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社食の栄養素解析「食ラボ」、
ソフトバンクが初導入

社食の栄養素解析「食ラボ」、<br />ソフトバンクが初導入

 IT(情報技術)を駆使して社員の健康管理につなげようという取り組みが広がっている。ライフロボ(東京・港)は中央フードサービス(大阪市)と提携して、食事解析クラウドサービス「食ラボ」を企業の社員食堂向けに提供する。第1弾として中央フードが提供するソフトバンクの社食が採用した。従来と比べきめ細かい栄養管理が可能という。

5大栄養素のバランスを分かりやすく表示

 東京・汐留のソフトバンク本社。25階の広大な社食は昼食時になると社員でごった返す。昨年12月から、オススメメニューの隣に栄養分析を示すシートが展示されるようになった。

現在はオススメメニューの横に紙の分析データを表示している(東京・汐留のソフトバンク本社食堂)

 たんぱく質やビタミン、ミネラルなど5大栄養素のバランスや、料理に多く含まれる栄養素ごとの効能が分かりやすく表示されている。例えば、「やわらか豚肉の角煮丼」なら、ビタミンAが不眠に、セレンが記憶力や集中力の向上に効果があると記している。

 ソフトバンク総務サービス統括部の藤本孝博担当部長は「社員の間で健康への関心は徐々に高まっている。社員のニーズを先取りしたつもりだ」と話す。これまでも社食を利用した社員にはスマートフォン(スマホ)などに利用明細と一緒に塩分、脂質、糖質の含有量を配信していたが、より細かく見やすくなった。

 普段はデスクワークが多いと言う社員の角田昌彦さん(25)は「自分に何が足りないか一目で分かる」と言う。ソフトバンク本社の近くには飲食店も多いが社食の「ヘビーユーザーになった」と話す。

 食ラボは、食事を提供する中央フードなどの運営会社がレシピを入力すると200種類以上の栄養素の効能を自動で解析する仕組み。会員登録すれば月980円(税抜き)で利用できる。解析データは運営会社に送られ、ソフトバンクは紙にプリントアウトして表示しているが「今後はアプリなどの形で社員に直接データを送ることも考えたい」(藤本氏)と言う。

 食ラボの分析は摂取した栄養素ごとに詳細なデータを参照することができる。逆に、例えばダイエットや美肌など目的ごとに有効な栄養素は何かを調べることもできる。データを直接受け取れるようになれば、社員がそれぞれの目的に応じた食事メニューを考えることに役立ちそうだ。

これまでは社食の利用明細と一緒にカロリー、塩分、脂質、糖質のデータがスマホなどに送られていた(東京・汐留のソフトバンク本社の社食)

 ヘルシーな社食は健康機器メーカーのタニタが2012年に自社の社食を再現する「タニタ食堂」を開業したことで注目が集まった。タニタは16年にヘルシー料理の宅配事業にも乗り出している。

 ITと食事、健康の融合は新たなタッグを生み出している。健康診断事業のケアプロ(東京・中野)と総菜提供サービスのおかん(東京・渋谷)は16年に提携し、両社のノウハウを組み合わせて職場の健康づくりを支援するサービス「ケアプロおかん」を始めた。

 利用者はまずケアプロによる生活習慣のチェックを受けて改善ポイントを設定する。毎月の「保健室」で健康状態をチェックするのだが、この時に活用するのがおかんが提供する総菜のデータだ。利用者には食べた総菜のデータがスマホに送られてくる。ケアプロの担当看護師などはそれを見て今後の食べ合わせなどの食事指導を行い、健康状態の改善につなげていく。

 社員の健康維持は働きやすい職場づくりを進める上で欠かせないテーマとなっている。ビジネスパーソンの間では食と健康への関心が高まっているとされ、ITを活用した健康管理への取り組みは今後、多くの企業で広がりそうだ。
(企業報道部 杉本貴司)[日経産業新聞2017年1月16日付、日経電子版から転載]

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