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リアルタイム就活ストーリー(5)いよいよ3月1日直前!
ワンデーインターンでの出会い

西山昭彦 authored by 西山昭彦一橋大学特任教授
リアルタイム就活ストーリー(5) いよいよ3月1日直前! ワンデーインターンでの出会い

 就一と活子、2人の3年生はお互いをまったく知らずに別々の就活をしていたが、ついに大手損保のワンデーインターンで顔を合わせることになった。2人の就活はこれからどうなるのだろうか。

本気のインターンシップ月間

 就一は、友人から就活情報は相変わらず流れてくるものの、2月になりOB訪問とインターン、その後呼ばれての面談に忙しかった。ある会社では、インターン後人事部員に志望度をしつこく聞かれた。「本当にうちを志望するなら、もっと上の人間を会わせるんだけど...」といわれた。

 正直、自分を評価してくれたことはうれしかった。でも、今の段階で、そこに決める気はなかった。第一志望はほかにあるし、もっと多くを見て自分の可能性を試したかったからだ。

 それにしても、昨年からインターンにはかなり出てきたが、この2月の雰囲気にはびっくりだ。3月1日解禁を前に、各社が採用に直結した臨戦態勢をとっている。ワンデーも一気に増えてきた。その業界のOBに聞いたら、「とにかく、学生からは遠い業界なので、当社を知ってもらうことが今は第一。ワンデーへの批判はあるが、いい学生をとるためには今は仕方ない」といった。

 一方、活子は、生真面目に1月は授業にすべて出席していたので、ほとんど学外に行けなかった。ようやく試験とレポート提出が終わり、また先日の大学のキャリアカウンセラーとの面談で勇気づけられ、2月から行動を始めた。クラブのOG訪問と、インターンも5社申し込み3社に受かった。

 これまで自分なんか内気でだめだと思っていたが、「5歳から17歳までピアノを続け大学でもサークルで3年間やってきたのはすごいことよ。いろいろな障害があったのに、それを乗り越えてきた。目標に対する達成力、継続力の証になるわ」というキャリアカウンセラーの言葉が何度も頭の中をめぐり、少しずつ就活に自信がわき行動できるようになった。

インターンでの予期せぬ出会い

 その日は大手損保のワンデーインターンで同社の研修所に向かった。2人はたまたま同じ会場に来て、同じグループにいた。会社の紹介とビデオを見た後、グループワークがあった。6人1組で、自己紹介が始まった。就一は慣れているようで、笑いをとりながら笑顔でさわやかに自己紹介した。「ああ、こういう人が受かるんだろうな」と活子は心の中で思った。活子は、初めてでどきどきしながら、言葉につまりつつ、なんとか自分の番を終えた。

 グループでの議論が始まった。6人の中で一番できそうな雰囲気の就一がすぐに司会をやるといって、進行しだした。「この課題へのアプローチをこういう方法で進めたいと思いますが、皆さんいいでしょうか」。

 反対はない。どころか、理解もできてない人もいるだろう。「うわ、動き早いな。わたし、ついていけるかな」。活子は議論についていくのに必死だ。暖房のせいではなく、スーツの下で汗がじわったと出てきた。3人がどんどん発言し、40分があっという間だった。活子が話せたのは1回だけ。

 帰途は落ち込んだ。「みんなすごいな。やっぱり私には無理かも」。どこをどう歩いたのか、気が付くといつも行く公園のベンチに座っていた。空を見上げて、ため息。1時間も経ってようやく気を取り直した。「明後日も別の会社のインターンだから、今度はよく資料を読んで予習していこう。わたしなんか、ほかの人の何倍も努力しないと追いつけないし」。

 その夜、「それにしても、あの就一って人、頭いいしできるなあ。今まで周りにいなかったような...。いやいや、就活に集中しないと」気持ちを切り替え、再び企業のウェブサイトに集中した。時計は2時になっていた。
(2017年2月22日現在)

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