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[ career-働き方 ]

お悩み解決!就活探偵団2018「推薦状もってきて」
企業の新たなオワハラ
大学就職課座談会

authored by 就活探偵団'18
お悩み解決!就活探偵団2018 「推薦状もってきて」 企業の新たなオワハラ 大学就職課座談会

 就活は、学生や企業だけでなく、大学にとっても死活問題だ。毎日学生の苦楽を間近に見る大学就職課(キャリアセンター)の担当職員たちに、学生を当惑させる素人リクルーターや、企業の前のめりの採用動向について匿名で語ってもらった。

こんな志望動機では選考に残らない

――今シーズンの就活の動きをどう見ますか。

 都内中堅私立A大 経団連が定める採用スケジュールが昨年と一緒なため、出遅れている学生は少ない印象です。先輩から話を聞いて動けているのでしょう。ただし、企業側の動きも例年より1~2週間早い。学生からは「この企業からもう内定をもらっているけれど、就活を続けていいだろうか」という相談が多いです。

 関西上位私立B大 より短期決戦になっている印象です。また今年はインターンシップを経て、別枠で内定を取るケースが目立つ。アンテナを高く張って情報収集した学生はその流れにのって早く決めています。就職支援のやり方も変わり、2月末までに業界・企業研究を終わらせて、どれだけ学生を「仕上げられる」か。

 関西上位国立C大 昨年末から今年2月にかけて行っていた業界・企業研究イベントへの参加数は昨年より少なかった。昨年夏のインターンに参加して、そのままスムーズに就活を進めているのか、インターンに参加したことで安心してしまっているのか。

 ――今年の学生の特徴は。

イラスト=篠原真紀

 関西上位私立B大 いろいろな経験をしているはずなのに、うまく言語化できない学生が多いです。自分の経験や強みを入社後にどう生かせるかを結びつけて語れない。例えば鉄鋼大手を志望していたある女子学生は、「鉄は社会に広く貢献し、日本の産業を支えているから」と志望動機を語っていた。こんな答えはどの業種でも当てはまるから、選考には通りません。一方、内定楽勝だなと感じる学生もすぐにわかる。志望動機に芯があり、目つきも違う。結局人間的な魅力ですね。

 都内上位私立D大 学生たちは、ある意味で「本気でフワフワしている」と思います。何度も企業から呼び出され、「学生でありながら企業人」である内定者との懇親会などを経て、とりあえず進んでいく感じです。

 関西上位国立C大 受験と同じ感覚で就活する学生が多い。例えばエントリーシート(ES)の書き方一つとっても、「正解」を求めようとする。業界や企業によって変わると説明しても、「ではどうすればいいのか」と、やはり答えを聞かないとすまないようです。

最終面接の前に適性テストのワナ

――企業の動きはどうですか。

 都内中堅私立A大 企業が学生を早く獲得しようと、採用経験のない社員を動員しているのか、素人のようなリクルーターが多くなっているようです。「で?それでなんでうちなの?」とか、ただ一言「甘いよ」と言うだけで、学生側が聞きたいことを何も聞けず、印象が悪かったという苦情が寄せられています。

 都内上位私立D大 リクルーターによっては、企業の人事部が正式に指名して来ているのか、そうでないのかが非常にグレーになってきている印象ですね。

 関西上位私立B大 説明会なのに、学生にESや志望動機書を持参させる企業が目立ちます。ある学生は、「あすのセミナーのためにESを添削してほしい」と就職課に来ました。その場ですぐにでも選考したい企業側の意思の表れでしょうが、採用手順が逆転していますよね。通常はセミナーで会社のことを知ってからエントリーするのが筋なはず。中堅企業に多いケースで、大手よりも先に人材を確保しようと必死なのでしょう。

企業の前のめりぶりに困っている就活生も多いという

 都内中堅私立A大 本来採用の一番初めに行う適性テストを、後半にもってくる企業が増えています。実はうちの学生はそこでふるい落とされるケースが目立っているのです。選考が進み、志望度があがってきた最終面接の直前で、テストで落とされるというのはかわいそうです。企業にとっては、まずは学生に会おうという誠実な対応なのかもしれませんが。

内定辞退を防止する「脅し」?

――企業の前のめりぶりは例年以上のようですね。

 都内中堅私立A大 新たな「オワハラ=就職早く終わらせろと強要するハラスメント」とでもいうのか、困っていることがあります。ある企業の1次面接を受けた学生が「大学の推薦状をもらってきたら、すぐに最終面接に進めてあげる。もらえなかったら、普通の選考ルートで」と言われたそうです。大学側としては、選考が解禁された6月1日以降でないと出せないし、理系ならともかく、文系の学生にはほとんど推薦状自体を出していない。学生の本気度や大学側との交渉能力を試しているのか。

 都内上位私立D大 ウチでは推薦状を一切出していませんが、教員のなかには学生に頼まれて、「これはどんな意味があるのか」と不安に思う人もいます。推薦状を出せという意図の一つには、「君が推薦状を出さなかったことで、周りのゼミ生や後輩が内定を取りづらくなるかもしれないよ」という脅しがあるのでしょう。

 関西上位私立B大 推薦状は人物保証と称して、学生を精神的に縛るのが目的だと思います。選考を辞退することで先生を裏切るなよ、と。

 都内中堅女子E大 ウチでも非常に困っています。推薦状を出せるのは6月1日以降で、1人1通と決めています。推薦状で学生を縛ろうとすればするほど、学生は逃げてしまうと思うんですが。

いきなり音信不通になる学生

――逆に、企業から学生への苦情はどうでしょう。

 都内上位私立D大 企業からのクレームで圧倒的に多いのは「学生が連絡してこない」というものです。最終面接でも、事前に何も言わないまま姿を現さない。内定通知の電話をしても、断るのでなく出ないケースが多いそうです。学生の言い分もあると思う。不合格にするときは対応があっさりしているのに、学生にだけマナーを要求するのかと。それでも人としてのマナーはあり、企業側の立場もある。学生が来ないことで人事部が上の役員から怒られたり、メンツを潰すなどという発想はないようですね。

 都内中堅私立A大 当学も同じお叱りを受けます。学生には留守電をきちんと設定するように言ってはいるのですが。あらかじめ「この番号から電話があったら出てください」と学生に通達する丁寧な企業もありますが、学生が電話に出ないのは「本命は他社なのに、すぐに返事していいのかわからない」という思いがあるからのようです。

 関西上位国立C大 中には4月1日の入社式を控えた3月後半に音信不通になるケースもあります。ぎりぎりで博士課程への進学を決める場合などが多いです。進学すること自体は応援したいですが、企業には事前に連絡するよう指導します。

 都内中堅女子E大 学生と連絡が取れないのは、企業だけでなく就職課も同じです。特にもったいないのは、企業からの求人情報を伝えようとしているのにつながらないケース。以前も、東証1部上場の優良企業から、「1人、急に辞退が出て困っている。誰か学生はいないか」と紹介を頼まれました。まだ内定の連絡がない学生にかたっぱしから電話しましたが、結局誰もつながらず、良縁を無駄にしてしまいました。

好みの女性をねらったOG訪問も

 都内中堅私立A大 トラブルとは違いますが、最近増えているOB・OG訪問サービスで気になることがあります。男子学生が、あえて好みのOGをねらっていくケースがあるようです。大学側の依頼で企業が提供してくれるOB・OGリストについては、企業と大学が責任を持っています。こうした仕組みを介さない一般のサービスは、きちんと企業側が安全を保証しているのか疑問に思いますね。

 6月1日の面接解禁を控え、いよいよヤマ場を迎える就職活動。今年も大学就職課は、学生の内定をめぐる泣き笑いを見届ける。
(夏目祐介、松本千恵)[日経電子版2017年4月27日付]

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