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チェック! 今週の日経(4)TSUTAYAがジブリの産みの親を
買ったワケ

authored by 日経カレッジカフェ 
チェック! 今週の日経(4) TSUTAYAがジブリの産みの親を買ったワケ

 日経の研修・解説委員が、この1週間の日経電子版や日本経済新聞から企業ニュースを中心にピックアップし、解説する「チェック!今週の日経」。今週は「TSUTAYA」を手がけるカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が出版社の徳間書店を買収したというニュースを紹介します。出版などのメディアと書籍流通の関係が大きく変わりつつあることが分かる事例です。

徳間書店のコンテンツ力を「TSUTAYA」に生かしたい

 出版不況の中、経営が思わしくない徳間書店をCCCが救済するというのが今回のニュースのあらましです。

CCC、商業施設で集客狙う 徳間書店買収を発表」(3月22日)

 1954年設立の徳間書店は週刊誌の「アサヒ芸能」が主力の芸能系に強い出版社で、映像や音楽事業も手がける総合メディア企業という側面もありました。アニメ好きな方には雑誌「Animage」を出している会社と言ったほうが通りがいいかもしれません。あの宮崎駿監督のスタジオジブリも、実は徳間書店が設立しました。「風の谷のナウシカ」もアニメ映画に先立って漫画で「Animage」に連載し、2005年にジブリが分離・独立した後も、徳間書店から関連書籍を発行しています。

 しかし、多角化路線は行き詰まり、出版不況が深刻化する中で2000年に約220億円あった売上高は2015年には80億円程度まで落ち込んでいました。そこで、すでに徳間書店の株式の15%を持っていたCCCが子会社化して再建を進めるというのが今回の図式です。

CCCが展開する「TSUTAYA」の店舗(東京・世田谷)

 ではなぜ、CCCは徳間書店の買収に踏み切ったのでしょうか。CD・DVDレンタルの「TSUTAYA」から出発したCCCですが、今では年間1300億円の出版物を売る国内最大手の「書店」でもあります。書店とカフェを融合した「蔦屋書店」や家電も売る「蔦屋家電」には行ったことがある方も多いのでは。最近では、図書館経営や動画配信サービスにも乗り出しています。そんなCCCにとって、徳間書店のアニメを中核にしたコンテンツ資産や企画・編集力は魅力に映ったようです。今後は、例えばショッピングモールに出す「TSUTAYA」を「Animage」編集部がプロデュースするというように、徳間のコンテンツを生かした店作りが進められるでしょう。

「TSUTAYA」では999円CDも販売している

 最近では、出版社や書店にネットメディア、書籍流通も絡んだ再編が相次いでいます。2014年にKADOKAWAが「ニコニコ動画」で知られるドワンゴと経営統合しました。KADOKAWAはアマゾンジャパンが行っている出版社との直接取引にも15年から参加し、電子商取引(EC)で多くの出版物を販売しています。出版社と書店とを仲介する取次でも、大手のトーハンが八重洲ブックセンターの株式の49%を、日本出版販売(日販)も文教堂グループホールディングス株の28%をそれぞれ取得するなど、書店を系列下に置こうとする動きが相次いでいます。

 紙の出版物の販売が12年連続で前年を下回るほど、本や雑誌は売れなくなっています。街中の「本屋さん」もどんどん廃業していますね。出版社や書店が生き残るためには、従来の出版流通にとらわれない、新しい取組みが求められているようです。
(研修・解説委員 若林宏)

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