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ESがうまく書けない人に  当落を分ける「普通の詳細」とは

ホンネの就活ツッコミ論(2)

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NIKKEI STYLE

「ガクチカ」の「ディテール」指導、よくあるけど

採用のプロフェッショナル、曽和利光さんのコラム、皆さん読んでいますか。いいことが書いてあるので必読です。さて、2月15日記事「就活面接、『ガクチカ』質問にどう答えるか」があります。

この記事を読んでいない方にご説明しておくと、「学生時代に力をいれたことは?」の質問・設問の省略形が「ガクチカ」。エントリーシートでも面接でもよく出ます。そして、この記事内容は面接についてですが、エントリーシートにも当てはまります。

曽和さんが指摘している「とにかく具体的に」「エピソードから人となりを示す」「結果よりも過程を丁寧に」、これ、私も学生によく話すことです。私だけではありません。多くの採用担当者やキャリアセンター職員も同様の話をしています。その結果、半分くらいの学生は納得してくれます。

「ディテール」のつもりがうまく書けない

ところが、問題は残り半分の学生。「石渡さんの話を聞いて、こう書いてみたのですが」と言って、出てきたのが、以下の文章。

●パターンA
コンビニエンスストアで、4年間、店員をしました。私が勤務したチェーンでは体に優しい素材を使ったお弁当を提供するようにしています。店員としての私の仕事は、商品の品出し・陳列、レジ打ち、接客、清掃、あと、商品説明などです。特に新商品は声を出して案内するなどして販促に努めました。また、できるだけ笑顔で対応するようにしました。トイレをお使いになるお客様も多いので、そこも丁寧に案内するようにしたりしました。この経験から、いつの場でも『やれることは全てやりきる』気持ちを忘れないことが大切だと学びました(249字)

どうでしょうか、と、読者の方に振っても、もう答えは一択でしょう。「つまらない、ありきたり」。400字見当のところ、249字なので、やや不足気味です。「また」「あと」の多用、「ガクチカ」なのに最後は自己PR的なまとめなど、ツッコミどころが満載です(が、ここでは省略)。

同じ学生のガクチカでもこんなに違う

そこで私は、「なんかさあ、あなたの話、もうちょっとない?」と聞くと、この学生は、「だって、具体的に、と言ったじゃないですか」と。そりゃあ、言いましたよ、言いましたけどさあ......。

こういうやり取りが毎年、結構な頻度で起こります。さて、何がまずいのか、改めて検証していくと、新たな発見がありました。それをご説明する前に、先ほどの学生(コンビニバイト)の修正分をどうぞ。

●パターンB
コンビニエンスストアで、4年間、店員をしました。私が勤務した店舗は大型展示場に近く、展示会イベントや就職活動の合同説明会などもよく開催されます。イベント開催日は弁当やおにぎりなどの販売数が増えます。今までもイベント開催日に合わせて弁当の仕入れ数などを増やしていました。それでも日によっては売れ残り・廃棄処分が大量に発生していました。そこで私はイベントのサイトを見ることで男女比や年齢層を分析したメモを作成、店長に提出するようにしました。このメモによって、発注内容を変更。わずかではありますが、廃棄処分数を減らすことができました。もちろん、うまく行かないこともあります。さらに、どうすれば売り上げを伸ばし、廃棄数を減らすことができるか。私は他のアルバイト店員にも声をかけて、一緒にいつも話し合うようになりました。店長からは「あなたのメモで売り上げも上がったし、本当に助かった」と言ってもらえました(397字)

同じ「普通」でも方向性が違った!

先ほどの、大して面白くもなんともない(失礼)、ありきたりな「ガクチカ」を書いた学生と同じですよ。信じられます? このガクチカ、先ほどのものと何が違うのか、と言えば学生の動きです。学生本人が何を意識して、どう行動したのか、そのディテールがきちんと書かれています。

それと、ラスト。曽和さんがコラムでご指摘の「とにかく斬新なアイデアを実行に移したらうまくいったという『結果』ばかり強調する」に近いですが、大げさな表現にはなっていません。よくある学生の書き方だと、「廃棄率を20%減らすことができました」など数字を使って、結果を強調したがるところ。

それが、「若干」「うまく行かないこともある」など正直に書いています。そう。アイデアを出したからと言って、すべてうまく行かないのは当たり前です。それは、学生も社会人も変わりません。ラストの店長の一言もまとめとしては申し分ありません。自分で、ナントカ能力がある、とか、下手にまとめるより、第三者、それも社会人のコメントの方がよっぽど信頼できます。

さて、ここまで読んでお気づきの方もいると思います。パターンA、パターンBとも、学生からすれば「ディテールを書いた」となります。よくよく見ていくと、パターンAはアルバイトの業務内容、パターンBは学生個人の行動履歴・意識がそれぞれ中心となっています。ディテールはディテールでも、業務内容と行動履歴・意識とでは大きく異なります。

当然ながら、曽和さんや私、大半の採用担当者・キャリアカウンセラーなどが伝えたいのは後者の行動履歴・意識の方です。それを「普通のままでいい」「ディテールを詳しく」だと、誤解してしまう学生が出てしまうのです。

企業が知りたいのは「背景」ではなく「君の話は。」

学生に、この話を伝えると、「そんな話、初めて聞きました」「『普通でいい』と言われてもよくわからないし、仕事の話を書いたら『ありきたり』と怒られて...。どうすればいいか、わからなかったのですが、謎が解けました」など、好評です。

なお、この「ディテールの違い」、コンビニアルバイトを例に出しましたが、サークルやインターンシップ、ゼミ、イベントなどでも同じ。サークル・部活だと活動内容、インターンシップだと参加企業の詳細や業務内容、ゼミなら研究テーマなど。私はこうしたものを「背景」と呼ぶことにしました。

「背景」であれば、かかわっていない学生でも誰でも書けてしまいます。一方、学生の行動履歴や意識・心理と言ったもの、これは新海誠監督の映画に引っ掛ければ「君の名は。」ならぬ「君の話は。」。

「君の話」は、経験者である学生個人にしか書けません。仮に誰かの話を適当につなぎ合わせて書いたとしても、面接では細かい話までできず、ボロボロになるでしょう。

「背景」は、少しは書いている必要があります。そうでないと、どんな状況か、よくわかりませんし。

ただし、1項目につき、200字から400字、多くても500字という文字数制限が大半のエントリーシートで背景ばかり書いて伝わるでしょうか。いいえ、伝わるわけがありません。ガクチカの基本は、「背景」は少し書く程度。残りは、「君の話」、すなわち、どんな行動をしたのか、どんな意識を持っていたのか。それが「ディテールを書こう」のそのまた詳細なのです。

この発見、我ながら就活史に残る大発見で誰かに表彰されてもおかしくない、と自画自賛しています。ついでに、この成果を本にすれば売れそう、とまで浮かれた私は知己の編集者に電話しました。「どうも、石渡です。エントリーシート本を出しませんか?仮タイトルは『君の話は。』で」

「石渡さん、パクリはだめでしょう、パクリは」。ええと、出版業界では、暴走する書き手にストップをかけるのが編集者の仕事なのです。出版業界志望の皆さんはメモをしておくように、というところで、おあとがよろしいようで。

石渡嶺司(いしわたり・れいじ)
 1975年札幌市生まれ。東洋大学社会学部卒。2003年から大学ジャーナリストとして活動開始。当初は大学・教育関連の書籍・記事だけだったが、出入りしていた週刊誌編集部から「就活もやれ」と言われて、それが10年以上続くのだから人生わからない。著書に『キレイゴトぬきの就活論』(新潮新書)、『女子学生はなぜ就活で騙されるのか』(朝日新書)など多数。

キレイゴトぬきの就活論 (新潮新書)

著者 : 石渡 嶺司
出版 : 新潮社
価格 : 821円 (税込み)

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