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[ liberal arts-大学生の常識 ]

ニュースの見方(37)ES作成に3つの落とし穴
学歴フィルターを乗り越えよう

戸崎肇 authored by 戸崎肇大妻女子大学教授・経済学者
ニュースの見方(37) ES作成に3つの落とし穴<br />学歴フィルターを乗り越えよう

 2018年就活が本格化しています。3月1日付の日本経済新聞には「就活さらに短期決戦」(=こちらから日経電子版へ)という記事が載っていました。就活生の皆さんは、エントリーシート(ES)作成、面接時の対応など、対策に追われていることと思われます。本連載でも、就職活動でどのような点を重視すべきなのか、どうような見方が必要なのか、考えてみたいと思います。

学歴フィルターをどう考えるか?

 まずエントリーシートに関して取り上げてみましょう。この点については多くのことがすでに語られていますが、それらと照らし合わせて考えてみてください。人気企業には、膨大な数のエントリーシートが提出されます。それらを企業がいちいち入念にチェックしているのかについては、疑問の声があがっています。

まずは丁寧にESを書こう

 企業の中には一群のNGワードを設定し、エントリーシートをコンピューターによってスクリーニングし、NGワードが見つかった場合には、自動的に排除する仕組みを導入しているところもあるようです。

 残念なことですが、大学名で絞っているところもまだあるようです。大学名での選別が難しい、つまり同じような大学の学生で同程度の候補者がいた場合には、「地頭」(本来の頭の良さを意味する言葉)を見るために、どこの高校を卒業したかによって判断しようとしたという報告もあります。

 実際、「学歴」は企業にとって、単純に割り切ってスクリーニングしやすい指標であることは確かです。学歴で線引きする企業には、たとえ入社できたとしても内部で学閥があって大変でしょうから、むしろ落とされた方がよかったと思いましょう。

 エントリーシートを作成するのは、確かに相当面倒な作業であり、それを何枚も書くとなると、だんだんと雑になりがちです。しかし、少なくとも本命、あるいは本当に興味があるところについては、しっかりと考えて取り組まなければなりません。

何よりも丁寧に取り組もう

 手書きの場合は何よりもきれいな字で書くこと。少なくとも丁寧に書いてください。誤字脱字はもちろんNGです。特に漢字の間違いは目立ちます。下書きをして、推敲を行ってからエントリーシートに臨みましょう。

 言葉遣いもチェックです。本命の分に関しては、大学の就職課などで見てもらうのがよいでしょう。バイト言葉を用いていないか、変な敬語表現を使っていないか、なかなか自分では判断がつかないものです。

画一的な対策を鵜呑みにしないで!

 エントリーシートの作成に関しては、就職支援企業を利用することも可能ですが、お金もかかるでしょう。また画一的な指導になりがちです。こういう時こそ自分の置かれた環境をよく理解してくれている大学の就職課を活用しましょう。

 大学としても、少子化の中で自らの生き残りを図るために、就職実績を挙げることは重要です。皆さんが個別に協力してほしいと訴えれば、積極的に応じてくれるはずです。

バイト・サークル・ボランティアで注意したいこと

 自己アピールについては、アルバイトの経験を書く人が多いので、よほど内容が濃くないと評価されないと考えるべきです。大学生の本分は勉強ですから、一番のアピールポイントがバイトというのは、本末転倒しているのです。このことを意識することなくバイトのことを喧伝するのは逆効果でしょう。これまで就職活動の現場を企業側の視点から見てきた立場からしても、バイトの話を前面に出すことはお勧めしません。

素人であることを自覚しつつ企業研究しよう

 もしバイトのことに重点を置いて自己アピールするのならば、なぜ学業ではなくバイトなのかということを、説得力を持って相手に理解させなければなりません。たとえば、将来の職業を見据えた就業体験としてバイトを選んで経験を積んだというのであれば興味を引くでしょう。自立した生活を送りながら有意義な人生体験をするためにバイトを行ったということであれば、ある程度の説得力を持ち得るでしょう。

 サークルやクラブ活動も同様です。話題にとりあげるならば、そのサークルなりクラブなりがもつ特徴をうまく出せば効果が期待できます。大学生としてふさわしい活動実績があれば評価されるでしょう。逆に、特徴的な取り組み実績、熱意ある説明がないと、アピール度が低くなるものです。

 就職や大学への入学に資するためにボランティア活動などを行う例も多くあります。ボランティア自体は尊いものですが、功利的な動機での活動であれば好印象は持ちません。動機が純粋なものであるのか、どうでないのかは、案外見通されてしまうものです。

素人であることを自覚して

 入社できれば何をしたいのかという点も、なかなか書きづらいものです。セールスで頑張りたいとか、事務職につきたいとか、あまりにも漠然としているのは問題です。業界研究のし過ぎで細かいことばかり言っても、所詮その企業に入ってみなければわからないことが多いものです。分かったように勘違いしていると思われたら、マイナスの評価につながりかねません。その業界では素人であることを自覚しつつ、その上でこういうことがやってみたいというアピールをうまくできるかどうかが勝負です。この点については、是非、その業界にいるOB、OGを見つけて相談に乗ってもらいましょう。

 たかがエントリーシート、されどエントリーシートです。面接につなげられるよう、知力をフルに活用して、個性あるエントリーシートを作成してください。

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