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[ career-働き方 ]

ビジネスの作り方(3)神様のプログラミング~セレクトショップオーナーとの出会い

播口友紀 authored by 播口友紀H. nao株式会社 共同設立者、クリエイティブディレクター、aisaac株式会社 共同設立者、デザイナー
ビジネスの作り方(3) 神様のプログラミング~セレクトショップオーナーとの出会い

 お久しぶりです。前回の記事から3カ月ほど過ぎてしまいました。2016年が終わり、2017年が始まって、天皇生前退位が決まれば平成が終わるやら、アメリカがトランプ大統領になるなど、この3カ月世界はめまぐるしく動いています。H. nao自体は地に足をつけて、地道に頑張っております。ファッション業界というのは、外からみるとすごい華々しいですが、内からだと地味なことがとても大事だということも、この業界に入ってから勉強したことの1つです。

 最近は海外のお客様が多く、実際H. naoの商品を購入してくれるお客さんの半分が海外のお客様です。これもミッドタウンという場所の特性でしょうか。さて、前回は、そう、セレクトショップを探すところで話が終わりました。では、時を2016年2月あたりに戻しましょう。

置きたいお店の選定

 ブランドのクリエイティブ・ディレクターとして、僕と泉はまずH. naoイメージに合うお店をリストアップしました。エストネーション、バーニーズニューヨーク、伊勢丹、その他もろもろ。こういうセレクトショップと呼ばれるお店にはバイヤーという方々がいて、彼らが実際にお店に置く商品を決めています。

 バイヤーと知り合いだと話が少し楽になるのですが、まだ大学卒業ほやほやの若者たちがそのような人脈があるわけもなく、こういったお店には置けそうにないことに気づきます。なので、最初から大きいお店ではなく、中規模くらいのお店にあたることにしました。そして、実際にそういったお店に営業をしましたが、お店の人には権限がない、商品の入れ替えが1年おき、などなど中々置いてもらうのは厳しそうでした。

ブランドのイメージに合うお店

母の誕生日

 2016年2月23日、僕と泉は普段通り僕の家でミーティングをしつつ、「どこか置かせてくれるセレクトショップないかなー」っていう話をしていました。翌日は母の誕生日だったので、ミッドタウンにプレゼントを買いに行くことに。このとき、職人さんから営業のためにいくつか借りたジュエリー(40点ほど...)がたまたまあって、なぜかこのジュエリーを持ってミッドタウンに行きました。

 ミッドタウンのエアウィーヴで、質の良い睡眠が取れるようにと枕を購入し、店を出たとき、目の前にセンスのいいお店がありました。ジュエリーも置いてあったので、ジュエリーを見るために店の中に。カウンターに立っていた女性に置いてあるジュエリーについて興味で色々聞きました。そして、本当に偶然自分たちも今ジュエリーブランドを立ち上げようとしてること、そしてこういったジュエリーを出そうとしてると言って、持っていたジュエリーを見せました。

 おそらく彼女は大して期待もしていなかったと思います。こういったこと(営業みたいなの)にもなれているだろうし、なんにせよよくわからない若造2人なので(笑)。しかし、僕たちが持っていたのは職人さんが作った素晴らしいジュエリーでした。いい意味で期待を裏切られたのかもしれません。少し、僕たちの話を聞いてくれました。

 そして、驚いたことに彼女はこのお店のオーナーであり(偶然、カウンター越しで接客してくれた)、なんと同じ大学出身(慶應義塾大学)であったのです! 彼女は大学卒業後、ファッションデザイナーを経て、パートナーとNYに渡り、会社を設立。そこでライフスタイル雑貨の買い付け、ライセンス業務、自社のショールーム運営をやり、逆輸入という形でミッドタウンに自社直営店を持ってきたのです。

 こういったこともあり、世代は違いますが、話は盛り上がり、後日改めて会うことになりました。僕は他の人とは異なる経歴を持つ、彼女に興味を持ちました。一方、彼女の方も、ITの会社をやりながら、大学卒業後すぐにジュエリーブランドを立ち上げようとしている僕たちに興味を持ってくれたのだと思います。そう、このお店が現在、H. naoの商品を置かせていただいている「STYLE MEETS PEOPLE」というお店なのです。

STYLE MEETS PEOPLE

神様のプログラミング

 母の誕生日のプレゼントを2016年2月23日に買いに行かなかったら。ミッドタウンに行かなかったら。職人さんがジュエリーを営業用に貸してくれていなかったら。僕たちが慶應にいってなかったら。エアウィーヴに行った後にそのお店に入らなかったら。彼女が店頭に立っていなかったら。

 こうして列挙してみると、改めて人と人との出会いというのは奇跡に近いものだなと思います。そして、実際にこの出会いが、置いてくれるセレクトショップが見つからないという非常に難しい問題の解決策をプレゼントしてくれるのですから、本当に人生というのは面白いなと思います。そして、この奇跡を、オーナーである彼女は「神様のプログラミング」という言い方をします。

 許可をもらったので、彼女とのメールの一部をここに。

 私は20代で日本を飛び出し、NYに渡り、公私、山あり谷あり本当に色々な方々と出会い、ばたばたと仕事をして来ました。でも、NYでの暮らし、散歩とか、ベンチでコーヒー片手にあ~だ、こ~だ、パートナーと何気ない会話をする、そんな日常が楽しかったです。日本に戻り、相変わらずばたばたの日々ですが、STYLE MEETS PEOPLEがあって、神様のプログラミングでお二人にお会いできました。出会いは不思議で、面白い。

 こうして、H. naoはブランドデビューへの一歩を踏み出しました。ただ、H. naoの商品を置かせてもらうのは、もう少し先のお話です。その前に、H. naoが伊勢丹でデビューしたお話をしましょう。