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[ career-働き方 ]

リアルタイム就活ストーリー(11)ついに最終面接~後ろ姿まで見られている

西山昭彦 authored by 西山昭彦一橋大学特任教授
リアルタイム就活ストーリー(11) ついに最終面接~後ろ姿まで見られている
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 就活中の就一と活子、2人の4年生は先日初めて一緒にごはんへ行った。活子は就一の就活進行の速さに改めて驚くとともに、楽しい会話に時間を忘れた。そして、今週ついに就一は最終面接に突入した......。

活子、緊張しながら女性管理職と面談

 志望先の人事部に紹介された女性管理職との面談の日が来た。活子は先輩に「すべて、自分が評価される場でもある」と言われたのを思い出し、緊張感を持って臨んだ。だが相手はとても優しい人で、警戒心もいつか消え、本音で話すことができた。活子がノートに書いていった質問にも丁寧に答えてくれた。

 「経理の仕事のおもしろみは、会社を変える力を持つことでしょうね。社員はみんな持ち場持ち場でがんばっているけど、これからどこにより力を入れればいいかは、実は収支を見ればわかるから」「不安はあると思うけど大丈夫。経理の仕事は難しそうに見えるけど、皆やっていけてるから」

 気づくと、もう1時間が過ぎ、15分オーバーで面談は終わった。最後に、「前向きないい質問が多かったわね。もし弊社を強く志望するなら、人事に言っておくけど」といわれ、お願いしますと頭を下げた。その後管理職は、採用すべき人材と人事部に報告していた。

就一、強気で臨んだ最終面接

 一方、就一は数社の面談、面接を並行して進めていたが、IT大手の最終面接を初めて受けることになった。活子に「でも次に会う時までに、就一さんは何社も内定とっているでしょうね。私もがんばって、1社とりたいな」と言われた。そのときは「当然だろう」と思ったが、なぜか変なプレッシャーになっている。「逆になったら、恥ずかしくて会えないな。1社は内定とらないと」。その不安を振り払うように、「俺が受からなければ、だれが受かるんだ」と、日ごろの強気で臨んだ。

 先方では人事部長と担当部署の部長の2名が面接官だった。

 「IT業界を志望される理由は何ですか」
就一 「はい。これから自分が仕事をする30,40年を展望すると、AIやIoTもあり、一番伸びるのはIT業界と思っています。その中で御社はリーディングカンパニーとして市場シェアも高く、成長が早いので、私も一員として早い成長を実現できると思いました。」
「あなたの会社選びで重要なのは成長なんですね」
就一  「はい、ITと同様に、最速は大事なポイントです(笑)」
(この学生は自分の成長が先で、会社はその手段だと考えているのかな)
「ほかにどのような業界を見ていますか」
就一 「ITをメインとして、その周辺の電機、コンサルなどを見ています」
「進んでいるところはありますか」
就一 「いえ、御社が最終は初めてです。第一志望ですので、よろしくお願いします(ぺこり)」
「では、内定が出たら、活動をやめるということですか」
就一「はい、もちろんです(真剣な表情で)」。
(うそっぽいな。他の志望先もわざとうちの会社に合わせて答えているし、ほかにも第一志望と同じことを言ってると顔に書いてあるぞ)

 それから30分、面接はスムースに進行した。最後に、「では、合格の場合はこちらから連絡します。本日はご苦労様でした」と言われた。

 出口で深々と頭を下げ、就一は外に出た。「うわあ、緊張した。汗びっしょりだ」。すぐにスーツを脱いで、シャツの袖もまくった。「次の会社までに乾くかな」。その後ろ姿を人事部員が窓から見ていた。はたして、結果はどうなるのだろうか。
(2017年4月28日現在)