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[ career-働き方 ]

みんなの食事(4)Mealink社会人部の立ち上げと、個人事業主としての一歩

もちゆか authored by もちゆかMealink総代表
みんなの食事(4) Mealink社会人部の立ち上げと、個人事業主としての一歩

皆の進路が決まる中、自分の進路を探る

 大学4年生の春になりました。就職活動をしないと決めた私は卒業前の1年間を使い、自分と3つの約束をしました。当時学生団体であったMealinkに社会人も参加できるフィールドをつくること、精神保健福祉士の専門学校の受験の準備、個人事業主として生活ができるようにすることです。

 大学4年生になり暫くすると、少しずつ周りの友人達の進路が決まってきました。そして、就職活動が終わると共に卒業旅行の話題等も多くなり、学生時代の最後を、各自それぞれに過ごしはじめていました。比べて私はというと、自分の方向性は決めたものの、"内定"のような約束を得られたわけでもなく、とにかく大学4年生の1年間を目一杯使い、自分の進路を造っていかなくてはと焦っていました。

 Mealinkを続けるといっても、特別な収益モデルがあるわけではありません。個人事業主をはじめるといっても、何か仕事があるわけでもない。専門学校に行くと言っても、学費もかかる。何もしなければ、4月からの収入は"0"になってしまう。当時の自分は今以上にお金も時間も限られていて、結局友人が声をかけてくれた卒業旅行も行きませんでした。がむしゃらにアルバイトをしながらその合間の時間で、自分との約束事を、1つずつ取り組みはじめました。

Mealinkのデザイナー、鈴木茜作成のチョークアートを持って

フードフェスタ出店の際に

大学4年生、社会人部を立ち上げる

 まずは当時学生団体であったMealinkに社会人も参加できるフィールドとして、「Mealink 社会人部」という組織を作ろうと考えました。作ろうと思ったのには、大きな理由が2つあります。1つ目は、「今の自分のように思いはあるけれど、何から始めたらいいのか分からない、誰に相談したらいいか分からない」。そんな学生にとって心から信頼できる存在に自分達がなることができたら、社会はよりよく循環すると思えたからです。とりわけ、食に関する学生活動をサポートできたら、もっと食から世の中が良くなると思えたのです。

 連載第2回でも少し触れましたが、10代の頃にMealinkを0(ゼロ)からスタートさせてから約2年間、組織内に先輩や上司はもちろん、この組織について相談できる外部のメンターも身近にいませんでした。そのため、何かしようと試みる度に社会という壁を感じていたのも事実です。

 ちょうど大学4年生の当時は、とある商品開発の案件でもめてしまい、弁護士の方からも少し力を借りている時期でした。もう少し身近に、同じ方向を向いた"仲間であり、お姉さん・お兄さんのような"存在がいたら、もっと活動が加速するのに。いちいち疑心暗鬼にならず気持ちよく活動ができるのに。キャリアについても色々相談ができるのに。そのようなことを思っていました。

 社会人部を立ち上げたら、これから入ってきてくれるであろう未来のMealink学生メンバーに対して、私達(当時の大学4年生メンバー)が、何か力になれるかもしれないと思ったのです。そこで、社会人部の立ち上げ当初には、まだ自分達が学生だったにも関わらず、学生サポート課という課もあったほどです(笑)。就職活動を終えたメンバーが、次に就活を控えているメンバーをフォローする機会等を設けてみたりもしました。

 2つ目はやはり、「Mealinkは社会人になっても取り組みたい、一生取り組みたい活動である」という思いでした。2年間様々な活動をしてきた中で、Mealinkとしてもっと挑戦したいことがたくさんありました。そして私の中でMealinkという組織や仲間に対しての愛情も日に日に増していきました。

 シンプルに"もっと活動を続けたい"と強く思ったのです。もちろん、たくさん悩みました。「本当に続けるの?」「学生時代だからうまくまわっているのだよ」「一度離れて、就職してみたほうが将来もっと大きなことができるよ」。すべて私の事を心配してかけてくれた言葉なのですが、自分の中でも手探りしている時期で不安だったこともあり、言われるたびに心が反応していました。

Mealinkitchen料理監修の若狭理玖、スイーツ監修の西舘映未と

社会人になったらもうやらないの?

 当時の私の周囲には、他の学生団体や組織に所属して幹部や代表を務める等、何かに対してとても熱い思いを持った友人や、横のつながりも増えてきていました。しかし、そのコミュニティの中でも、「就職どこにするの? 社会人になったら何するの?」という話題が増えてきました。「学生時代は皆の方が、私より大きな規模で素敵な活動をしていたけれど、社会人になったらもうやらないの? なんで?」という驚きや率直な疑問もありました。

 それぞれが本気で自分の将来を考えての選択であったことは、今であれば理解できるのですが、当時はそのようにとらえることができず、「学生の時に取り組むことと社会人として取り組むことは、やはり何かが違うのだろうか?」という自分の選択に対しての不安もありました。

Mealinkitchenの食材を囲んで

 しかし、自分の中では答えがでていたので他の選択肢をとることは考えられませんでした。不安があろうがなかろうが、とにかくやるしかなかったので、その不安を埋めていく努力もしました。その不安から救ってくれたのは仲間・情報・行動でした。とにかく、色々な人に会い、話して、自分の目で見て納得するまで動きました。

 ようやく社会人部を立ち上げたのは、大学4年生の8月31日(野菜の日)です。知人から、「社会人になってすぐは、皆忙しいから学生のうちに準備したほうがいい」とアドバイスをいただいたこともあり、自分自身も仲間も大学4年生のうちに、"社会人になったら"という想像をしながら、社会人部を発足しました。そして発足と同時に議論になった、「社会人部として何をしたらいいか」というアイデア出しの中で産みだされたのが、4年以上経った今でも続いている「Mealinkitchen」という、自分達で1から食材調達をして、料理を作りゲストをおもてなしするという食事交流会でした。