日本経済新聞 関連サイト

OK
[ liberal arts-大学生の常識 ]

「えっ、こんなに簡単」
ドローン操縦を初体験

「えっ、こんなに簡単」 ドローン操縦を初体験

 小学生だったころの筆者の冬休みといえば、年明けの大会で遠くに高く飛ばせるように研究開発しながら凧(たこ)を作ることだった。あれから30年たった今年の冬休みは、同じ小学校のグラウンドでドローンを飛ばしていた。自作の凧はなかなかうまく上がらず苦労したものだが、ドローンはいとも簡単に上空80メートルまで飛んでいき安定して飛行するのに驚かされた。

あきる野なら飛ばせる

 ドローンに関しては、毎年1月に参加している米ラスベガスの家電見本市「CES」に様々なメーカーが出展していることもあり、数年前からよく目にはしてきた。だが、首相官邸に落下した事件などが大きく取り上げられた日本では、航空法の改正で人口密集地域の屋外での飛行は200グラム以下の機体に限られてしまっている。最近はNTTドコモやKDDIがLTE通信に対応させることで目で見える範囲を越えて飛ばせるように技術的にはなりつつあるものの、もっぱら法人での活用事例が中心で、一般のユーザーはなかなか気軽には飛ばせない。

 そうした状況の日本で、楽天モバイルが中国DJI社製のドローン「マビックプロ」を取り扱うと発表してきた。楽天モバイルとしては「スマートフォン(スマホ)生活をもっと楽しんでもらうための周辺機器」と位置づけているようで、同社のスマホとセットで買うと割引になる施策を実施している。

楽天モバイルが販売を開始した中国DJI社製のドローン「マビックプロ」

 とはいえ、「結局は都内で飛ばせるところなんてないのでは」とさほど興味を示すことができなかった筆者だが、DJIの広報担当者から「そうなんです。都内だと(ドローン特区として認定された)あきる野市ぐらいしかないんです」と申し訳なさそうにいわれて、一気にドローンが身近なものになった。あきる野市は筆者の出身地で、卒業した小学校の校庭であればドローンを飛ばせることがわかったのだ。早速、マビックプロを借りて年末年始の帰省の際に校庭でドローンを飛ばすことにした。

 マビックプロの特徴は「折り畳めるドローン」ということだ。アーム部分を折り畳んでコンパクトに収納できる。折り畳むとペットボトル程度のサイズだが、もちろん4本のアームを広げると、それなりに大きなドローンに変身する。

本体から伸びた4本のアームの先にプロペラが付いている
アーム部分を折り畳むとペットボトル程度のサイズになる

 マビックプロの正面部分にはカメラが搭載されている。有効画素数は1235万画素で、静止画の最大解像度は4000×3000ドット。最大4Kでの動画が撮影できる。ドローンの中央部には大きな着脱式のバッテリーが内蔵されている。バッテリー1本で20分ちょっとの飛行が可能だ。

自動制御でらくらく

ドローンの正面部分にはカメラを搭載し4Kの動画撮影も可能だ

 実際のドローンは、ゲームのコントローラーのようなデバイスを使って操作する。このコントローラーにiPhoneなどのスマホを装着し、そこでDJIのアプリを起動すると、ドローンからの映像が見えるだけでなく、様々な情報を確認することが可能だ。

 筆者にとって初めてのドローン操作だったので、最初は正直いってかなり不安だった。しかし、DJIのアプリには、ドローンの操作をシミュレーションできるモードがあり、コントローラーを操作しながら、どのようにすれば飛びどうすれば前進するのかなどを練習できた。これで、多少の不安は解消された。

 実際に飛ばしてみたら、思った以上に操作が簡単で驚いてしまった。コントローラーのジョイスティック部分をハの字にすると、プロペラが一気に回転。あとはジョイスティックをゆっくりと倒していけば、それに応じてドローンが飛んでいく。

 DJIのアプリではフライトモードの設定ができる。最初は飛行範囲が離陸地点から半径30メートルまでに限定される初心者モードで試してみた。ここでドローンがどういった挙動を示すのかをまずは確認しながら操作する。そして、慣れてきたところで、初心者モードをオフにしていく。

 マビックプロの操作が簡単だと感じるのは、前面に対物センサー、底面には超音波による測距センサーがあって、それで障害物を検知できるからだ。校庭の近くにある土手でドローンを飛ばしたのだが、土手や植木の近くを飛行しようとすると、センサーが働き警告音が鳴って一定の距離を保って近づけなくなるようになるのだ。この機能があるため、操作を誤ってもどこかにぶつけてしまって壊してしまうという心配がないのが心強い。

コントローラーにスマホをセットし、その上のアプリでドローンのカメラの映像を見ながら操作する
コントローラーのジョイスティックを操作するとドローンが徐々に離陸していく

上空80メートル付近まで飛ばして母校の校舎や近所の家並み、遠くに走る電車など懐かしい映像が見られた

 一定の高さでホバリングをするだけでなく、その高さを保ったまま直進する操作も簡単だ。何より安定して飛行できるように自動制御されるのが驚きだ。ドローンを飛ばした当日は、風がやや強く、アプリ上でも時折「強風」というアラートが表示されたのだが、飛行には特に問題がなかった。

ドローンにも「ホーム」ボタン

 最も感心させられたのがボタン一つで離陸地点に戻る機能だ。コントローラーにあるボタンを押すと、すぐに離陸地点に帰ってきて自動的に着陸してくれるのだ。ついつい遠くへ飛ばしすぎて不安になることも多々あったのだが、そのボタンさえあればどこに飛んでいても、自動的に離陸地点に帰ってきてる。まるでiPhoneのホームボタンのように「困ったら、このボタン」という、いざというときの安心感があるのは大きかった。

 最初のころはおっかなびっくり飛ばしていたドローンだったが、最後には上空80メートル付近まで飛ばすこともできた。

 上空からの映像は手元のスマホで確認できるだけでなく、録画しておくことが可能だ。改めて、上空からの視点で、母校の校舎や近所の家並み、遠くに走る電車を見てみたが、30年が経過して、あまり変わっていない風景に、懐かしさを感じてしまった。

 飛ばせる場所の制約があり、個人向けドローンが爆発的にヒットするのは難しそうだ。だが、思った以上に簡単で安全性も高く、壊す心配も少ないドローンは昔、無線操縦装置で楽しんだ世代からすると、最先端のおもちゃとして、気になる存在といえそうだ。

石川温(いしかわ・つつむ)
 月刊誌「日経TRENDY」編集記者を経て、2003年にジャーナリストとして独立。携帯電話を中心に国内外のモバイル業界を取材し、一般誌や専門誌、女性誌などで幅広く執筆。ラジオNIKKEIで毎週木曜22時からの番組「スマホNo.1メディア」に出演(radiko、ポッドキャストでも配信)。NHKのEテレで趣味どきっ!「はじめてのスマホ バッチリ使いこなそう」に講師として出演。ニコニコチャンネルにてメルマガ(http://ch.nicovideo.jp/226)も配信。ツイッターアカウントはhttp://twitter.com/iskw226

[日経電子版2017年1月29日付]

「日経College Cafe」のお勧め記事はこちら>>