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チェック!今週の日経(5)トヨタとNTTが提携 自動運転どうなる?

チェック!今週の日経(5) トヨタとNTTが提携 自動運転どうなる?

 日経の研修・解説委員や日経カレッジカフェの編集スタッフが、この1週間の日経電子版や日本経済新聞から企業ニュースを中心にピックアップし、解説する「チェック!今週の日経」。この1週間は「英国、EU離脱を通知」(3月30日)や「韓国・朴槿恵前大統領の逮捕」(3月31日)など、国際ニュースで大きなニュースが目白押しでした。企業ニュースでは、このシリーズでも取り上げた東芝の経営危機問題で「東芝、今期最終赤字1兆円 米WH、米破産法を申請」(3月30日)というニュースもありました。そんな中では少し影が薄く見えますが、今回は日本を代表する大企業同士の提携ニュースを取り上げてみましょう。

自動運転技術でトヨタとNTTが提携

 3月28日の朝刊企業面にこんなニュースが掲載されました。

NTT、脱・内向きなるか 「つながる車」トヨタと提携(3月28日)

 「つながる車=コネクティッドカー」とは、ネットにつながり、様々な情報のやり取りをする車のこと。目指しているのは、ずばり自動運転車です。自動車のナンバーワン企業と情報通信のナンバーワン企業が提携して、自動運転車の技術開発を共同で進めるという話なのです。

 自動車業界にとってエコカーに続く大きなテーマは自動運転車です。既存の自動車メーカーのみならず、グーグルなどネット企業も巻き込んで世界的な開発競争が進んでいます。自動運転を実現するには、これまでのメカニカルな技術や電気的な技術だけでは不十分で、通信や人工知能(AI)などの技術が必要とされ、情報通信企業にとっても魅力的な新しい事業分野になっているのです。

 トヨタはすでに第4世代(4G)の通信技術でKDDIと提携しており、NTTとは第5世代(5G)の通信技術で提携しました。5Gは4Gに比べて10~100倍の通信速度があり、より大量のデータのやり取りができます。前後の車や対向車、さらに道路側に設置した通信設備などと同時に通信することが可能です。

世界の大手各社も開発目指す

トヨタが公開した自動運転の新型研究用車両

 この記事は両社の提携発表を受けてNTTの企業戦略を軸に解説した内容ですが、発表前に特報した3月23日朝刊の記事「トヨタ、NTTと自動運転技術で提携 5G通信活用」では、自動運転技術を巡る世界の自動車メーカーと異業種との提携状況が書かれています。日産自動車・仏ルノー連合が米マイクロソフトと、ホンダはAI技術でソフトバンクと提携しました。海外でもBMW、ダイムラー、アウディの独高級車3社が半導体の米インテルや通信機器のエリクソン(スウェーデン)などと連合を形成。米ゼネラル・モーターズ(GM)がAT&Tと4Gで提携と、グローバル企業のビッグネームがこぞって提携によって開発スピードを加速し、自動運転技術の開発に乗り出しています。

 プリウスをはじめとするハイブリッドカー、水素を燃料にする燃料電池車と、エコカーの分野では先陣を切ってきたトヨタですが、その先の自動運転車で再び開発競争をリードできるのか。3月初めには「トヨタ、自動運転の新型研究車公開 米AI子会社が全面開発」(3月4日)というニュースも報じられました。自動運転技術の分野は規格の統一や法整備といった業界全体、さらには政策サイドまで巻き込んでいく必要もあるだけに、技術に留まらない日本メーカーの総合力が試される場になっていきそうです。

ビッグデータ活用へ政府にも動き

 法整備を巡ってはこんな動きも出てきました。月曜日の1面トップの記事です。

ビッグデータの企業共有後押し 紛争防止へ政府指針(4月3日)

 自動車の走行や工場設備の稼働状況を示すビッグデータを企業が共有しやすくなる仕組みづくりに経済産業省が乗り出すことを伝えたものです。例えば、自動車から得られる様々な走行データを共有することで、部品メーカーや車載システムのメーカー、さらには自動車を使ったカーシェアリングサービスの会社などがデータを使った新しいサービスを開発しやすくなります。日本は法整備や政策対応の遅れで新しい商品やサービスの普及で遅れをとることがたびたびありました。自動運転車にもつながるビッグデータの利用では素早い政策対応が取れるか、注目しておきたい動きです。

 その点では自動運転技術で提携するNTTとトヨタも、新しい技術に自社に留まらない広がりを持たせられるか、試される提携となるでしょう。NTTはかつて携帯電話の「iモード」で画期的な技術の市場化に成功しながら、世界規格にすることはできず、ガラパゴス化し、世界から孤立してしまった苦い経験があります。冒頭の記事でも指摘しているように、トヨタもNTTも内向き、自前主義という企業体質を変えていけるかが問われているのです。
(企画委員 水柿武志)

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