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[ career-働き方 ]

曽和利光の就活相談室説明会解禁
賢い就活生は「閑古鳥」ブースを狙う

authored by 曽和利光
曽和利光の就活相談室 説明会解禁賢い就活生は「閑古鳥」ブースを狙う

 就活生の皆さん、こんにちは。人材研究所(東京・港)の曽和利光です。企業の説明会が「解禁」となり、就活戦線が本格スタートしました。「就活相談室」に集まってくれた3人の就活生からも、まさにこの節目にぴったりのハテナが飛び出してきました。合同説明会(合説)で企業のブースを回るときに心すべきポイントは? どんな企業が「狙い目」なのか? 一つ一つ、お答えしましょう。

参加者
▽加藤誠也さん(高崎経済大学経済学部3年)
▽佐藤萌さん(早稲田大学スポーツ科学部3年)
▽高橋収美さん(津田塾大学学芸学部3年)

説明会はディズニーランドと同じ

佐藤さん 私は学内で開かれる合説に参加するつもりです。いろんな企業が出展していて、まずは自分が興味ある企業のブースに行くつもりですが、他の企業も回ったほうがいいでしょうか。

 そうですね。佐藤さんが今のところズバリ興味のある企業でなくとも、まずは回っておくのが正解でしょう。単に企業の担当者とのやりとりで場数を踏むという目的もありますが、ふらっと立ち寄ったブースの企業にピンときて就職先を選ぶ人もけっこういますよ。もしかすると佐藤さんが思いも寄らない出合いが待っているかもしれません。さっさと切り上げてサークルなり何なり自分のやりたいことをやる、というのもいいですが、せっかく合説に参加しているなら、その時間を有効に使ったほうがいいと思います。

佐藤さん そのとき、どこの企業のブースを回ったらいいのか、どう決めたらいいんでしょうか。

 例えばディズニーランドを思い浮かべてください。人気のアトラクションは何時間も待ったりするけれども、あまり人気のないものはすぐに乗れますね。それと同じで、合説の企業ブースでも、学生が殺到して席がないところもあれば、閑古鳥が飛び交っているところもあるでしょう。そんな「閑古鳥ブース」をいっぱい回ることをお勧めします。

 いま「え?」って顔をしましたね。実は、就職してから、いいキャリアパスを歩んでいる人の特徴の一つが「逆張り」です。みんなが行かないところに行ってみる。何がいいのかというと、入社後の競争相手が少ないんですよ。超人気企業にビリで入ったとして、その後の人生がどこまで幸せか。ぜんぜん人気のないブースに行ってみて、興味を持てる企業が見つかれば、人生のハードルは少なくてすむでしょう。

高橋さん どんな企業が「狙い目」なのか、詳しく教えてもらえませんか。

他の大学に潜り込んでもいいの?

合同説明会はディズニーランドと同じ(就活生を模擬面接する曽和さん)

 一つ指摘できるのは、消費者向けの最終製品を持たないBtoBのメーカーですね。学生の皆さんにはあまり知られておらず人気も低いのですが、世界で有数のシェアを持っていて存在感のある企業も少なからずあります。そんな企業の文系職は、かなりお勧めですよ。就活生はみんな、最終製品のあるBtoC企業に殺到します。競争倍率が1000倍に達するケースさえありますが、そんな会社を受けるのは私に言わせれば宝くじを買うのと似たようなものです。

 そうはいっても、普段の消費生活で関わりのないBtoB分野に、どんな会社があるのかわからないというのも本音でしょう。そこはぜひOB訪問の機会を使って、社会人の先輩にどんな企業が注目なのか教えてもらうことをお勧めします。あるいは、学生が登録したプロフィルをみて企業側がアプローチしてくる「逆求人」のサイトやアプリを活用するのも手です。

高橋さん 他の大学で開催されている合説に潜り込んでもいいと先輩から助言されました。違う大学の学生とばれたらどうなるかと不安なのですが......。

 あはは、なるほど。それはその企業の価値観によるかもしれませんね。ルールを守ることが大切な企業だと、眉をひそめられる可能性があります。逆に、私の勤めていたリクルートのような会社であれば、ルールを破る人は変革をもたらし得るとして歓迎されます。高橋さんは前回模擬面接で「真面目さ」をアピールしていたから、少しずれている気もしますが(笑)。それが高橋さんの本質ならば、それを認めてくれる会社もあるということです。いずれにしても、違う大学の学生だからといって、追い出されるようなことはないと思いますけどね。

第1志望はなるべく先に

加藤さん 先輩に聞くと、就活が本格化してからはスケジュールの管理が大変だそうです。特に僕は群馬県の大学なので、説明会に合わせて東京に行くのも毎日とはいきませんし、予定がバラバラだと無駄が多くて困ります。うまく予定をマネジメントするコツはありますか。

 スケジュールの問題は確かに難しいと思います。加藤さんの都合に企業のほうから合わせてもらうのは無理ですよね。でも、打てる手はあります。まずできるのは、特に行きたいとは今思っていない会社の説明会であっても、ともかくエントリーして、上京したときの日程をみっちり埋めてしまうことです。思いも寄らぬ出合いがあるかもしれないし、場数を踏むだけでもプラスです。合説でも、参加しているのに会場の片隅で友達と話してばかりいる学生がたまにいますが、せっかく参加しているのにもったいないです。

 今後、選考過程に残ったときのスケジュール管理についてもお話ししておきましょう。面接などの日程を希望する際に、第1志望の企業を先にするか、それとも後にするか、どちらがいいと思いますか?

佐藤さん 私は第1志望が割と後のほうがいいです。

高橋さん 私もそうです。

加藤さん 僕も同じです。

 そうですか。でも、第1志望が後になると、それ以外の企業の内定が先に出て悩むことになりかねません。練習台になるような企業は別として、第1志望を先にするのがベターです。実は、後になればなるほど企業の門は狭くなっていくんですよ。ものすごく優秀な人材と、ボーダーライン近辺の人材なら、人数の多い後者の人材から採用枠は埋まります。「おおむね採用計画を満たせそうだから、残りは優秀な層だけに絞ろう」となり、早く受ければ通ったはずの人材も落とされることがあるので、第1志望は早いほうがよいのです。

サークルの話題は1回きりに

「BtoB企業に注目してほしい」と曽和さん

佐藤さん 自己PRで取り上げるエピソードにサークルのことを選ぶとしますよね。それと別の、「学生時代に頑張ったこと」で取り上げたい話題もサークルのことで、同じような内容になってしまうんです。やっぱり差別化したほうがいいでしょうか。

 なるほど。面接に限らず、むしろエントリーシートで突き当たりがちな悩みかもしれませんね。自己PR、頑張ったこと、さらには自分の強み......これらをどうやって書き分ければいいのか。佐藤さんも感じているように、同じ内容にするのはよくないと思います。仮に自己PRで強調したい特質が自分の身についているものであるならば、サークルでなく、他のところでも発揮できて当然だと人事担当者は考えるからです。

 面接でも「他には?他には?」ってよく聞かれますよ。あなたの特質がサークルだけでなく、他の場面でも再現されているかどうかを面接官は知りたいのです。もし、それが一つの場面だけだと、たまたまかもしれないと思ってしまいますよね。その特質が発揮された場面やエピソードを、なるべく複数用意しておくべきでしょう。

加藤さん 面接のとき、特にグループ面接では、自分の発言を短めにしたほうがいいと就活セミナーで聞きました。40秒ぐらいが適切だそうなのですが、やはりそのぐらいが面接官としても好ましいものですか。

 あまり「40秒」にこだわる必要はないでしょう。興味深い話であれば、そんなに短くなくても喜んで聞きますよ。必要なのは具体的な事例です。その中に、何か意外性があったり、程度が甚だしかったりするエピソードがあれば、聞く方としても引き込まれます。逆に抽象的な話に終始してしまうのは、ダメなケースの典型です。

 実力のある面接官に担当してもらい、いわゆる「会話のキャッチボール」をうまく続けられたのなら、「40秒」は効果的な目安かもしれません。ただ「自己PRをお願いします」というような、ある意味で手抜きの質問を投げかけてくる面接官だと、キャッチボールが成立しない恐れもあります。突っ込んでもらいたいと思って「ネタ」を小出しにしているうちに、「はい、ありがとうございました」と打ち切られてしまうかもしれません。少し長くなったとしても、言いたいことはしっかり自分から語ったほうがよいと思います。

曽和利光(そわ・としみつ) 1971年生まれ。京都大学教育学部卒。リクルート人事部ゼネラルマネージャー、ライフネット生命総務部長などを経て2011年、主に新卒採用を対象にしたコンサルタント事業の人材研究所を設立。著書に「就活『後ろ倒し』の衝撃」(東洋経済新報社)、「『できる人事』と『ダメ人事』の習慣」(明日香出版社)などがある。
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[日経電子版2017年3月1日付]

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