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[ liberal arts-大学生の常識 ]

ニュースの見方(39)航空業界で働く
外資系や空港会社という選択肢も

戸崎肇 authored by 戸崎肇大妻女子大学教授・経済学者
ニュースの見方(39) 航空業界で働く外資系や空港会社という選択肢も

 前回の原稿に引き続き、航空関連の就活を考えてみましょう。日本には外国の航空会社も多く乗り入れ、人材を採用しています。外資系航空会社の場合、新卒採用としてはキャビンアテンダント(CA)が中心となります。事務系は中途採用が主流となりますが、新卒でも積極的にトライすれば道は開けるでしょう。

外資系はCA中心に採用

 日本では日本航空、全日本空輸だけでなく、ピーチ・アビエーションなどのLCC(格安航空会社)や、地方拠点の航空会社が業容を拡大しています。皆さんにとっても会社選びの対象が広がっていると言えます。さらに外資系航空会社にも、目を向けてみたらどうでしょうか。採用情報については、CAを中心に扱っている月刊誌『エアステージ』(イカロス出版)などが役立ちます。英字新聞である『ジャパン・タイムス』の求人欄にも目を通すとよいでしょう。

就航5周年の記者会見で客室乗務員とポーズをとるピーチ・アビエーションの井上慎一CEO(3月1日、関西国際空港)

 外資系の場合、日本の航空会社の場合と違って、その本拠地である国との関係がメーンになりますから、CAであれ事務系であれ、その国の言葉が話せることが有利になります。このことは、裏を返せば日本の航空会社を狙うよりも対策が立てやすいということになります。

 外資系航空会社同士の間では、特に事務系において転職が多くみられます。それだけ専門性が問われ、能力が高ければよりよい待遇を得るための機会が得られると言っていいでしょう。

ホテル同様、キャリアアップも

 この点はホテル業界と似ています。ホテル業界でも、経験を積み、よりよいポジションを求めて転職していくのが昔からのスタイルで、最終的には総支配人を目指していきます。したがって、航空業界において旅客取扱、セールス、貨物といった分野で専門性を高め、確固としたポジションを築いていきたいというのであれば、むしろ外資系の方が向いていると思います。

 日本の航空会社に就職しても、最終的にはある程度の専門分野が決まってきますが、外資系ほどのスペシャリスト志向はなく、若いうちはオールラウンダーを育てようとする傾向がまだ強いからです。

マレーシアのLCC大手エアアジア傘下のエアアジアXは関西国際空港とホノルルを結ぶ路線を開設すると発表(2月10日、大阪市)

 CAの場合、外資系に就職すれば、乗務する路線がある程度決まってきますし、本拠地である国がベースとなり、そこで生活する可能性も出てきます。もし、その国に住むことにあこがれているのであれば、是非その国の航空会社にトライしてみるべきです。

 また、事務系もそうですが、特に米国系の大手の航空会社などは、様々な研修を米国本社で行っています。そうした研修の場では、世界中の支店から集まった様々な国籍の仲間たちと交流することができるのも楽しみとなります。そこで知り合いが増えれば、世界中色んなところに休暇で遊びにいく時に、色々と便宜を図ってくれることでしょう。もちろん、日本の航空会社の場合もそうしたメリットはありますが、路線の広がりが全く違いますからどちらを選ぶかは好み次第です。

空港ターミナル運営会社という選択肢

 航空にかかる仕事としては、空港で働くという道もあります。たとえば空港ターミナルを運営する会社です。成田空港では、成田空港株式会社、羽田空港の国内線ターミナルは日本空港ビルディング株式会社、関西空港と伊丹空港は関西エアポート株式会社といった民間会社が運営を行っています。その他の空港についても、それぞれに運営会社がありますが、それらは県と地元企業が共同で運営する第三セクターです。

 空港ターミナルを運営する会社は基本的には不動産業と考えていいでしょう。ただ、その主な取引先はカウンターやボーディングブリッジ、待合室を使用する航空会社や、デゥーティーフリーショップ(免税店)といったところになりますので、そうした取引先にときちんと取引交渉を進めていくための知識・経験が必要となります。

 実はこの分野には専門家と言えるような人材が少なく、空港経営に関しての専門家が強く求められています。

民間の力を生かす

 この背景には、昨今、空港の運営権(コンセッション)を民間に売却し、空港運営の効率化を図ることが進められていることがあります。地方空港を中心に、これまで第三セクター方式で経営が行われてきたものの、空港施設内のサービスの品質に関する評判が低く、社会的にも問題となってきました。空港はなかなか競争原理が働かなかったため、一般企業なら当然求められるような経営努力をしなくても生き残ることが可能だったからです。

民間の力を空港運営に生かす例が増えてきた(関西国際空港)

 しかし、空港の運営には国の税金も使われていることから、こうした状況はまずいということになり、運営面での民間活力を導入し始めています。関西空港は、運営権がオリックス・グループと仏空港運営会社バンシ・エアポートに売却され、様々な経営改革が進められているところです。仙台空港も、運営権の売却の最初の案件として注目され、現在は東急グループを中心に運営が行われています。

 空港は航空機が好きな人にとっては非常に魅力的な空間であるはずです。それをどのように運営し、自分が理想と考えるような空間にコーディネートしていくかを考え、それを実際に行っていくことはとても魅力的な仕事ではないでしょうか。それに、すでに述べたように、この分野における専門家は極めて少ないのが現状です。この分野でのパイオニアを目指していくというのも非常に魅力的な選択だと思います。

 今後、空港運営に関して、コンセッションの売却はどんどん広がっていきます。つまり、一つの空港で経験を積み、成果を残せば、その後いくらでもプロモーションの機会が与えられることになるでしょう。航空関係への就職に興味を持っているのであれば、是非、こうした先見の目も持って、就職活動に取り組んでください。

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