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liberal arts-大学生の常識

私たちのリアル(19)就活で彼氏ができた人も 
情報収集の決め手は……

中村泰子 authored by 中村泰子ブームプランニング社長
私たちのリアル(19) 就活で彼氏ができた人も 情報収集の決め手は……

建前の就活スケジュール

 大学生にとっての一大イベントといえば、就活。今回は現在就活に勤しむ人たちにリアルな就活事情を聞きました。4月から8月、6月と何度も変わり混乱を招いている面接解禁日ですが、就活生たちはあくまで「建前」だと言います。実際は、会社説明会などで目をつけた優秀な学生を早くから「面談」や「質問会」、「お話」と称し、何度も会社に呼び出し評価している企業は少なくないようです。解禁日より前でも、多くの企業は選考を水面下で行っています。学生側も企業側も早期から互いのことを知ることが鍵となりますが、そのための手段としてインターンシップが白熱しています。

「インターンシップ」=「選考」

 学生は企業との接点を持てるし、企業にとっても選考の入り口として効果があると積極的に取り組んでおり、インターンシップ事情はここ数年で状況が急速に変わってきています。大学3年生の夏から数社のインターンに参加し、秋、冬、春も参加する人も少なくありません。インターンシップにも「参加すれば内定が近づく」「報酬がもらえる」「海外に行ける」など様々なタイプがありますが、一番多いのが参加すれば内定がかなり近づくタイプ。

 夏休み期間に第1回目のインターンを開催し、そこで本選考に来てほしい学生を対象に秋、冬と継続的にインターンを行い、早期に何度も会社に来て好感をもってもらう。企業によってはインターンに参加した学生は最終面接のみで内定を出すところもあります。

昨年2016年夏に教育関係の会社でハワイのインターンシップでイベント運営に参加した際の集合写真。総勢300名程

 報酬がもらえるタイプも学生には大人気。インターンに力を入れている企業の中には、20日間のインターン報酬が参加者全員に20万円、優秀者や最優秀者には内定と30万円~50万円というところもあります。

 その他海外経験ができるインターンでは、ニューヨーク・ロンドン・シンガポールなどに1週間滞在し、現地の店舗見学などを通して事業戦略を立案し、プレゼンするというものもあります。参加者は60名程度で、渡航費、宿泊費、食事代等全額支給されるとあって学生からも注目が集まっています。インターンの倍率は本選考より高く、100倍程度という噂も聞きました。

 企業と提携してインターンを授業に取り入れる大学も増えています。ゼミそのものがインターンという形に変化し、座学は初めの1、2回程度で後は全て企業に出向き実践するなどです。しかし、単位のカウントはされるものの、卒業単位の必須のゼミではないため卒業論文必須のゼミと掛け持ちしている学生がほとんどです。インターンゼミは就職活動と同じような面接など厳しい学内選考を潜り抜けた学生だけが受講できるプログラムで、就活力の高い人材を育成できるので、大学側は就職率を確実に上げ、学生側は単位・内定を同時に貰えると、両者のメリットは大きいようです。

インターンシップにラップトップは欠かせない! 大学生からの人気はMacbook Air

人気な企業、不人気な企業は?

 インターンはもちろん、本選考でも人気企業には共通点があります。「グローバル」と「ワーク・ライフ・バランス」が人気キーワード。今では「留学経験があっても英語が話せるだけではダメ、多様な人に働きかける力が重要視される」とよく聞きます。「ワーク・ライフ・バランス」は女子学生を中心に注目度が高まっています。結婚、出産しても仕事を続けたい女子学生は多く、就活の段階から明確に「何歳で結婚して出産する」とプランを立てている子も少なくありません。

 その他、ブラック企業かどうかのチェックも怠りません。大学のキャリア支援室には「ブラック企業注意リスト」が存在する学校もあります。過剰労働が表面化し、厳しく規制され始めた今、企業も長時間労働やモラハラなどの問題に敏感です。そこで「むしろ今が一番ホワイト」と思っている学生もいるという話を聞きました。

注意も必要!

 もう1つ学生たちが気にしているのが「オワハラ」。「就活終われハラスメント」の略で、早い段階で就活の打ち切りを要求されます。「他社の選考を今すべて辞退すれば内定をあげる」という話は日常茶飯事。オワハラ情報はネットにもたくさん載っていますが、企業名は伏せているものがほとんどです。激しいオワハラをする企業情報は、先輩や友達から直接聞くしかないのが現状です。人気企業の裏情報は学生の間でもあっという間に広まるけれど、正しい情報を仕入れるのに皆苦労しています。

インターンシップ先で日本の文化を海外で発信するイベントに参加!@ハワイ

就活は情報戦!

 インターンが内定に直結する企業、説明会の日程、ブラック企業、オワハラがあるのかなど、就活では情報が重要になります。情報源として一番信頼できるのは大学のキャリア支援室。OB・OGからの情報もたくさん入っており、とても貴重な存在です。その他、就活中に出会う他の学生も、大切な情報源となります。インターンで出会った人と連絡先を交換し、その後も月に1回集まり、互いの就活状況など情報交換をしあう学生も多くいます。「実は、就活で彼氏ができました」という話も聞きました。就活をきっかけに、キャリア面だけでなく、新しい出会いが生まれ、世界が広がっていくことはさすがSNS社会!

 うまく情報を手に入れ、早くから動くことが就活の決め手になるようですが、意外にもネットはあまり使わず、人づてに、いかに正しい情報を仕入れるかが大切だと言います。そのためにも学生同士、また社会人とのネットワーキングとリアルな信頼関係がキーになりそうで、どんな時もコミュニケーション力の必要性を感じずにはいられません。また、昔に比べ情報に溢れるネット社会、仕事を探すにも情報やタイミング、人を見極める、"観る力"を養うことも欠かせません。

インターンシップで知り合った仲間