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career-働き方

リアルタイム就活ストーリー(6)ついに就活解禁!
それぞれの「3.1」

西山昭彦 authored by 西山昭彦一橋大学特任教授
リアルタイム就活ストーリー(6) ついに就活解禁! それぞれの「3.1」
写真は本文と関係ありません

 2人の3年生は互いに相手を知らないまま、ワンデーインターンで偶然同じグループになったが、その後はまた別々の就活をしていた。

 そんな中、いよいよ3月1日を迎えた。二人のその日は...。

学内説明会6社に出席

 活子はこれまでクラブのOG訪問4名と、インターン3社に参加してきた。インターンは研修所より本社内で開催されるものが好きで、その職場の雰囲気、社員の表情などから会社の素をつかもうとした。また、OGのアドバイスはいつも有益だった。「あなたのような真面目な性格の子は、入社したら本当によく働くと思うわ。手抜きしないって、顔に書いてある」。「おとなしすぎる印象なので、面接では大きい声とアクティブさを出したほうがいい」。

 そして、3月1日は学内会社説明会。朝10時から16時まで、6社の説明会に出た。事前に会社のことを調べていったので、概要は復習のつもりにして、初めて聞くことをメモしていった。関心のある会社がその時間帯にない時も、どこかの会社の説明会には出席するようにした。

 そこで発見があった。これまで自分が知っている会社がいかに少ないか。「こんなことをやっている会社もあったんだ。この業界も見てみよう」。疲れもあったが、それを上回る収穫があった。「学生の知っている会社なんて1割もない。その中で就活していたなんて、ばかみたい」。少しでも多くの会社を知りたくなった。「1日でこんなに情報を得られたことは今までなかったな」。ノートはもうぎっしり埋まっていた。

 学生が100人以上参加する会社もある一方で、3人しか来ないような会社もあり、少しかわいそうな気持ちになった。少ない時は前に座って、うなずきながら聞いた。質問したら、終了後追加の説明を受け、名刺を渡された。初日に、自分を大切にしてくれる会社があったことがうれしかった。これから1週間、学内説明会に出続けるつもりだ。

大学限定セミナーで見た現実

 就一は、これまでインターン9社、OB訪問14名と、その活動は群を抜いていた。友人、OBからの就活情報はあふれている。インターン後に呼ばれての面談もできるだけ出た。第一志望のふりをしながら、人事部管理職にも好印象を与えた。これまでは、高評価を得られた自信がある。

 そして、3月1日は学内会社説明会には出ずに、有力大学だけの外部セミナーに出た。選ばれた一流企業と有力大学だけの出会いの場。ここでさらにコネを作ってやろうと意気込んでいた。

 ところが、そこで初めて、自分の価値が高くないことを思い知らされた。企業はT大生を優先しているように見えた。就一は採用担当の応対に明らかな差を感じた。「ブランド企業は大学もブランド志向なのか。面接すれば俺のほうが話はうまいし、相手を喜ばせるノウハウを持っているのにな」。帰途は、ふてくされ気味になった。そして、今日もセミナーに来ていた第一志望のA社が1日で遠い存在に感じてきた。「明日から俺は何をすれば...」。

 3月1日解禁前にも各社は臨戦体制をとっていたが、今日から本当の選抜戦が始まった。ある大手のES1回目締め切りは15日だ。「うわー、そんな早いの。時間が足りない」。活子はあわてた。一方の就一は、3月1日のこの日に、初めてのブルーな気分に陥ってしまった。
(2017年3月1日現在)

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