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[ career-働き方 ]

みんなの食事(5)自分の価値と対価、社会人1年目の葛藤

もちゆか authored by もちゆかMealink総代表
みんなの食事(5) 自分の価値と対価、社会人1年目の葛藤

自分の価値と対価

 Mealinkに、社会人が参加できるフィールドが一応できた。精神保健福祉士の資格をとるために通う、専門学校の入学準備も始まりました。あとは、仕事を作らなくてはいけない。当時はまだMealinkを法人化することは自分の中で想像できず、個人事業主としてお仕事をつくろうと考えました。まずは、フリーでお仕事をされている方のブログ等を読み漁ったり、御時間を頂いて会いに行ったりすることから始めました。

 しかし結局、当たった壁は今までも繰り返し模索していたことでした。「自分にしかできない、自分の価値はなんなのか」ということです。自分にしかできない価値が当たり前にあり、かつ、それを上手に表現できなくてはスタートラインにすら立てないのが、フリーの世界でした。いわゆる"自分のブランディング"にも悩みました。もちろんブランディングといっても、なにか特別なことができるわけでもなく、自分なりにできることを1つずつやってみました。

 当時、これだったら自分にもできるかもしれない! と感じていた「心」と「食」というキーワードに強くなるために様々な研究論文を読んだり、できる限り知識や実践力をつけなくてはと、資格をとってみたり無我夢中にやってみました。

 一方で表向きにも、自分の名前を覚えてもらいやすくするよう、「もちゆか」という名前に統一するようにしたのもこの時期です。肩書を作らなくてはと思い、「Foodoctor(食の医者)」という肩書にしていた時期もありました。自分のしたい活動のテーマを一言で表そうと考え、「愛され女子」というキーワードを使いはじめたりもしていました。色々と自分なりに試行錯誤していましたが、今でも続いているのは"もちゆか"という名前くらいです(笑)。

 そのようなことを自分なりにやってみては失敗して、やってみては上手くいかないを繰り返しているうちに、Mealinkをはじめとする、学生時代の活動を通して出会ってきた方などから、少しずつお仕事を頂けるようになりました。レシピを考えるお仕事や、コラムを書くお仕事、カフェのメニューを考えるお仕事、イベントを企画するお仕事、自分自身が講師となるお仕事等......多岐にわたりました。

 時給が100円もいかないのではないかというお仕事や、そもそも赤字になるのではというお仕事もたくさんありました。一方で頂ける金額ほど自分はまだ、何もできていないと思えるほど期待値を乗せた金額を頂くお仕事もありました。

 今でもお仕事として続いている「企業研修」のお仕事や「日本酒」とのご縁を頂けたのもこの時期でした。そうこうしているうちに、あっという間に卒業の年。世間でいう"新卒、社会人1年目"の年がスタートしました。

社会人1年目、自分の選択は正しかったのか

 社会人1年目は、いわゆる"パラレルキャリア"のスタートの年でもありました。自分との約束通り精神保健福祉士を取得するために、福祉の専門学校へ入学しました。また、Mealinkでは社会人部が立ち上がり、社会人メンバーも参加できるフィールドが少しずつ整ってきました。そして当時はまだ、アルバイトとかけもちしながらではありましたが、少しずつ個人として依頼して頂ける仕事も増えてきました。慣れないことが複数重なり、社会人1年目の夏頃までは特に、がむしゃらに過ごす日々が続いていました。

 専門学校は、1年間という短い期間で国家資格の取得を目指すコースであったため、平日はフルで授業があるのはもちろん、仕事と両立するにはタイトなスケジュールでした。専門学校への通学や国家試験に向けた勉強、個人事業主としての仕事やアルバイト、Mealinkの活動、プライベート......。

 ようやく夏過ぎ頃、少しずつ周囲のことが見えてくるようになってきたのですが、そこからが自分との戦いでした。「自分はこの先どうしていこうか」。そのようなことを悩んでは、答えが出ない日が続いていました。

 悩んでいたとはいえ、当時も頂くお仕事は本当にどれも楽しく、この先も関わらせてもらいたいと思える仕事ばかりでした。かつ、日本という国に生まれたことはとても幸運なことで、「どうやら、万が一個人事業主としての仕事がうまくいかなくても、他にもたくさんの選択肢があり、なんとか死なずには生きて行けそうだ」。そのようなことを感じては、学生時代に感じていた漠然とした不安が、少しずつ消えてきていたのもこの時期でした。

 しかし一方で、この先の延長線上にいる自分は、はたして自分が実現したいことを実現するための力をつけられるのだろうか。専門学校は食の分野での活動を志す自分に本当に必要だったのか。Mealinkは今後どのように活動を継続していくのがベストなのか。また、今後女性として結婚や出産をすることがあるのであれば、自分はどのようにキャリアを積んだらいいのか。そのようなことを考えては答えが出せずにいました。

 社会人1年目の年は学生時代と比較しても、日頃お付き合いさせて頂く方の年齢の幅も広がり、生き方の選択肢も増えてきていたのですが、それでもまだ、同世代の周囲の友人の進路や生活が気になっていたのも正直なところです。社会人1年目は周囲の友人達も、仕事はとても大変そうでしたが、ある程度安定的な収入があり、一緒に行く飲食店や、購入する商品も少しずつ大人の階段を登るかのように、変化していると私には見えていました。社会人1年目、自分の選択は正しかったのか。そのようなことを考えながら、なんとか自分の進路を模索していました。