地方における子育ての課題解決に向けて
これからの女子キャリと生き方(13)
こんにちは。manmaの新居 日南恵(におり ひなえ)です。これまで、manmaが運営する"家族留学"を受け入れてくださっている子育て中の皆さんから教えていただいた、結婚・子育て・キャリア選択のヒントをお伝えしてきました。「子育ては大変なこともあるけれど、それ以上に代え難い喜びがある」「自分のやりたいことを信じてやり抜けば、環境は整う」などなど、大切なお話がたくさんありました。
こんな素敵なヒントをシェアしてくださっているお母さん方は、東京だけでなく全国22の都道府県にいらっしゃいます。一方で、都心と地方では、子育て家庭の置かれている状況も大きく異なっています。地方の子育ての良さは以前の記事でご紹介させていただきました。今度は、地方における子育ての課題についても、ぜひ知っていただけたらと思っています。そこで、今回は長野県川上村の子育て女性支援の事例についてご紹介させていただきます。
長野県川上村との出会い
家族留学の受け入れ家庭の方のご紹介で、今年の2月「KAWAKAMI IDEA FOREST アイデアコンテスト2017」の審査員をさせていただく機会を得ました。長野県川上村が行っている地域の女性の力を生かすための取り組みの1つで、地方での暮らしをよりよくするためのアイデアを世界中から募るコンテストです。
川上村在住のママさんもいれば、川上村の近くに毎年バカンスに来ているというフランス在住の女性も。当日は10組ほどのプレゼンを聞かせていただきました。最優秀賞は「カスタマイズして可愛く着られる農業用の作業着」。川上村で3人のお子さんを育てながら、家業である農業を手伝っている女性でした。
周りの目を気にする暮らし
では、なぜこのような取り組みが始まったのでしょうか。ここに、地方における女性活躍の課題があります。川上村で子育てしている女性の多くは、他の地域から移住してきています。都会から、はるばるやってくる方もいます。そんな女性たちは、都会的な自由な暮らしとのギャップに苦しんでいたりします。
ちょっといつもよりオシャレをして出かけただけで、噂話になってしまったり、スーパーでお買い物をしていると買い物かごを覗かれて、夜ご飯の内容にまで口出しされたり、常にまわりの目を気にして暮らさなければなりません。目立たないように、変わったことをしないように。
「こうだったらいいのにな」を声に出す
そこで、川上の女性たちの自由な発想やアイデアを、もっともっと発信してもらい、それを認め合うような雰囲気を作っていこう、という動きが始まりました。それが、先ほどのアイディアコンテストです。「もっと作業着が可愛かったらなあ」「みんなが集まる素敵なカフェがあったらなあ」。声には出せないみんなの「こうだったらいいのに」を、アイディアコンテストをきっかけに、発信してもらうのです。そうすると「私もそう思ってた!」と、共感してくれる仲間が見つかります。みんなで助け合って、自分たちが窮屈な思いをしなくていい環境に一緒に変えていくためのムーブメントの始まりです。
地方におけるさらなる女性の活躍
実はこのアイデアコンテストは今年で2回目の開催で、少しずつ、村の雰囲気が変わり始めていることを感じます。コンテスト会場には、村の女性たちが作ったお菓子が並んでいました。まるでお菓子屋さんで買ったみたいに素敵なものばかり。女性たちが自分の強みを見つけ、少しずつ発信し始めている象徴的な場に見えました。
これまでは変わったことをして目立たないように、と周囲の目を気にしていた川上村の女性たち。このアイデアコンテストをきっかけに、自分たちが感じている課題や、解決のための施策を声に出すことができるようになりました。そして、一緒に変えていく仲間の輪が広がっています。
こんな風に、女性たちがのびのびと活躍できる村が増えれば、地方にも、もっと女性たちが増えるかもしれません。このアイディアコンテストを企画されている、パートナーエージェントの田中さんとの対談記事も、ぜひご覧ください。
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