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ロボ店員 ただいま研修中
接客や在庫管理

ロボ店員 ただいま研修中 接客や在庫管理

 システム開発大手の日本ユニシスは家電量販最大手のヤマダ電機と組み、店頭でサービスロボットの実証実験に取り組んでいる。米ベンチャーのロボットを売り場案内に加えて在庫や売価のチェックに活用する狙いだ。客寄せのために置くのではなく、店員として活躍させる。

 「一生に一度は私を使っても損はありません」

 ヤマダ電機テックランド青葉店(横浜市)で、ロボット「NAVii(ナビー)」がこんな言葉を話しながら店内を回っていた。ナビーは米フェロウロボッツ(カリフォルニア州)の製品だ。

 日本ユニシスが2015年から日本で扱っている。米国のホームセンターなど小売り店で稼働しているが、日本ではこれからだ。

 ナビーの高さは1メートル50センチほど。自律走行し、取り付けられたパネルを通じて消費者に売り場や商品を案内する。カメラで消費者の顔をとらえると、パネルの角度を調整して顧客に操作を促す。

 パネルに表示された項目を操作したり、声をかけたりすると、目当ての商品がどこにあるかパネルの地図で表示する。

ナビーは商品の場所を案内したり、棚まで誘導したりする

 試しにナビーに話しかけてみた。まずパネルの「話しかける」という項目を選ぶ。そして「洗濯機を見たい」と声に出してみたところ、パネルに地図があらわれ、洗濯機のコーナーを表示した。

 「60ワットの電球はありますか」。ナビーは電球を天気と認識したらしく「本日の天気は曇りです」と返ってきた。ナビーには悪いと思いつつ、わざと意味をなさない単語をつぶやいてみた。「うーん、クーポンだったらプレゼントできますよ」

 ナビーは商品のある場所を示してくれるだけではなく、自律走行機能を生かして、商品のコーナーまで消費者を誘導してくれる。「ご案内します。私の後ろを付いてきてください」

 人とぶつかりそうになれば、センサーで感知して止まる。あるいは向きを変え、ぶつからないようにする。試しに、何度もナビーの前に立ちはだかってみたが、一度も接触しなかった。

 センサーといっても、相手との距離感は数十センチではない。日本ユニシスのロボティックス推進室、西崎健司グループリーダーは「5メートル先の相手でもとらえて、進む方向を調整する」と話す。通路で商品に見入る夫婦の前でも停止していた。

 それなりの高さがあるから走行音が耳障りかと思ったが、静かでほとんど違和感がない。

 店員を呼ぶ機能も備えている。塚田勝之事業開発部長は「これまで逃していたお客さんをキャッチして、販売員につなぐ」と語る。

ナビーのパネルを操作して商品などを探せる

 ヤマダ電機とは16年2月から一時、ナビーを試験的に導入して協力を進めてきた。同年7月には仙台市内にあるパルコでも店舗誘導に使った。今年3月から始めた実験では、接客以外に在庫や売価のチェックという新たな役割も与えた。

 テックランド青葉店では、ナビーが店内を回り、陳列棚の様子をとらえていった。実験は、棚に商品がまったくない欠品の状態を把握できるかを検証している。将来はナビーによる欠品商品の認識機能が、商品の発注システムとつながるイメージで開発している。

 売価の面では、社内のシステムに登録された価格と一致しているかを確認している。家電量販店の値札はよく変わる。間違いなく価格を変えてあるかどうか、ナビーがチェック役となる。

 現時点ではスマートフォンアクセサリーや電池などの小型商品、約1万点が対象だ。

 ナビーはコミュニケーションが円滑になるよう日本ユニシスの自然言語解析や機械学習といった人工知能技術「Rinza」を活用する。ヤマダ電機の飯塚裕恭取締役は「効果を見極めて今後の本格導入を考えていきたい」と話す。

 サービスロボットではソフトバンクロボティクスの「ペッパー」が先行した。新エネルギー・産業技術総合開発機構は同ロボの市場規模が拡大すると推計。10年の時点の見通しで35年に5兆円とみていた。製造用を上回り、ロボット市場全体の半分を占める規模だ。

 数字は別にしても、テックランド青葉店のナビーをみていると、サービスロボがあちこちにいる時代がすぐそこに来ているように思えた。
(企業報道部 花田亮輔)[日経産業新聞4月26日付、日経電子版から転載]

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