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チェック! 今週の日経(3)巨大企業、東芝はどうなる?

authored by 日経カレッジカフェ 
チェック! 今週の日経(3) 巨大企業、東芝はどうなる?

 日経の研修・解説委員が、この1週間の日経電子版や日本経済新聞から企業ニュースを中心にピックアップし、解説する「チェック!今週の日経」。3回目は日本を代表する大手企業の一つ、東芝の経営危機をめぐるニュースを見ていきましょう。企業経営はいったん逆回転が始まると、何から何までうまくいかなくなることがあります。会社とは永続的なものではない、絶えず変化の中で事業を展開していることを経営危機のニュースから読み取っておくとよいでしょう。

大企業東芝の落日

 3月15日の朝刊1面トップは次のニュースでした。

東芝、米原発を過半売却 半導体に続き分離 東証、監理銘柄に指定(3月15日)

東芝社長会見
決算発表再延期会見で綱川智東芝社長(3月14日)

 東芝は前日の14日、16年4~12月期連結決算の発表を予定していましたが、監査法人から決算書類への承認を得られず、発表延期を余儀なくされました。2月に続く2度目の延期です。これを受けて記者会見した綱川智社長が今後の経営再建計画の方針を発表、その内容は見出しにあるように米原発子会社、ウエスチングハウス(WH)の株式を売却して連結対象からはずし、社会インフラを主体にした企業に生まれ変わるというものでした。

 総合電機という業種に分類される東芝は、それこそ原子力発電所のような大きなものからパソコン、家電など身近な電気製品まで手がける巨大企業です。成長が曲がり角を迎えた2000年代に原発事業とメモリー事業を2つの柱にした経営戦略を進めてきました。これが昨年末、WHに巨額の損失が出たことが発覚し、会社の資産を上回る損失を受ける見通しになったのです。損失を埋めるため、もう一つの柱のメモリー事業を売却することを決めましたが、原発事業を自らの手で立て直すのも難しく、こちらも売却することになりました。東芝は中核事業を二つとも失ってしまうのです。

 ですが、残る事業も年間売上高で4兆円弱とかなりの規模です。中核になる社会インフラ事業はエレベーターや空調など。この他にも、火力など原子力以外のエネルギー、メモリー以外の半導体、IT(情報技術)システムなどが残り、成長の芽がないわけでありません。それでもピーク時の売り上げからは半減する事態で、経営危機の及ぼす影響の大きさが分かります。

 売却されるメモリー事業も日本の競争力にかかわる技術なので、外国企業に買収されて技術が流出する懸念が出ています。17日付の1面トップ「東芝再建に公的資金案 半導体分社、政策投資銀を活用」など、金融機関や政府の動きを伝えるニュースも相次いでいます。巨大企業の経営危機は単にその会社と取引先だけではなく、多くの業界から政府・自治体までを巻き込んでいくことになるのです。

広がる人材確保の動き

 もう一つ1面のニュースをご紹介しておきましょう。

オリエンタルランド、非正規2万人を組合員に 人手確保(3月15日)

オリエンタルランドが運営する東京ディズニーランド

 東芝のニュースと同じ日の1面の2番手の記事です。見出しにある「人手確保」の4文字がこのニュースのポイント。働き方改革のニュースはこの「チェック! 今週の日経」で立て続けに紹介していますが、人手不足はそれだけ大きな広がりがあるということでしょう。

 第1回のヤマト運輸のニュースでは「残業1割削減」、前回のルミネのニュースでは「閉店時間繰り上げ」、今回のオリエンタルランドでは「非正規従業員を組合員に」と、それぞれの業種業態に応じて採る手段が違っているのが興味深い点です。記事でも触れていますが、正社員の6~7倍の非正規社員を抱えて、オリエンタルランドはディズニーリゾートを運営しています。その働きが夢の国を支えているのです。働きやすい環境を正規、非正規の垣根にとらわれず構築していくことができなければ、質の高いサービスを維持する労働力を確保できないというのが会社の考えでしょう。オリエンタルランドはディズニーリゾートの人気で就職人気も高い企業ですが、働く環境を整えるような一見地味な業務も重要な仕事になってきています。

 非正規社員の組合員化は自動車や流通などでも動きがあります。厚生労働省の労働組合基礎調査によると、昨年6月時点で全組合員に締めるパート従業員の比率が過去最高の11.4%になったといいます。多様な働き方ができる社会づくりに向けて、個々の企業で様々が取り組みが進んでいるようです。

(研修・解説委員 水柿武志)

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