大卒採用 18年春9.7%増
本社調査、介護・陸運・外食が旺盛

日本経済新聞社は3月20日、2018年春の新卒採用調査(1次集計)をまとめた。主要企業が計画する大卒採用の合計は17年春実績(見込み)に比べ9.7%増となる見通しだ。介護や陸運、外食など人手不足が深刻な労働集約型のサービス業で採用意欲が強い。人工知能(AI)などの技術革新に対応するため、理工系も14.8%増とニーズが高まっている。
8年連続でプラスとなった。非製造業が11.1%増、製造業は6.7%増だった。業種別では保育・介護施設を含む外食・その他サービスが29.3%増、ドラッグストアなどその他小売業で16.5%増と伸びが目立つ。
採用数が最も多いのはイオングループの約2000人。今春の2100人に続き高水準となる。2位は大和ハウスグループで13.4%増の1409人。賃貸アパートの建設が好調で、営業員や設計技術者を増やす。
人手不足が慢性化しているサービス業が積極的な計画を打ち出す。保育大手のJPホールディングスグループは保育士を中心に2割増の約450人、介護大手のSOMPOケアメッセージは介護士を主体に2.4倍の300人を計画する。
運転手不足に苦しむ陸運ではヤマトグループが大卒で今春並みの約300人、高卒で4割増の約600人を計画する。福山通運グループは大卒で2.5倍の300人だ。
積極出店を続ける外食大手やドラッグストアの採用意欲も強い。コロワイドは51.6%増の144人、サンドラッググループは72.4%増の500人の採用を目指す。
もっとも、サービスや小売りは今春計画が未達に終わった企業が多い。売り手市場が続く来春も苦戦が予想される。
採用方法を見直す動きもある。ヤマハ発動機はエントリーシートを廃止し、適性検査を通過すれば一次面接に進めるようにした。門戸を広げ、応募者を増やす。大和ハウス工業は選考から一度外れても再び応募できる「敗者復活」制を始める。
金融では大量採用が一巡し、抑制の動きがみられる。東京海上日動火災保険は団塊世代の大量退職がなくなり、20.7%減の約550人。三井住友海上火災保険は定型的な仕事を契約社員に移すなどし、19.1%減の約520人にする。大和証券グループは今春に当初計画を上回る700人を採用する反動で、15.4%減の592人とする。
文科系に比べ理工系の人気の高さも目立った。文科系・理工系別で回答した企業のうち理工系は14.8%増で、文科系の6.0%の2倍以上の伸び。AIや自動運転など急速な技術革新に対応するため、日産自動車やデンソー、日本電産グループなどが積極採用する。
[日経電子版2017年3月21日付]
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