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NPOの虎の穴(24)震災から6年~七回忌・追悼式典で思ったこと

立花 貴 authored by 立花 貴公益社団法人MORIUMIUS 代表理事
NPOの虎の穴(24) 震災から6年~七回忌・追悼式典で思ったこと

 先日は今年で5年目となる雄勝ウォーク(被災地ウォーク)がありました。毎年、寒かったり、風が強かったり、小雨に見舞われたりという天候でしたが、今回は気温も高く晴天に恵まれました。5年前、雄勝診療所の小倉医師の声掛けで始まり、以降毎年開催されてきました。年々参加者も増え、今年は140人ほどが参加し、雄勝町内の旧市街地を3Kmほど歩きました。

臨場感ある震災の語りに引き込まれた

 このあたりには以前、家々や商店街、学校、病院がありましたが、今は土砂が積まれ、荒地になっています。かつての思い出の場所で語り部5人が話をしました。震災前や震災時の話、今までの歩みなど、当日の様子や津波が来た時の恐怖や大切な人を亡くした悲しみまで伝わってくる、臨場感ある語りに引き込まれました。

被災地ウォーク

 私が毎日通る道沿いにある雄勝総合病院跡地は、今年初めてルートに加えられ、参加者全員で献花し、手を合わせました。病院は震災後、3階建ての病院は早い段階で取り壊されました。医師・看護師・事務員24人、患者40人がお亡くなりになった場所。寝たきりの患者が多く、その患者を残して逃げることはできないと、医師・看護師が患者を屋上に運び、共に津波の被害にあったといいます。

 休日で病院を離れていたため、助かった看護師の方が語りかけるように、医師・看護師・事務員の思い出話を語る瞬間は、今までその場で感じたことのない、悲しみと慈しみの入り混じった感情に包まれました。

 語り部ができることは、小さなことで聞き手の心の中に小さな種を植えることなのかもしれない。命を守りたい大切な人のために持ち帰って、家で今日聴いたことを共有し、それぞれのご家庭で、学校・住民・行政など地域で有事が起きたときのことを考え、対応方法を決めておいていただくことにつなげてほしい。小さな種から芽を出し、さらに周りの人にその種を分けていってほしい。あの時のことを忘れず、続け、繋げていく。命を守りたい大切な人のために。そのことが、今日この日を生きたかった方々の供養にもなる。

 語り部からの話に、気づきと熱量を受け取った1日となりました。

「不平不満、批判からは何も生まれない」

 3月11日、七回忌の追悼式が執り行われました。震災翌年2012年に薬師寺の方々が岩手・宮城・福島を毎月のように巡り、被災された方々のお写経会と法話があり、1年間で2万巻ものお写経が薬師寺に奉納されました。

 今回も東松島や女川、南三陸、雄勝など各会場に集まった方々。大切な人を亡くされ、一文字一文字に鎮魂の想いを込めてお写経をする姿、法話を聞きながら涙する方々の姿を目にします。執事の方がお写経の合間をぬって、当時ご縁をいただき、どうなさっているかと思っていた方々のご自宅をめぐり、仮設住宅から新居に移られた方々の姿を見て安堵するとともに、仏壇の並べられた写真に手を合わせ涙する姿に癒えることのない心を感じます。

 七回忌を一つの節目として、3月11日、追悼式にあわせて石巻のホテルに120人以上が集まり、お写経会と法話がありました。

 執事の法話の中で、「不平不満、批判からは何も生まれない。雨の日、晴れの日もある。すべては心のありようだ。今、目の前のことに、目の前の人のために一生懸命生きること、喜ばれること。そのような生き方をすることが、亡くなった方々の供養にもなる」という言葉が特に心に響きました。

 3月11日夜は実家に戻り、母・妹と3人で食事をとりました。震災直後、母妹の安否確認で戻り、今に至っていることに、改めて人生の不思議な導きを感じています。

七回忌の追悼式

香港の商談会で紹介した「himeco」

"香港商談会"で日本の食材の可能性を見た

 (株)雄勝そだての住人から、岩牡蠣「himeco」のご紹介で、香港の商談会に参加してきました。日本食材卸会社や百貨店、量販店のバイヤーの方々との個別商談です。フランス・ボルドー・各シャトーのワインのようにジャパンオイスター・サンリク・漁師/地域というような、日本の牡蠣ブランドに繋がればと(社)東の食の会や三陸フィッシャーマンズリーグのメンバーとともに取り組んでいます。

 「築地へ電話1本で翌日には高鮮度な鮮魚が届く」「世界的に見てこれだけ鮮度の良い日本食がすぐに揃う国はない」「香港には富裕層か庶民かだけで中間層はいない」。これが香港での商談の先々で出てくる言葉です。

 20年ほど前から香港でも本格的な日本食ブームが来て、今ではローカルフードにもなりつつあります。ビザが不要になり、日本を訪れる香港人も増え、日本で日本食の味を知った多くの人が、さらに日本食に足を運ぶようになったようです。

 和食、寿司、回転寿司、とんかつ、日本式ラーメンなど、あらゆるお店が軒を連ねています。各県行政からの応援もあってか、どこのスーパーや百貨店に行っても、様々な産地のフェアをやっています。また、日系スーパーでは7~8割の商品が、日本から商品が輸入されているようです。今まで日本の食材を使ったことのない飲食店やホテルなどでも「さらに日本の食材が使われるようになる」とおっしゃる方もいらっしゃいました。

 先人が築いてきた高品質、安心安全というモノづくりに対する日本のブランド力、日本への信頼は計り知れません。今後も訴求すべきは、高品質な商品、そしてさらに今後は持続可能な漁業や想い、背景なども含めて伝え、丁寧に時間をかけてやっていくことに尽きる、と改めて実感しています。

<お知らせ>
その1
新著『ひとりの力を信じよう』(英治出版)
Amazon、全国書店にて発売中。この本の印税は全て公益社団法人MORIUMIUSに寄付されます。

その2
お世話になっているあの方へ、歓送迎の贈答、ホームパーティーやイベント、もちろん、自分へのご褒美にも雄勝の旬の海の幸を活用ください!
(株)雄勝そだての住人 

その3
農林漁業などの一次産業体験を人と地域から学び、田舎と都会、日本と海外の仲間との共同生活を通じて多様性を学び、持続可能な社会を創るこどもたちの学び場がモリウミアス・ルサイルです。7泊8日を基本プランとし、2泊3日のMEETモリウミアスという短期間の体験プランも実施、週末1泊2日でこどもと一緒で参加できる家族コースも用意しています。詳しくはHP、FBをご覧ください。

ホームページ
http://www.moriumius.jp
https://www.facebook.com/moriumius.ogatsu

ひとりの力を信じよう――「今あるもの」で人と地域の未来をつくる

著者 : 立花 貴
出版 : 英治出版
価格 : 1,620円 (税込み)

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