目指して設立したCulmony(カルモニー)は、実行までにいくつかの段階がありました。まずは、自分が何に「興味関心」を持っているのかを理解すること。これは前回までの「自分と向き合う」時間から明確化されたものです。

 そこから、「調べる」で手段を選んでいます。そもそもの根本原因や問題の特定をしなければ空回りしてしまう可能性もあるので、ネットや本、人から情報を必要最低限得ることから始まりました。よく、「調べる」にこだわって、永遠とそこから行動まで移さない人は多くいますが、この「調べる」→「行動する」のサイクルは何度も回さないと成長しないと思います(ちなみに、この「調べる」は下準備・検証のためのものです。研究者など「調べる」を仕事にしている人は、ある特定の事柄を解明したり発表したりするための「研究」自体がこの図の「行動」になります)。

 そして、調べた内容を改めて整理し、どのような手段で行動するかを探るためのステップを踏んでいきます。私の場合は、「『無意識な差別』をなくすためには何をする必要があるか?」という自己設定した問題に対する答えを出し、それ理解することです。

 最後に、それを行動に移します。この段階ではじめて「イベント運営」「ブログ発信」などと言った、具体的な選択肢が出てきます。私の場合もこれは何度も変わっていて、はじめは「イベント運営」のみだったものが、「多文化理解カリキュラム作成」や「家庭教師事業」と増えてきました。これが今私がいるところですが、新しいイベントを企画するにしても、プログラムを考えるにしても、上の4つのステップに戻ってきています。

「行動することが大切」と話す岩澤さん

小学生がこれを実行したら

 冒頭で述べた通り、これは小学生でもできることです。簡単な例を挙げてみます。ある子どもは犬がとても好きで、日常で犬と触れ合うことが楽しいと感じています。この「興味関心」から、多くの子は親に「犬を飼いたい」とねだると思います。これは、「広告関係の仕事がしたい」から「広告代理店に就職する」、「教育がしたい」から「教師になる」と同じくらい、多くのステップを飛ばした解決法だということはご理解いただけると思います。

 「犬が好き」な子は、次に「どんな環境にいれば犬と触れ合えるのか」を知る必要があるので、「調べる」のステップに入ります。きっとここで、「ペットショップ」「犬カフェ」「犬と遊べる公園」「犬を飼っている友人宅」などの環境を知ることになります。

 その次の「理解する」のステップで、それぞれの環境のメリット・デメリットや、自分自身のいる環境による制限が把握されます。例えば、「住んでいる家がペット禁止だった」「友人は犬の散歩を毎日しているので、一緒に行くことならできる」「犬OKの公園が近くにあるため、放課後に遊びに行ける」などです。

 これらを踏まえて、日常で犬と触れ合える環境を求めて、やっぱり親に「犬を飼いたい」とねだるかもしれませんし、友人の犬の散歩を引き受けるようになるかもしれません。高学年であれば、犬と遊べる公園や、犬の保健所でボランティア(お手伝い)をすることもできるかもしれません。

課題解決プロジェクト

 もちろん、上記は日常で生活で起こりそうな例で、小学生で普段から課題解決をしようと行動している人は多くはありません。ですが、だからこそCulmonyでは異文化にまつわる課題を提示して、上記の4つのステップで表現や行動を行えるようなサポートをしています。例えば、次のような課題。

私(生徒)の家で近所に引っ越してきた人たちを集めて、ホームパーティを開くことにしました。招待をするのはスペインから来たソフィアちゃん(10歳・キリスト教・シャイな性格・歌とダンスが得意)の家族と、トルコから来たベンくん(9歳・イスラム教・サッカー好き・日本語が苦手)の家族です。二人とも日本に来たばかりで、まだ日本のことをよく知りません。みんなができるだけハッピーになって帰れるように、パーティーでどんなことをするのか、何を食べるのか、どうやってコミュニケーションをとるのかを考えて、実行してみよう。

 これには、計画をするにあたって多くのポイントが盛り込まれています。宗教や異文化の食事とマナー、言葉の壁、性格に関するペルソナなどに合わせて、具体的な計画を立てる必要があるため、「調べる」や「理解する」のステップを通して、それらを把握していきます。そこから「楽しんでもらおう」という課題を実際に数回のレッスンを通して達成していきます。

とにかく「課題」と「興味」に意識を向けること

 夢ややりたいことを実行して手に入れるまでの方法を、いくつかのパターンで紹介しましたが、結局はどれも「行動」という手段を通して実現されることに変わりはありません。待っているだけでは、何も変わらないからです。そして、その行動も、少しステップを踏むだけで、何倍も効率よく、より適切な手段となります。

 もちろん、夢や内容によっては、1日で行動して解決できるものもあれば、生涯かけて行動と検証を繰り返しながら夢に近づく規模のものもあると思います。私の場合も、複数のものが同時進行することもあります。大事なのは、「やりたいこと」と「そのための最善の手段」をよく理解しようとすることではないでしょうか。