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[ career-働き方 ]

リアルタイム就活ストーリー(12)最終面接、
電話は一体いつ来るのか?

西山昭彦 authored by 西山昭彦一橋大学特任教授
リアルタイム就活ストーリー(12) 最終面接、電話は一体いつ来るのか?
写真は本文と関係ありません

 採用面接解禁は6月1日以降なので、正式には内定はそれ以降のはずだが、5月に入ると学生の間では事実上の「内定」が出た、という声が聞こえるようになった。就活生の就一は、先日受けた最終面接の結果を待っていた。そして、活子もついに最終面接を迎えようとしていた。

「結果待ち」で落ち着かない

 就一は毎日どこかの会社の面談・面接を受け続けている。そして、この前初めて受けたIT大手の最終面接の結果を待っていた。活子にいわれた「次に会う時までに、就一さんは何社も内定とってるんでしょうね」という言葉を思い出すと、早く1社内定の報告をしたくてしょうがない。それがないと、かっこ悪くて会うこともできない。

 人事部の「合格の場合はこちらから連絡します。本日はご苦労様でした」から、もう1週間以上過ぎた。

 「ほんとに採用したいなら、すぐ連絡くるはずなのに、まだこ・な・い。もしかして落ちたのかな」

 でも翌日には、「いや、数日間の受けたやつを並べてそれから決めるのかも。あんまり早いと、ほかの会社の目もあるから、連絡しないのかなあ」と思い直す。気分はしょっちゅう変わる。時には「どうせ滑り止めなんだから、どちらでもいいので早く結果を教えてくれえ」と叫びたくなる。それでも返事は来なかった。

 そんな中、志望度のより高い会社の最終面接が迫ってきた。

 「くそー、こっちに気持ちが集中できない」

人事部長との最終面接

 先日、活子は志望先の人事部に紹介された女性管理職と面談した。「いい質問が多かったわね。もし弊社を強く志望するなら、人事に言っておく」と言われ、「お願いします」と即答した。

 その管理職女性が、「採用すべき人材」と人事部に報告してくれていたせいか、数日後「人事部長と経理部長が出る面接を受けますか?」と人事から電話が来た。その会社ではそれが最終面接になるらしい。

 活子はこれまでで一番緊張した。「...あ、は、はい。お願いします」声がうわずる。

 最終面接はあと3日後だ。授業の合間も終了後も図書館でいつもの綿密なノートに向かう。「わたし、業界のこと知らなすぎだから、もっと調べないと」。経営書のコーナーに行き、製造業のその業界の本をのぞいては、発見したことをノートに書きだす。

 図書館が契約しているオンラインサービスでその会社についての記事検索をして、過去2年分のコピーをとった。「わあ、こんなに記事あるんだ。私読むの遅いから、時間かけないとな」。小さい記事は除いて、業界の分析をしている1ページ以上の記事を選んだ。

 説明会で会社はいいことしか言わないから、課題がよくわからない。でも、記者が書いた記事には、会社の弱みや批判も書いてある。「そうか、国内では上位だけど、海外にもっと大きいライバルがけっこういるんだ。そことどう競合できるかは課題ということなんだ」。今日もまた合間にパンをかじり、図書館が閉館する9時までいた。「毎日がんばるね」。司書の人に声をかけられる。

 帰途、「就一さん、きっともう受かってるだろうな。今頃お祝い飲み会でもやってるかも」。でも自分も最終に近づき、不安はありながらも、ここまでこぎつけきた充実感を身体で感じていた。
(2017年5月17日現在)

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