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曽和利光の就活相談室頑固おじさんの「圧迫面接」は
こう切り抜けろ

曽和利光の就活相談室 頑固おじさんの「圧迫面接」はこう切り抜けろ
写真は本文と関係ありません
authored by 曽和利光

 就活生の皆さん、こんにちは。人材研究所(東京・港)の曽和利光です。就活の面接がどんな展開になるかは、決まり切った筋書きはなく、どんな面接官に当たるかによっても大きく左右されます。そこでもし、居丈高な「圧迫面接」をしてくる面接官に出会ってしまったら――。「就活相談室」に集まってくれた3人の質問に答えながら、対応の方法を探っていきます。

前回から引き続いての参加者
▽安藤南さん(上智大学法学部4年)
▽中嶋路央さん(島根大学法文学部4年)
▽平沢遥さん(日本大学理工学部既卒)
※希望する方の氏名を仮名にしてあります。

議論に勝つのが目的ではない

居丈高な「圧迫面接」をしてくる面接官に出会ってしまったら?(就活生の質問に答える曽和さん)

安藤さん あの、インターンシップのときなんですが、圧迫面接みたいなのに当たったことがありまして。自分の弱みを教えてくださいっていう質問に答えたら、「それ、改善しようと思ったことないでしょ」なんて言われたり。すごく怖くて、泣きそうになっちゃいました。そんなとき、どうやって切り抜けたらいいんでしょうか。

 うーん、何か、議論がヒートアップしてしまったようですね。安藤さんは面接官のそんな強圧的な発言に対して、自分をわかってもらおうと反論したのですか? やはりそうですか。面接はディベートとは違います。議論に勝とうと思わなくていいんですよ。

 安藤さんだけが不運だったのではなく、こういった頑固な「おじさん面接官」は確かに一定数います。そうした面接官に出くわしたとき、指摘にいちいち反論していては身が持ちません。「確かにその通りですよね」「なるほど、それは気付きませんでした」などと、受け入れる姿勢をみせてやり過ごすのが得策だといえます。さらにいえば、ズタズタになりながら議論に勝つより、「素直なやつだなあ」と思われたほうが、そんな頑固な面接官の評価は高くなると思います。

中嶋さん 面接官からすると、近ごろの学生のことはどんなふうに見えているんでしょう。

 意外かもしれませんが、まず言えるのは、昔と比べて学業にも就活にも、真面目に取り組む学生が増えたということでしょうね。大学が「レジャーランド」と呼ばれていた時代もあったんですから。その意味で、単純に「すごいな、今の学生は」というのが正直な感想だと思います。ただ、そんな真面目でいちずですくすく育った皆さんに、懐疑的な目を向ける面接官も一部にいることは、覚えておいたほうがいいかもしれません。

「挫折が人を強くする」という思い込み

 特に年長の面接官は、「挫折が人を強くする」という考えに凝り固まっていることがあります。頑張れば勝てる競争をさせるために、挫折をバネに頑張れる人材を採るべきだ、と思い込んでいるのですね。実際には、そんな人材は負け続けると折れてしまいやすいので、一寸先は闇ともいえる今の時代に必ずしも採るべきだとは言い切れないのですが、そういう面接官がいる以上は、何かひどい目にあった経験を語る準備はしておいたほうがベターかもしれません。

平沢さん どんな挫折経験を用意しておいたらいいんですか?

 大学に入ってからなど、あまり最近の出来事は、挫折として語るにはちょっと向かないでしょうね。最近失敗したということは、まだその状況を改善できていないのではないか、と思われてしまうからです。自分でも笑えないような生々しい失敗を語っても、同情は買えるかもしれませんが、それをバネに......という話にはつながりません。中学や高校のころの挫折から立ち直って今の自分がある、というぐらいのエピソードが適切でしょう。

 ただ、この挫折経験も、「もしあるならば」でかまいません。挫折がないなら、それはそれで平沢さんの人となりです。「すべての質問は人となりを知るためにある」という原則を思い出してください。

「何か言いたいことは」の意味は?

「すべての質問は人となりを知るためにある」(就活生の質問に答える曽和さん)

平沢さん 面接で、こう言われたら合格あるいは不合格といった目安というものはあるのでしょうか。「最後に何か言いたいことは?」と聞かれると、バツだという話を聞いたのですが。

 「何か言いたいことは?」の質問は、それまでの問答で評価できる情報が得られなかったので、とにかく何かしゃべらせよう、という狙いがあるのでしょう。逆に、バツ確定だから自分から頑張って質問せずとも適当に話させておけばいいか、という場合もあります。面接官の発言にどれだけ熱意がかんじられるかが、一つの尺度でしょうね。

 やたらと突っ込みが激しければ、もしかすると当落線上にいるのかもしれません。合格か不合格かがはっきりしているなら、あえて質問を重ねることもないからです。当落線上なら、とにかく白黒つけないといけませんから、根掘り葉掘り尋ねます。面接のさなかにそんな雰囲気を感じたら、踏ん張りどころかもしれません。

平沢さん 面接の形態についてうかがいます。1対1の個人面接の場合もあれば、面接官が多数の場合、逆に何人かの学生を一度に見るグループ面接もありますよね。何がどう違うんでしょうか。それぞれ気をつけるポイントがありますか。

 まず面接官のほうが複数のケースについて説明すると、これは採用する人材の性格や能力を一定の枠に収めたい、いわば粒ぞろいの人材を集めたい、という企業の姿勢の表れでしょう。個別の面接官の好みで採用することがないようにしているわけです。逆に、どこかしら突き抜けている人材を欲しい企業は、最終面接の面接官が1人のこともあります。
学生側が複数の場合は、その場の何人かを見比べて、相対的に評価をする狙いもありそうです。ただ、以前にもちょっと言及しましたが、基本的にはこれは単に1対1の面接をまとめて実施して、時間を節約したいという趣旨です。2人目以降は、「次の方はどうですか」で済ませられるわけですからね。

グループ面接で答えがかぶったら?

中嶋さん それじゃあ、隣の人の答えと自分の話したいことがかぶったとしても、特に気にする必要はないってことですか? どうも不安なのですが......。

 何も気にせず同じことをいえばいいんですよ。かぶったから不合格、みたいなことはありませんから。「自分も同じです」という発言は印象がよくないと思いますか? だから順番が最初だと有利、後になると不利、と感じるのかもしれませんが、逆のこともいえます。トップバッターだと、面接官の力量を見極めにくいということがあり得るのです。

 実力のない面接官だと、適切な問答のキャッチボールをできず、まだ言い足りないのに発言を打ち切られてしまいかねません。後の順番ならそれをみて、「言いたいことは全部言う」という対応ができますよね。そんなわけですから、「先に言われてしまった......」などということは気にせず、自分の伝えたいことを話すのがよいと思います。

一体感醸成系」のエピソードはありがちなので気をつける

安藤さん エントリーシート(ES)の「学生時代に頑張ったこと」で、私の所属する部活のことを書こうとすると、今までに曽和さんに指摘された「一体感醸成系」になってしまうんです。部の仲間のESがみんな同じような感じで、これじゃダメだよね、なんて話していまして。どうやって直したらいいんでしょうか。

 「一体感醸成系」、つまり仲間と話し合ってモチベーションを高めた、という、よくありがちな内容ですね。似たようなESは多いので、埋没するリスクは無視できません。どうしてもその経験を強調したいのなら、工夫の余地はあります。

 安藤さんが一体感を醸成しようと考えたのは、チーム一丸となって試合に勝つことにこだわったからですよね? ならば、その「勝ちに執着するのが私の特質だ」と前面に押し出すこともできるのではないですか。「勝つために一体感を醸成した」ではなく、「一体感の醸成を通して、勝利を目指した」という書き方にするのです。勝ちを目指したエピソードを部活の他にも盛り込んでまとめれば、それが求める人物像とマッチする企業には、ズバリ「刺さる」ESになるはずです。

「スーツがイヤだ」は信条か

安藤さん しょうもない質問でもいいですか。就活をはじめて心底思うのが、スーツが本当にめんどくさくて......。着なきゃいけないものですか。

 IT(情報技術)ベンチャーなどは社員がTシャツ姿だったりしますから、特にスーツで面接に臨む必要もないと思いますよ。スーツが必須の会社もありますが、減ってきているはずです。ただ、そんなふうにスーツの要不要が混在して、まだら模様になっている以上、ずっとスーツで通すほうが無難ですよね。いちいち着替えるのも面倒でしょうし。

 最終的な判断基準は、その服装が確固たる信条に基づくものかどうかでしょう。スーツを着ないことが信条なら、それを貫いて落とされても本望ですよね。その会社が安藤さんの信条を認めなかったということですから。しかし、スーツを嫌う理由が、単に面倒だからというぐらいのフワッとしたものならば、こだわるべきとは思いません。ビジネスの世界では、目的を達成するために自分を殺して頭を下げなくてはならないことなんて、いくらでもありますよ。

曽和利光(そわ・としみつ) 1971年生まれ。京都大学教育学部卒。リクルート人事部ゼネラルマネージャー、ライフネット生命総務部長などを経て2011年、主に新卒採用を対象にしたコンサルタント事業の人材研究所を設立。著書に「就活『後ろ倒し』の衝撃」(東洋経済新報社)、「『できる人事』と『ダメ人事』の習慣」(明日香出版社)などがある。
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[日経電子版2017年4月12日付]

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