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チェック! 今週の日経(8)コンビニのレジに人がいなくなる?

authored by 日経カレッジカフェ 
チェック! 今週の日経(8) コンビニのレジに人がいなくなる?

 日経の研修・解説委員やカレッジカフェ編集スタッフが、この1週間の日経電子版や日本経済新聞から企業ニュースを中心にピックアップし、解説する「チェック!今週の日経」。今回は皆さんにも身近なコンビニについてのニュースを取り上げます。近いうちにレジに人がいないコンビニがどんどん登場するという話です。その背後にどんな経済の動きがあるのかも考えてみましょう。

レジのセルフ化が生み出す巨大な需要

 4月18日に日経新聞の1面トップに載った記事には、ちょっと驚くようなコンビニの姿が描かれていました。

「全コンビニに無人レジ 大手5社、流通業を効率化 ICタグ一斉導入」(4月18日)

 セブンイレブンなど大手コンビニ5社が、買い物客が自分で会計する「セルフレジ」を2025年までに国内の全店舗に導入するという内容です。この5社で全国に約5万店を展開しているので、新型レジ(1台100万~200万円だそうです)の費用だけで500億から1000億円もの需要が生まれるというから、レジメーカーにとってもビッグニュースですね。

(4月18日付朝刊)

 このセルフレジ、すでに一部のスーパーにも入っていますが、使ったことはありますか。最近では、レンタルビデオ店やファーストリテイリングの「ジーユー」にもあります。実はそれほど新しいものではなく、アメリカで1990年代前半に登場し、日本でも2003年にイオングループが試験導入しています。レジの混雑緩和に効果があるとして、食品スーパーなどが導入に熱心で、首都圏を地盤とするマルエツは今年2月末までに、全約290店の約6割にあたる180店に入れているそうです。

 ただ、当初の予想ほど普及していないのも事実。実は、完全に客に任せ、商品のバーコードの読み取りまでさせるセルフレジは、店員がレジで対応するより時間が相当かかり、不人気なのです。このため、最近では商品のPOSスキャナーでの読み取りは店員が行い、代金支払いだけを機械で行う「セミセルフレジ」のほうがスーパーでは主流になっています。

経済産業省主導でコンビニにICタグ本格導入

セルフレジで商品は自動的に袋詰めされる(ローソンの実験店舗)

 では今回のコンビニはどんな仕組みなのでしょう。紹介した記事によると、コンビニで買い物した客は商品をカゴや袋に入れたままで、レジに連結した台の上に置くだけで会計できるそうです。自分でバーコードを読み取る必要もありません。もちろん、店員がいなくても大丈夫。

 なぜ、そんなことができるのでしょうか。ここがミソ。実はコンビニで扱う商品に1ミリほどの薄さの小さなICタグを貼り付け、そこに記憶された商品や価格の情報をセルフレジが読み取るから、何個もの買い物の会計を瞬時にできるのです。でも、大手コンビニや商品の納入業者がそれぞれバラバラな規格のICタグを導入すると効率が悪いですね。そこで経済産業省が音頭を取って、大手コンビニと共同で「コンビニ電子タグ1000億枚宣言」を発表し、5大チェーンで扱う1000億個の全商品に共通のICタグを取り付ける計画なのです。

 もちろん、今は1枚あたり10~20円するICタグのコストをどう下げるか、コンビニ以外のチャネルでも販売する商品にだれがICタグを貼るのか、店頭での万引き防止策は、などいろいろな課題もあります。それでも、多額の投資を覚悟で大手コンビニが取り組む背景には深刻な人手不足があります。フランチャイズ店のオーナーにとっては、営業ができるかどうかの瀬戸際なのです。さらにこれを契機にICタグが急速に低価格化すれば、物流業や製造業など他の業種にも導入が広がり、新たな成長分野となるかもしれません。

アマゾンのコンビニ「アマゾン・ゴー」は商品を店外に持ち出すだけで会計が済む

 究極は無人のコンビニの実現ですね。今回の大手5社はそうした無人店舗も設置する考えのようです。そんな最先端の事例が、アマゾンが昨年に開設を始めたコンビニ「アマゾン・ゴー」です。少し前のものですが、関連記事を紹介しましょう。

「強まるリアル店舗への逆風 ITが価値観まで変革」(1月20日)

 この店は入店時にスマートフォンをかざして本人確認し、購入したいものを持ち出せば、センサーやカメラでどんな商品を購入したか認識。会計も自動的に処理されるという、まさに究極の無人コンビニです。ICタグを利用する日本の大手コンビニとはやり方が異なりますが、近未来のコンビニの姿であることは確実でしょう。

 人手不足という課題から、いかに店舗を効率化できるかという対応策を検討し、ICタグという最新の技術を利用して課題を解決する。コンビニという身近な存在からも新たなイノベーションが生まれようとしています。
(若林 宏)

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