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「CSR活動にひかれ志望」OK?
本業が何より大事

authored by 上田晶美
「CSR活動にひかれ志望」OK?本業が何より大事

 以前、この欄で「福利厚生」にこだわる学生が多いと書いた。「福利厚生よりも基本給の方が大事では?」というのが私の趣旨だった。関心が高い話のようで、いくつか問い合わせをいただいたので、少し補足したい。

 住宅手当などの福利厚生よりもなぜ基本給が大事か。それは例えばこんな理由が挙げられる。

 「賞与は給与の3カ月分」と言ったときに、住宅手当は入らない。退職するときに出る「雇用手当(失業手当)」などもこの基本給で計算される。また、会社が不景気になった時にまず減らされるのは、この住宅手当など福利厚生の部分だ。

 確かに住宅手当はあった方がありがたい。新入社員のとき、基本給は各社あまり差がないので、「住宅手当がいくら出る」ということが手取りの額を左右するのは事実だ。また友人同士で自慢しやすい内容でもある。「え? きみの会社は住宅手当が3万円も出るの? いいなあ」と。

 だが、大事なのはやはり基本給であり、賞与の倍率であることをお忘れなく。面接の最後の質問で「御社の住宅手当はいくらですか?」と聞く人はそうそういないのに「福利厚生」という四字熟語になると、急に聞きやすくなるらしい。「御社の福利厚生について教えてください」と言わないように気をつけたい。聞きたかったら、採用とは関係ない社員にこっそり聞くことを勧める。

 これと似たような問題で、学生が気にするのが企業のCSR活動だ。「企業の社会的責任」と訳され、植林活動や寄付や社員のボランティア活動のことを指している場合が多い。企業が社会の一員として貢献していくのは良いことだと思う。震災の時の会社単位でのボランティア活動などはとても助かった、と感じている被災者も多いだろう。

 CSRに取り組んでいるのは、優良企業であるかどうかの指標の一つだとは思う。だが学生の中には「CSR活動に感銘し、御社を志望しています」と言う人もいる。

 ちょっと待った! 確かにCSR活動は大事だが、それにひかれて会社を志望するのはおかしな話だ。CSRがやりたくて会社に入るというのでは、ボランティア活動がしたくて入るように聞こえる。

 何をしに会社に入るのか。まずは本業である。本業で社会に貢献することが大切ではないだろうか? 本業で利益を上げて、税金を納めることも社会貢献である。個人で見れば、働くだけで立派な社会貢献といえるかもしれない。
(ハナマルキャリア総合研究所代表)[日経電子版2017年2月13日付]

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