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[ career-働き方 ]

リアルタイム就活ストーリー(9)正直に答える? リクルーター面接

西山昭彦 authored by 西山昭彦一橋大学特任教授
リアルタイム就活ストーリー(9) 正直に答える? リクルーター面接
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 2人は4年生になった4月も会社説明会とES提出の日々が続いていた。2人は説明会の帰りに大手町駅で会ってから、情報交換のメールをやりとりする間柄になっていた。

第一志望群に集中

 就一は、自分のESのスピードとできばえに自信満々だった。1日に3通提出したこともある。説明会でも積極的に質問した。「せっかく俺が核心を突いた発言をしているのに、次の学生は全然的外れなことを聞いている。それじゃ、逆効果だろう」。でも、ES提出後連絡が何日も来ないと不安になる。「一体、何日待たされるのかな」。

 他方、第一志望群の会社のリクルーター面接(リク面)ではすらすら語れ、相手の反応もすごくいい。会社パンフで力を入れている項目にさりげなく触れ、説明会やOBから直接聞いた話を入れて会社への理解を話す。

 そしてESでも書いたお決まりのパターンへもっていく。「中計で御社は○○を打ち出しています。私は商学部のゼミでマーケティングを学びました。企業調査も7社行っており、御社の課題解決にはこの経験が役立つと思います」。

 「サークルの代表として70人のチームを率いています。皆のやる気を高めた結果、昨年地区大会では初優勝しました」。この話はいつも評判がよく、相手は満面の笑顔で聞いてくれる。その後、「今度は人事でなく、担当課の課長に会ってくれ」といわれた。「順調だな。刺激が足りないくらいだ」。

 でも、人事部あてのメモには疑問も書かれていた。「主張が上滑りで、相手の話を聞こうとする姿勢が見られない。チームメンバーがどこまで心からついてきているかも疑問」。

リク面では率直に

 活子は、上場企業だが地味で堅実な会社にESを送ってきた。売り上げのグラフを見ながら、「B to Bのいい会社って、学生が知らないのですごく損している。世界でこんなに伸びてるのに」。活子には、そのことがとてももったいなく思える。部品やサービスで日本の産業を支えている企業の中で、もともとサポート役の私が少しでも貢献できればと願う。

 そのうちの1社で、初めてのリク面に出てきたのはおとなしい、感じのいい人だった。「あれ、自分と近いかも」。志望動機は、説明会に出てから会社を知って、「こういう会社を見つけられたことがすごくうれしかったです」と率直に話した。他にどこを見ているかという質問に、「サークルの友人の多くがテレビ局や食品、航空等の華やかな企業を志望しているのですが、そちらには関心がなく、自分の個性に合うと思える企業しか見ていません」。面談者は、メモに「堅実で性格的に当社に合っている。自己努力で簿記2級も取得している。入社したら責任感を持って働くタイプ」と書いた。

 大手町で会った夜活子がメールを送ってから、二人の間でほぼ毎日やりとりが始まった。お互い忙しいし、親しいわけでもないので文は短めだ。でも、活子にとっては、唯一の学外の就活仲間であった。そんな中、就一から初めて「ご飯でも」と誘いが来た。
(2017年4月7日現在)