日本経済新聞 関連サイト

OK
[ skill up-自己成長 ]

社会人基礎力育成GP28年度決勝(2)拓殖大学チーム 
人口25人の離島活性化を提案

社会人基礎力育成GP28年度決勝(2) 拓殖大学チーム 人口25人の離島活性化を提案

 「平成28年度 社会人基礎力育成グランプリ」全国決勝大会で大賞となった拓殖大学チームの取り組みを紹介します。拓殖大学商学部潜道ゼミナール「Team Glocal」は、経営学のなかでも「CSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)」や「CSV (Creating Social Value: 共通価値の創造)」、そしてこれらと同様に、活動を通じて経済的価値と社会的価値を同時に創造する「社会的企業」や「社会起業家」をテーマに学んでおります。

 チームメンバーは、日本人1人、中国人2人、インドネシア人1人の4人です。国際色豊かなメンバーで、地域の社会的課題解決を目的に活動しているため、「Global×Local=Glocal」というチーム名にしました。

 我々のプロジェクトの舞台である三角島(みかどしま)は、広島県呉市の瀬戸内海に浮かぶ、人口25人、平均年齢75歳のとても小さな離島です。私達はこの島に本社を置くナオライ株式会社と共に活動しております。このプロジェクトの目的は、ゼミの研究テーマの1つである「CSV」の概念を用いた三角島での地域創生事業を、ナオライに提案することです。

 「観光資源の乏しい離島で何ができるのか?」

 私達は2016年7月から計4回の現地調査を行ってきました。三角島には、宿泊施設はもちろん、食事処や店、観光施設もありません。そんな島に、資金も社会経験もない大学生に何ができるのか、非常に大きな壁が立ちはだかりました。


プランAは地元の方々から厳しい意見

 調査を進めていく中で、三角島には大きな課題が2つあることがわかりました。それは、1.島民が働ける環境がないこと、2.島民とナオライのコミュニケーションの圧倒的な不足です。この課題を解決するため、さらに調査を進めていくと、三角島の周りには3つの大きなサイクリングロードがあることに気づきました。

 そこで私達は、プランAとして、1階をコミュニケーションスペース、2階を宿泊施設とした、サイクリスト向けの2階建ての宿泊施設を建てようと考えました。まずは、施設を建てるのに必要な資金を調達するために、銀行の助成金制度に申し込みましたが、見事落選! また、地元の方々に我々のプランを説明してご意見を伺ったところ、「自然を破壊するのでは?」「お金がかかりすぎる」など、非常に厳しい意見を多数頂きました。

 そこで、自分達のプランを練り直そうと考えました。その中で見えてきた課題は、1.建物を新設するのは初期投資がかかりすぎる、2.三角島の本当の魅力を理解していない、という2点でした。そこで我々はこの課題解決のため、2017年元旦から再度現地調査を行いました。

多くの価値を創出するプランB提案

 東京での調査、そして計4回の現地調査から、改めて三角島の魅力とは一体何か、チーム内で話し合いました。そこであがったのが「現代人の心をリフレッシュする独特な魅力」です。ナオライと取引のあるビジネスパーソンが島を訪れると、必ず「心身共に洗われた」と言うそうです。中には感動して涙を流す方もいたとのこと。

 そこで我々は、この魅力を最大限引き出すため、プランBとして、キャンプの静けさと、グランピング(自然の中でホテルのようなもてなしを受けながらアウトドアを楽しめる贅沢なキャンプ)の快適さの2つの要素を取り入れた、「SANGHA(サンガ)」と名付けた事業を考えました。

 SANGHAとは元々仏教の言葉で、僧侶の集団を表わす言葉です。この集団は様々な時代において人々の心の拠り所となる存在でした。そこで、このような場所こそ、三角島に作るべきだと考え、この事業をナオライに再提案しました。

 ナオライにとってのSANGHAが創造する価値は、自社の酒の販売と施設運営による経済的価値です。また、島民にとっては、BBQに使う食材の提供を通じて、農業・漁業に関わる方々の仕事の創出と、施設運営を関わる雇用の創出などです。さらに、来島者にとっては心身共にリラックスして頂くだけではありません。三角島との繋がりを創出するために、レモンの木を入場料として畑に植えてもらうことを考えました。これによって第二の故郷としていつでも島に戻って来て頂けるような機会の獲得という社会的価値も生み出すと思っています。

今後の活動

 ナオライにこのプランを受け入れて頂きましたので、今後は、この施設の実現に向け、資金調達活動をナオライと共に進めていきます。また、プロジェクト内容自体も、従来の「地域開発=自然破壊」ではなく、「観光者自らが島の自然を創り、守っていく」、という新たなツーリズムの概念を生み出すキッカケとなる事業にするため、「考え抜く力」をさらに極めていきたいと思います。

 最後になりますが、この度、社会人基礎力育成グランプリに参加するにあたり、多大なご支援を頂戴した本イベント関係者の皆様に心より感謝申し上げます。また、私たちのプロジェクトに、ご協力頂いた皆様、どうもありがとうございました。この場を借りて御礼申し上げます。今後もこの受賞に恥じぬよう、目的達成に向けて邁進して参りたいと思います。