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チェック!今週の日経(9)好調続く電子部品業界
日本電産ってどんな会社?

authored by 日経カレッジカフェ 
チェック!今週の日経(9) 好調続く電子部品業界 日本電産ってどんな会社?
日本電産モーター基礎技術研究所(川崎市)

 日経の研修・解説委員や日経カレッジカフェの編集スタッフが、この1週間の日経電子版や日本経済新聞から企業ニュースを中心にピックアップし、解説する「チェック!今週の日経」。今回は大学生の皆さんにはあまりなじみのない、BtoBの企業を取り上げてみましょう。

 BtoBというのは、消費者向けの最終製品やサービスではなく、企業向けに製品やサービスを提供するビジネスのことをいいます。BtoBビジネスは日本企業の得意分野のひとつで、世界市場で有力な存在になっている企業も少なくありません。

欧州の家電部品メーカーを買収

記事

 BtoBビジネスを代表する業界のひとつ、電子部品業界をめぐるこんなニュースが掲載されました。

日本電産、独家電部品を買収(4月25日)

 日本電産はモーターの会社です。「世界をリードする総合モーターメーカー」をうたっています。自動車や家電製品、ハードディスクといった身近なものから、産業用ロボットやポンプなど、大型の機械用のものまで、様々なモーターを扱う世界企業です。その日本電産が欧州の同業他社を買収することを報じたニュースです。この記事の段階では250億円と見られていた買収金額は、その後、約220億円と正式発表されました。買収するドイツのセコップという会社は冷蔵庫の冷却部品、コンプレッサーで高い技術を持ち、日本電産の高効率モーターの技術を組み合わせることで、この分野での競争力を高められるとしています。日本電産としても、これまで手がけている洗濯機や乾燥機向けのモーターに、冷蔵庫向けも加えて家電製品向けの事業を広げていくことができます。

記者会見する永守重信・日本電産社長

 さらにモーターという単独部品からコンプレッサーのような複合部品へと製品がシフトすれば、売上高と利益の双方を拡大していくことにもつながります。企業買収による事業拡大を単純な足し算にするのではなく、掛け算にするのが今回の買収の大きな狙いになります。

 企業買収で事業領域や市場を広げていくのが、日本電産の特徴的な経営手法です。今回の買収は53社目。これからもその手を緩める気はなさそうです。社長の永守重信氏は名物経営者として一目置かれる存在で、経営に関心のあるビジネスマンから、次の一手が常に注目されています。企業買収以外でも、最近では働き方改革にも強い関心を寄せ、2020年に残業ゼロを目指して工場の自動化やシステムの効率化などに毎年200億円を投じると宣言しました。これを通じて採算性の向上、高度な人材の確保、社員の成長促進を進めます。さらに個人としても、将来の人材育成を目指して京都学園に100億円を寄付し、自ら理事長に就任する方針を発表するなど、その精力的な活動からは目が離せません。

業界全体も好調

 電子部品業界のニュースをもうひとつ紹介しておきましょう。

電子部品受注額12%増 1~3月、車やスマホ向けがけん引(4月27日)

 日本電産、京セラ、村田製作所、TDK、アルプス電気、日東電工という大手6社の受注額(一部は受注額に近い売上高)を日本経済新聞社が独自集計した統計ニュースです。先ほどのニュースで紹介した日本電産も入っています。どの会社も大学生の皆さんにはあまりなじみがないかもしれませんが、いずれも好業績のBtoB企業です。

 6社合計では12%増ですが、日東電工は20%増、京セラ、アルプス電気は15%程度の増加とたいへんな好調ぶりです。2016年はアップルの「iPhone」減産の影響で一時的に落ち込んでいましたが、1~3月はその反動で増加に転じ、中国のスマホメーカー向けが大きく伸びたほか、自動車向けも旺盛な需要が続いています。この勢いは4~6月期にも続いていきそうです。

 受注を支えているのは、スマホと自動車向けの需要。ですが、どの会社も単独の需要に依存する一本足打法というわけではなく、多彩な用途に部品を供給する一方、供給先の地域も中国、アジア、米国と多様化しています。最初に紹介したニュースで日本電産が伸ばしていくのは欧州の家電部品市場。一見成熟市場に見える分野や地域でも成長の芽をとらえることはできるのです。成長産業や成長市場に変化が起きても、そこに対応していける柔軟性があるのが電子部品業界の強みかもしれません。

(企画委員 水柿武志)

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