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チェック! 今週の日経(1)「ヤマト運輸、残業1割削減」が意味することは?

authored by 日経カレッジカフェ 
チェック! 今週の日経(1) 「ヤマト運輸、残業1割削減」が意味することは?

 就職活動で企業の人と会うようになると、最近の経済ニュースについて感想を求められたりすることも多くなってきます。ニュースサイトや新聞で毎日ニュースをチェックしていれば対策も万全でしょうが、習慣になっていないと、なかなか難しいもの。そこで、日経の研修・解説委員が、この1週間の日経電子版や日本経済新聞から企業ニュースを中心にピックアップし、簡単な解説をするシリーズをお届けしたいと思います。日経カレッジカフェ版ニュースチェックです。

1面トップで伝えた宅配業界のニュース

 先週のニュースから、3月2日付日本経済新聞朝刊1面のトップ記事を見ておきましょう。

ヤマト、残業1割削減 便利さ追求、限界 総量抑制へ値上げも(3月2日)

ヤマト運輸
適正な働き方を求めてヤマト運輸は宅配便事業全体の見直しを迫られている

 ネット通販が大きく伸び、その荷物を運ぶ量が飛躍的に増大しています。ヤマト運輸は従業員を増やしたり残業時間を増やしたり、様々な対応をしてきました。これも限界に達し、荷物を引き受ける全体量を抑えための値上げなども検討し始めたというのがこのニュースのポイントです。関連したニュースはその後も続き、3月5日付では「ヤマト、働く時間を厳格管理 拠点の管理職増員」という記事もありました。グループ全体の4割に当たる約7万6000人の従業員を対象にサービス残業の実態を調査し、給料の未払い分を支給する会社の方針を伝えたものです。3月7日付では1面トップで「ヤマト、27年ぶり全面値上げ アマゾンと交渉入り」と伝えるなど、事業見直しの動きが次々とニュースになっています。

 背景には日本全体が人手不足に陥っていることがあります。1月の有効求人倍率は1.43倍、完全失業率も3.0%で、働きたい人には仕事がある「完全雇用」状態にあります。需要は伸びているのにこれに対応する労働力を確保できない、そのせいで経済成長が抑制されてしまう。そんな事態になっています。

 その一方、人手不足を乗り越えるサービスや技術開発を進める動きも出てきました。冒頭のニュースでも触れていますが、ヤマト運輸は駅などに設置する宅配ロッカーを増やして再配達を減らす取り組みを進めています。一歩進んでIT企業のDeNAと提携して、自動運転機能を搭載した専用車両を開発し、宅配便の配達に利用する実証実験も始める計画です。

 3月3日付1面では「物流 30年完全無人化 AI活用 政府が工程表」というニュースも伝えられました。工程表には、トラックの自動運転やドローン(小型無人機)を活用し、宅配などの物流を「2030年をめどに完全に無人化する」との目標が明記されています。ネット通販の拡大という新しいサービスから始まった運輸業界の変化は、自動車業界やIT業界など幅広い企業を巻き込んで、人口減少社会で生き残る様々な戦略を生み出しています。

電力業界にも大きな変化

 もう一本、1面トップのニュースを紹介しましょう。

地熱発電、小規模で展開 JFE系やオリックス(2月27日)

地熱発電しかけ
出光興産が大分県に建設した地熱発電所
 

 様々な企業が地熱発電を始めることを報じたニュースです。今日の生活や製造業に欠かせないエネルギーの電力ですが、東日本大震災以降、大きくその様相が変わりました。電源構成の主役だった原子力が停止し、太陽光や風力といった電源を開発したり、火力発電を増強したりといった動きが続き、電源の多様化が新たなビジネスチャンスになっています。地熱発電開発もその流れに連なるものです。

 大規模だと環境アセスメントが必要ですが、小規模だとこれがいりません。小規模地熱発電の普及を図るため、国が小規模地熱発電の買い取り価格を5割増しに設定したことから、開発が相次いでいます。JFE系というのはJFEエンジニアリングというプラント会社。いくつかの会社と共同出資会社をつくって岩手県で着工します。オリックスはリースを中心にした金融業務の会社ですが、このところインフラ事業にも進出、空港や上下水道の運営、大規模太陽光発電などに事業を広げています。見出しにある二つの企業のほかに、石油元売の出光興産も大分で手がけるなど、電力会社以外にも地熱発電に乗り出す企業が増えています。

 一方、大手電力会社の方では「東電と中部電、火力を全面統合 18年度にも」(3月3日)というニュースが1面に入っています。日本の発電能力の約5割をまかなう巨大発電会社の誕生です。電力業界は2016年、小売りの全面自由化という大きな変化がありましたが、発電事業でもこれに合わせた動きがいろいろと出ているのが今日の状況でしょう。地域独占企業が担ってきた電力事業は、異業種を巻き込んでこれまでとは違う新たな競争が始まり、激化していきそうです。

(研修・解説委員 水柿武志)

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