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大学名フィルターのすべらない話

ホンネの就活ツッコミ論(5)

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NIKKEI STYLE

難関大以外の学生は、多少の差こそあれ気になるのが学歴フィルターでしょう。学歴フィルターとは、就職ナビサイトで説明会予約などの際に、出身大学によって空席表示・満席表示を変える、というものです。広い意味では大学名によって選考状況に差をつけることでもあります。

偏差値で変わる「人気企業就職率」

では、どの程度、大学の入学偏差値によって人気企業への就職状況が変わるのでしょうか。はっきりしたデータはこれまでありませんでした。そこで2017年1月に拙著『キレイゴトぬきの就活論』(新潮新書)を刊行する際、このデータを整理して提示するようにしました。実は単年度では、大学別のデータがあります。

週刊誌『サンデー毎日』が年1回、主要大学から主要企業にそれぞれどの程度就職したかをまとめた一覧表を掲載しています。データ作成は進学情報会社の大学通信。ただ、単年度データで経年変化がまとまっているわけではありません。そこで、私が大学通信に許諾を得たうえで、経年変化をまとめました。その一部が右の表になります。

さすがにすべての年度を集計するのは無理だったので、5年分について集計。売り手市場の年(1991年、2008年、2016年)、就職氷河期の年(2003年、2010年)で、主要大学別に就職率をまとめました。大学の数値は上から就職者総数、有名企業就職者数、有名企業就職率になり、太字は大学院修了者も含んでいます。 

やはり、東京大学、慶応義塾大学など難関大学ほど高く、明治・立教クラスから下がり、日本・東洋クラスになるとさらに下がっています。このデータから、有名企業への就職者の割合はある程度、大学の偏差値に連動していることが明らかになりました。

また、景気に連動もしています。当然ですが、売り手市場のときは高く、就職氷河期の年には下がります。とは言え、1991年と2016年とでは、ほぼ同じくらいの売り手市場です。ところが、1991年と2016年を比較したとき、東京大学を含め、どの大学でも有名企業就職率が落ちています。

これは有名企業にこだわらない学生が増えているからに他なりません。

ソニー「学歴不問」で難関大出身増える

大学名フィルターを論じる際に必ずと言っていいほど取り上げられるのがソニーの「学歴不問採用」です。大学名などにこだわらずに採用する、と1991年に発表した同社は学生の人気を集めて当時、大きな話題となりました。ところが、大学名にこだわらないとしたソニーの採用はその後、どうなったでしょうか。

実は難関大出身者が増えています。『サンデー毎日』/大学通信データによると、導入年(1992年卒)では東京大学・京都大学・大阪大学・一橋大学・東京工業大学の国立5校、それから早稲田大学・慶応義塾大学・上智大学の私立3校、合計8校出身者が採用者に占める割合は15.3%。前年は19.6%なので「学歴不問採用」の効果が出ています。

ところが、1997年は26.2%、2008年は50.6%、2016年は37.6%とそれぞれ導入前よりも上がっています。いくら大学名は無関係と言っても、難関大学以外の学生を増やすと断じているわけではありません。そのため、難関大学出身の学生が増えたとしても、おかしくはないのです。

学歴不問でも実力不問ではない~毎日新聞社の例から

大学名不問であっても、企業からすれば実力不問と断っているわけではありません。それをよく示すのがソニーよりも早く学歴不問採用を1979年卒から導入した毎日新聞社です。

1979年卒では、結果的には4年制大学のみ。1982年卒に上智大学外国語学部を3年生で中退した女子学生が入社します。しかし、この方、高校時代はアメリカに留学。大学在籍時は学内放送のニュースキャスターを務めるなどの才媛でした。

大学名を不問とする採用であっても、実力を軽視するとは誰も断っていません。ソニーや毎日新聞社の採用は実力不問ではないことをよく示しています。

売り手市場で2段跳び増える

では、難関大学以外の学生は就職で差をつけられるのが当然なのでしょうか。決してそんなことはありません。特に今年は学生有利の売り手市場です。そのため、企業側は採用者数を増やすようにしています。これまでは難関大学ないし準難関大学にのみ採用を絞っていた企業も、昨年から今年にかけては方針を変えました。例年よりも、偏差値がやや下の大学にも説明会を開催するなど広げています。

こうした売り手市場も反映してか、大学名フィルターについては1段跳び・2段跳びが目立つようになりました。ある評論家が以前、「あなたの大学の就職先一覧を見てください。それが就職可能な企業の全てです」とのコメントを出しました。

本人からすれば名言もかくや、と考えてのコメントだったのでしょう。残念ながら私から言わせれば、名言ならぬ迷言、妄言の類です。就職氷河期でも、学生の頑張り次第では、大学の偏差値よりも1ランク上の大学と同じ程度の就職先を選択することが可能でした。それが今年は1ランク上どころか2ランク上ということもあり得ます。

採用する側からすれば、様々なタイプの学生を採用しよう、と考えます。その際、偏差値が低い大学であっても、勉強熱心である、体育会系で根性がある、など、何か特徴のある学生は採用したい人材となります。

もちろん、難関大学にこだわる企業もあります。ただ、それは難関大学の学生の優秀さを示すものではありません。採用担当者が少ない、理工系中心のメーカーだと、一部では総合職採用でも難関大学にこだわります。

一方で、同じ業界、同じ規模のメーカーでも難関大学にこだわらない企業もあります。違いを知るためには総合職の採用実績校を見てみましょう。所属大学の偏差値と同じ程度の大学か、1ランク上の大学が多いようであれば大学名にそれほどこだわっていません。一方、総合職採用でも難関大学に固まっているようであれば、かなりこだわっている可能性が高いと言えます。

意外と知られていない逆フィルター

大学名フィルターでは、意外と論じられないのが逆フィルターです。難関大学出身者を中堅規模の企業が敬遠しようとすることです。

先ほど「様々なタイプの学生を採用しよう」と考えて、偏差値の高低を気にしない、と書きました。これは偏差値が低い大学の学生について難関大学出身者が多い企業の話です。実はこの逆、つまり難関大学出身者が敬遠されるということも結構あるのです。

中堅規模の企業からすれば、社内の上司、先輩社員が中堅クラスの大学出身か、短大卒、高卒者もいます。取引先も同じ。そこに難関大学出身の新入社員が入るとどうなるでしょうか。些細なことで「あいつはエリートくさい」「偏差値の高さを自慢している」などと言われてしまいます。出身大学によって、無用なトラブルが起きる可能性があるなら、ということで敬遠される、これが逆フィルターです。

もし、難関大学の学生が中堅規模の企業を目指す場合、どうすればいいでしょうか。これは単に頭の良さをアピールするだけではありません。人当たりの良さなどコミュニケーション能力が高い、とみられる必要があります。

なお、中規模ではなく小規模な企業やベンチャー企業はどうか、と言えば、この逆フィルターがやや薄まります。経営者が大学名をそれほど気にしていない、逆フィルターを気にするほど採用が順調ではない、ビジネス自体が複雑で優秀でないと仕事ができない、などの理由が考えられます。

深刻に考えるほどの意味はない

大学名フィルターについては、学生が気にするテーマです。しかし、社会に出れば出身大学がどこか、それほど仕事には影響しません。本人次第でいくらでも変わります。もちろん、変わるためには実力がものを言います。その実力を自分なりにどうつけていくか、高めていくか、それが全てです。

洒落・冗談で「××大学はいい」「自分の▽大学はダメ」などと話すのはいいでしょう。が、それを深刻に考えるのはあまり意味がない、就活を長く取材していて私は強く感じる次第です。

石渡嶺司(いしわたり・れいじ)
 1975年札幌市生まれ。東洋大学社会学部卒。2003年から大学ジャーナリストとして活動開始。当初は大学・教育関連の書籍・記事だけだったが、出入りしていた週刊誌編集部から「就活もやれ」と言われて、それが10年以上続くのだから人生わからない。著書に『キレイゴトぬきの就活論』(新潮新書)、『女子学生はなぜ就活で騙されるのか』(朝日新書)など多数。

キレイゴトぬきの就活論 (新潮新書)

著者 : 石渡 嶺司
出版 : 新潮社
価格 : 821円 (税込み)

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