三菱商事の笹野由梨香さん「逆算して頑張ることを覚えた」
学生時代の過ごし方2017(2)
「日経カレッジカフェ」の読者である学生の皆さんに、先輩社員からのメッセージをお届けします。テーマは「学生時代の過ごし方」。有意義な学生生活を送るために、いま何をすればいいのか。今回は三菱商事の笹野由梨香さん(24)です。
営業に頼りにされる役割
――現在の業務内容を教えてください。
「2016年に三菱商事に入社し、金属グループ管理部に配属されました。現在、同じ部署で2年目を迎えました。鉄鋼関連事業の経理の業務を担当。年度末に決算をまとめたり、買収・売却案件を手伝ったりしています」
「営業にあこがれて入社したので、経理の仕事だと聞いて最初はちょっと驚きました。経理というのは堅苦しいイメージを持っていましたので。実際にやってみると、営業に頼られる重要な業務だということが理解できました。最初は、各国の税務や法制度の知識がないので大変でした。関連資料や本を読んで勉強するなど少しずつ慣れてきたところです」
プロジェクトを完成させる魅力
――総合商社を選んだのはなぜですか。
「学生時代に就職活動を始めた当初は、幅広い業種をみたいと考えました。訪問先も、小さなベンチャーから大手までまちまちです。スタートアップのベンチャーをのぞいた時は、明確な目標に向けて突き進む様子に魅力を感じたりもしました。多くの業種に訪問するうち、プロジェクトに取り組み、完成させるダイナミズムを味わえる総合商社の仕事に興味を持つようになったのです。ビジネスの上流にあたる資源関連の事業を手掛けてみたいと思いました。資源、穀物、エネルギーなどの分野は、最終製品の幅がすごく広いですよね。そうした素材を扱いたいなと。最終的に三菱商事を選んだのは、社員訪問などを通じて知り合った人たちの影響が大きかったですね。夢を語る先輩社員らの姿に強くひかれたのです」
落語とボランティア
――どんな学生時代を過ごしましたか。
「中学・高校時代はバレーボール部で汗を流しましたが、神戸の大学に入って落語研究会を選びました。最初は落研に入るつもりはなかったのですが、先輩らの話を聞いているうちに興味を持つようになり、勢いで飛び込みました。舞台では、ちゃんと笑わせられるのか、プレッシャーを感じました。ネタがすべると本当につらいものです。観客に笑ってもらえる、共感してもらえる、そんなことが何より嬉しかったですね」
「もうひとつ、ボランティア団体にも入っていました。ちょうど大学に入学したのが2011年。東日本大震災で被災したかたがたを支援しようと、神戸から夜行バスで15~16時間かけて、岩手県に出かけたものです。学生時代は新幹線など、運賃が高くて乗ったこともありませんでした(笑)。大学に入った当初はボランティアに興味があったわけではないのですが、これも活動の説明を聞いているうちに、『自分も行かなくては』と思いたち、勢いで始めたという感じですね。岩手県で瓦礫を撤去したり、地元のかたがたと話したりする活動内容です。いまでも休日には出かけます。はじめは被災者とボランティアという関係でしたが、いまでは仲のよい親戚みたいに、親しい関係になりました」
海外にあこがれバイトで資金づくり
――学生時代は、落語とボランティアの2つの団体活動が主だったのですか。
「実は、大学に入って3年間、ファストフードの夜勤バイトを続けました。海外にあこがれがあったので、バイトで渡航費用をためようと考えたのです。日中は学校生活が忙しかったので、夜中に働くしかありませんでした。100万円をためるという目標を定め、逆算して頑張る根性を身につけましたね」
「大学3年が終わったところで1年間休学し、海外に飛び立つことにしました。まずフィリピンのNGOで半年ほどインターンとして働きました。近所の屋台の常連客らと仲良くなり、最後はみんなで私の送別会を開いてくれました。その後、ボスニア・ヘルツェゴビナ、セルビアなど欧州各国をバックパッカーとして歩き回りました。当時は大部屋で雑魚寝する毎日です。最後は、米ニューヨークの民間企業で2カ月インターンを経験し、帰国したのです。不思議と海外での1年間、危険な目にあうことはなかったですね。あこがれていた海外を体験でき、達成感は大きかったですよ」
在学中はやっぱり勉強しよう
――それは充実した学生時代でしたね。学生の皆さんにアドバイスはありますか?
「大学の勉強はしたほうがいいですね。卒論をきちんと書き上げるには、下地が絶対に必要です。私の場合、卒論は日本のNGOの歴史と展望についてまとめたのですが、満足できる内容ではなかったと反省しています。皆さんには是非、学生のうちにきちんと勉強していただきたいと思います」
後輩に自分らしさを伝えられる存在に
――これからどんなキャリアを身につけたいですか。
「来年春には、金属グループの営業に移ることが決まっています。ゆくゆくは海外に駐在したいですね。将来、自分が海外駐在から帰国するころには、後輩たちもたくさんいることでしょう。その時の自分が、どんなことを後輩らに伝えられる存在になっているのか。後輩から、(目標として)追いかけられる人材になりたいと考えています」
「三菱商事はダイバーシティーという面でも制度が整っています。働くうえで、女性であることを意識しなくてよいくらいです。よい意味で平等な組織だと感じています。三菱商事にあこがれて入ってくれる学生さんがいたらうれしいですね。この会社で一緒に頑張りませんか?」
(聞き手は村山浩一)
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