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チェック! 今週の日経(2)三越伊勢丹、社長辞任はお家騒動?

authored by 日経カレッジカフェ 
チェック! 今週の日経(2) 三越伊勢丹、社長辞任はお家騒動?

 日経の研修・解説委員が、この1週間の日経電子版や日本経済新聞から企業ニュースを中心にピックアップし、解説する「チェック!今週の日経」の2回目です。この1週間には流通企業関係の大きなニュースがありました。その背景には、個人消費の変化や人手不足など最近の経済を見る上で大切なトレンドが透けて見えます。企業ニュースをきっかけに、経済の大きな流れに敏感になりましょう。

三越伊勢丹の大西社長が突然の辞任

 百貨店業界の関係者は、先週月曜の朝、日経新聞の1面を見て、驚愕したはずです。

「三越伊勢丹HD、大西社長が辞任へ 多角化の成果出ず」(3月6日)

 百貨店業界トップ、三越伊勢丹ホールディングス(HD)の大西洋社長が、経営不振と事業多角化の成果が出なかったことを理由に3月末で辞任することが分かった、というスクープ記事です。

3月末に辞任する大西社長

 旧伊勢丹出身の大西社長は「ミスター百貨店」とも呼ばれる業界のスター。紳士服畑の出身で、伊勢丹新宿本店メンズ館を成功させ、三越と伊勢丹が経営統合(08年)してできた三越伊勢丹HDのトップに2012年に就いた後は、他の百貨店にはない独自商品の開発を進める一方、社内風土が全く異なる旧2社の融合にも心血を注いできました。最近は、レストランやエステ、旅行など異業種とのM&A(合併・買収)により、事業の多角化を推進し、注目を集めていた存在なのです。

 そんな実力経営者がなぜ、急に辞めるのか。人事が正式に発表された翌日の日経には、その真相を解説する「三越伊勢丹、大西改革に労組反旗 石塚会長が辞任迫る」(3月8日)という記事が掲載されました。それによると、急速な多角化と本業の建て直しを同時に求められた現場が反発し、労働組合が石塚邦雄会長に社長辞任を"直訴"した結果、大西社長は事実上、解任されたということでした。石塚会長が旧三越出身で、次期社長に内定した杉江俊彦取締役専務執行役員も石塚氏に近い存在と報じられたことから、これは合併企業にありがちな「お家騒動か」との憶測も呼びました。

 実は筆者は1月中旬に、大西氏にインタビューをしています。そこでは、国内の人口減と「モノからコトへ」(これ、大事なキーワードです!)という消費トレンドの変化の中で、百貨店事業以外のビジネスを積極的に拡大し、海外展開の強化や不動産事業への参入も行うと熱弁を振るわれていました。それが2ヵ月もたたないうちにこんな結果になろうとは。大西氏もさぞ、無念だと思います。

 ただ、小売業の老舗である百貨店を取り巻く状況が厳しいのは確かです。15年度にはインバウンド特需で潤ったものの、爆買いが収まった16年度は株価低迷による富裕層需要の落ち込みもあって、三越伊勢丹に限らずどこも業績は悪化しています。そんな中での今回のトップ交代。急ぎ過ぎた改革への揺り戻しか、本当に変身するための産みの苦しみなのか、しばらくこの企業から目が離せません。

ルミネが8割の店舗で閉店時刻繰り下げ

 紹介するもう1本のニュースも、背に腹はかえられなくなった流通企業の苦しさが浮き彫りになっています。

「営業短縮 小売りに拡大 ルミネ、店舗8割の閉店繰り上げ」(3月8日)

 同日の1面トップを飾ったこの記事は、ファッションビルのルミネが4月から旗艦店を含む約8割の店で、閉店を30分早めるという独自ニュースを軸に、スーパーやファミリーレストランなどの同様の事例も合わせてまとめたものです。ルミネは皆さんもなじみのある店だと思いますが、例えばルミネ新宿では午後10時まで営業しています。それを4月からはレストランを除いて午後9時半には閉店することになりました。

夜間の営業短縮に踏み切ったルミネ

 客足が減ったので営業時間を短縮するというなら時折ある話ですが、業績好調なルミネでは事情は違うようです。その理由は深刻な人手不足。ルミネにはテナントとしてファッションや雑貨のお店がたくさん入居しています。でもテナントは自分勝手には営業時間を決められないので、特に夜間は店員の負担が大きく、今の人手不足の中では新規採用もままならなかったそうです。人手不足でサービス内容を変えざるを得ないというのは、前回に紹介したヤマト運輸の一連の報道にも通じますね。

 この記事では阪急阪神百貨店やイオン、すかいらーく、ロイヤルホストなども相次ぎ営業時間を見直していることを紹介しています。ファミリーレストランではもう24時間営業の店は少数派になりつつあるようです。夜更かし派の方にはちょっと残念かも知れませんが、働く側から考えると深夜勤務の減少は朗報かもしれません。
(研修・解説委員 若林宏)

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