「あなたの強みは何ですか?」 自己PRで重要なこと
人事部長のひとりごと(9)
学生の皆さん、こんにちは。はじめまして。株式会社HDEというIT企業で人事部長をしている高橋実です。さて、いよいよ2018年の就職活動が始まりました。今日は、人事部長から見た就職活動についてお話ししたいと思います。
自分を「盛らない」こと
最近は、就活向けセミナーや教室などが盛んです。皆さんにとって今まで経験したことのないこと。何が必要なのか知っておくことはとても大事なことだとは思います。でも、就活のテクニックに走りすぎないことは大事です。
特に、面接などで、自分自身を「盛らない」こと。就活の目標は「内定をもらうこと」になりがちですが、内定というのは、あくまで「入社する権利をもらった」ということに過ぎません。仕事の本当のスタートは「入社してからの働き方」にあります。だから、できないことをできると言って"盛って"しまうと、後で困るのは自分です。「自分を良く見せる」のではなく「自分自身を知ってもらう」ことのほうが大事です。
就職する企業を決める、ということは、社会人になって大半の時間を過ごす自分の場所を決めるということです。できないことを「できる」と言ってしまっても、一緒にいる時間が長くなれば、ボロがでてしまいます。それよりは、自分自身の"今の姿"をしっかり受け止め、良いところも悪いところも受け止めてくれる企業を選ぶこと。
就活では、皆さんと企業のマッチングができることが、皆さんにとっても、企業にとっても一番大事なことです。だからこそ、盛らずに「ありのままの自分の姿を知ってもらい、それを受け入れてくれて、これから先の自分の成長の可能性に賭けてくれる」会社を選ぶことをお勧めします。
自分の強みは、自分ではなかなか分からないもの
先日、とある大学の体育会の学生に会いました。彼は、高校時代は中心選手。でも、大学では花開かず、出場機会もなく、3年生からは後輩指導担当になりました。
「高校時代はレギュラーだったのに、大学で成績が出ず、悔しい思いだけ残ったような気がして、就活で誇れるような話ができないんじゃないかと心配です。」
でも、そんな彼は、後輩指導担当になり、慕ってくれる後輩はたくさんいる、と言います。
「何故、あなたを後輩は慕ってくれているんだろう?」
彼は、少し考えて、こう答えました。
「もしかしたら、挫折を味わったから、試合に出れない後輩の悔しさが分かるからかもしれません」。聞いてみると、彼は、試合に出れない、挫折した後輩の相談にずっと乗っていたと言います。そんな彼のことを、後輩は慕ってくれると。
彼は、自ら挫折を味わったことで、同じように挫折を味わう後輩の気持ちが分かるようになった。これは、素晴らしい"強み"だと僕は感じました。この強みは、挫折を味わった人にしか分からない強み。でも、彼からは、これは失敗体験でしかないと見えていて、それが自分の強みになっているということが分からなかったのです。
僕でも「あなたの強みは何ですか?」と突然聞かれたら、戸惑ってしまいます。自分自身の強みって、意外に自分では分からない。もちろん自分の自己分析も大事ですが、「周囲の自分の近くにいる人から、客観的な意見を聞く」ことをお勧めします。
就活は、これからの皆さんの輝く未来のスタートラインを決めることです。もしかしたら、色々と悔しい思いや辛い思いをするかもしれません。でも、せっかくあなたの未来を決める活動です。是非、就活を思いっきり楽しんでください!
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