「ES書かなきゃ」と思いながらついダラダラしてしまうとき
やる気スイッチを入れよう(25)
「あー、ES書かなきゃ」と思いながら、ゲームをしてしまう。だらだらスマホをいじってしまう。特に、エントリーシートを書きなれていない段階では、「むずかしい」「めんどくさい」と感じ、つい逃げてしまいます。
今回は、やる気スイッチをいれるための、基本中の基本を説明します。
やらなきゃいけないのにやれないとき
「スマホが手のひらに吸い付いて離れない」「気持ちが、どうしても就活を避けてしまう」
こんなときは、まず体にスイッチを入れましょう。とりあえず、スマホを置いて、両手でグーパーグーパーをしてください。次に、肩をグルグルまわします。そして、立ち上がりましょう。その場で足踏みをしたり、走るときのように腕を前後に振ってみます。
グーにした手を、上に突き上げ、「さあ、やるぞ」などの掛け声をかけてください。ばかばかしいと思うかもしれませんが、体とやる気は、強いつながりがあります。体を動かすことで、やる気にもスイッチが入ります。
5分間だけやる
スマホのタイマー機能で、5分後にアラームが鳴るようにセットします。5分間だけESを書きましょう。5分たったら、やめます。
やりたくないことというのは、手を付ける前は、そのむずかしさやめんどくささが巨大に感じられます。巨大さを、いったん自分の中で、小さくしてしまうのです。「5分間だけなら、やってみるか」という気持ちになります。
これは、エレファントメソッドと言われる手法です。一度には処理しきれない大きな象も、小さく切り分ければ対処できる、というもの。さらにモチベーション(やる気)の観点から言えば、例え5分でも行動を起こせば、なんらかの結果が出ます。結果とは、例えば、「それほどむずかしくないな」という発見や、「最初の2行が書けた」という成果です。その結果が次のやる気を引き起こします。
目標とごほうび
最初の行動が起こせたら、今度は、その行動を継続させる必要があります。一定の時間、集中してやるために、目標とごほうびを決めましょう。
目標の立て方には、コツがあります。始めと終わりの時間、そして何をやるかを具体的に決めるのです。例えば、「今日の午後1時から4時までの3時間を使って、●●社のESを完成させて送信する」などです。 「今日中に」とか「今日の午後」ではなく、時間を入れましょう。「今日の午後」と考えてしまうと、一日の半分、つまり12時間くらいあるような錯覚を起こします。しかし、実際に使える時間は3~4時間です。
内容も、「ESを書く」ではなく、どこの会社のESか、下書きを書くのか完成させるのか、送信するところまでやるのか、を決めておきましょう。
目標を達成したときのごほうびも、考えておきましょう。ごほうびの設定は、2つあります。1つは、「好きなゲームを30分やる」とか、「スイーツを食べる」などの「お楽しみ系」です。もう1つは、達成感や自分に対する自信などの「気分系」です。目標を決めた時に、「これができたら、すごい達成感があって、いい気分になるだろう」とイメージしておくのです。
ごほうびは、インセンティブともいわれ、やる気アップに効果があります。
やったことを見える化する
やる気をアップさせるためには、今自分がどこまでやったのかが、目に見えてわかることが重要です。
就職活動でやったことを「見える化」しましょう。例えば、次のようなグラフを作って、★印を書きこんでいくという方法があります。シールを貼ったりするのもいいでしょう。
希望する会社に対する活動が、どれだけ進んだか、最終目標である「内定」にどれだけ近づいたかが、パッと感覚的にわかります。
もっとシンプルな方法は、就活日記をつけることです。
記入の量が、自分がどれだけ行動したり考えたりしたかの目安になり、やる気アップに役立ちます。また、感想や反省を書いておくと、その後の活動の参考にもなります。
やる気スイッチが入れば、就職活動は進みます。また、「自分のやる気をコントロールできた」という感覚自体が、自信につながります。やる気の基本をマスターして、自分で自分のスイッチを入れましょう。
明星大学経済学部特任教授、JTBモチベーションズ ワーク・モチベーション研究所長。筑波大学の博士課程で、組織におけるモチベーションの伝染について研究中。大学ではキャリアや就職支援の講義を担当、企業とのコラボレーションによる講義も実施。JTBモチベーションズでは企業で働く人への研修やコーチング、経営層へのコンサルティングを行う。著書は「やる気が出なくて仕事が嫌になった時読む本」「職場でモテる社会学」「できる人の口ぐせ」等多数。
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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