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[ career-働き方 ]

リアルタイム就活ストーリー(7)学生がどんどん減っていく?
説明会ラッシュの日々

西山昭彦 authored by 西山昭彦一橋大学特任教授
リアルタイム就活ストーリー(7) 学生がどんどん減っていく? 説明会ラッシュの日々

 3年生は3月1日を過ぎ、短期決戦に巻き込まれていた。説明会と早いES締め切り。2人は無事就活を乗り切れるのか...。

個社説明会では質問でアピール

 就一は、3月1日の大学限定セミナーで企業の超ブランド大学志向を感じ、かなり落ち込んだ。しかし、翌日には気をとりなおし、その場では遠い存在に感じた第一志望のA社を横目で見つつも、第一志望群の各社へのアプローチを強めた。インターン後に呼ばれる面談も続け、OB訪問も活発に行った。

 とりわけ、各社の個別説明会への出席と終了後の質問を通じての自己PRで差別化をはかった。「中期経営計画で御社は○○の方向を打ち出していますが、その進捗はいかがでしょうか」、「説明では、初めは販売の現場第一線に、その後適性を見て次の部署に配置されるということですが、本人の希望はどういうタイミングや制度で申告できるのでしょうか。私はいずれは海外で働いてみたいと思っていますので」。

 ほかの学生より調べてきているのをさりげなく出し、その会社でのキャリア形成への真剣さを訴えた。相手も真摯に回答してくれるので、しっかりメモをとって聞く。「こんな質問、自分しかできないだろうから、印象もいいはずだ」。その会社を後にして、次に向かう前に喫茶でタバコとLINE。「その来週の女子大との飲み会、俺出席するよ」。

 オフィス街を歩いていると、「ここを歩いているたくさんの人が皆受かってるんだからな、俺も受かりそうな気になるよなあ」と、春の日差しが就一の期待を高める。実は、自己PRが行き過ぎた質問は、本人が思っているほど人事にいい印象を与えてはいなかったのだが...。

学内説明会に連日出席

 活子は3月1日から6日間、学内会社説明会に朝10時から16時まで出続けた。合計36社の説明を聞いたことになる。その間学外には一切出ていない。「こんなに多くの会社の人が来てくれるなんて、すごくありがたい。こんな機会は一生に1回しかないだろうな」。自分の大学のありがたみを感じた。

 学生が100人以上出て立ち見の会社がある一方、2、3人しかいない会社もある冷厳な現実は続いていた。活子は早く行くので満員でも座れるのだが、2日目から自然と大人数の部屋には行かなくなった。事前に明日来る会社すべてのHPを見て、それまで知らない会社でも必ず事業内容を見て決めるようにした。

 「きっとこの会社は超有名で大勢学生が来るから、私がいなくても関係ないだろうな。でも、こちらの会社は地味だし、B to Bの部品が主力で、みんな知らないから来ないだろう。業界では2位なのに、もったいないな」と、そちらに足を運んだ。興味のある会社がその時間帯にない時もどこかの会社の説明会に必ず出た。「きっと、たくさんの時間をかけて準備して来てくれてるんだから」。

 さらに聞きたいときは残って質問した。もらった名刺の数も10枚近くになった。その都度、今日のセミナーの感想とお礼のメールを出した。その中の1社からはあまりにも早い返信をもらい、びっくり。「電車の中から送ってるのかな」

 あせるのは、最初のES締め切りがなんと15日だ。活子は毎夜各社の感想をまとめながら、ESの作成に必死になった。以前に、学生時代や自己PRはひな形を作ってあったのでスムースに進められたが、志望動機は一からなので大変だ。なにしろ数日前に知ったのばかりの企業もある。締め切りを破ったことがない活子は寝不足になりながらも、連日一番乗りで説明会に参加する日々を過ごした。

 「初日にあんなにいた学生がどんどん減っている。みんな、どこ行っちゃたのかな」手を抜くのが嫌いな活子のハードな1週間が終わった。
(2017年3月14日現在)

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