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最終選考の乗り切り方

ホンネの就活ツッコミ論(12)

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NIKKEI STYLE

今回のテーマは「最終選考」です。そろそろ選考が佳境を迎え、最終選考を迎える学生も多いでしょう。志望企業であれば、長い就活が終わるか、それとも、振り出しに戻るかの正念場です。学生も準備を怠らずに臨むわけですが、最終選考ならでは様々なドラマが待ち受けています。今回は最終選考に絞ってまとめました。

序盤と最終選考、何が違う?

毎年、学生を取材していると、就活の序盤から中盤にかけては好調、という学生がいます。ちょっと話を聞く程度でも「どこかには、内定が取れそう」と感じるほど。それが、なぜか最終選考になると、途端に連戦連敗。「社会に出ていけるのか、不安になりました」と、嘆く学生が毎年、登場します。

最終選考で落ちる学生は、社会に不適合、というわけではありません。序盤の選考と最終選考の違いを理解していない、これが敗因です。では、序盤の選考と最終選考、違いは何でしょうか。まず、面接を担当するのは、序盤だと採用担当者や若手クラス。中盤だと採用担当者か部課長クラス、そして最終選考だと、社長ないしは役員が担当します。この役職の違いが選考にも大きく影響します。

序盤から中盤にかけてでは、学生の基礎能力を中心に見ます。基礎能力とは挨拶・マナー、基本的な教養などです。これをまとめると、「次の選考に上げていいかどうか」。学生のあなたが逆の立場、若手社員(あるいは課長)だったとしましょう。次の選考に通した学生が何かトラブルを起こした場合、上司や採用担当者になんと言われるでしょうか。「なぜ、あの学生を通したのか」。ひょっとしたら、軽く怒られるかもしれません。怒られないためには、基本的な部分を見ていくことになるはず。

一方、最終選考はどうでしょうか。社長ないし役員は企業のかじ取りを任されています。決断一つで数億、あるいは数十億、数百億もの大金が動きますし、もし、失敗すれば経営が大きく傾くことになります。それだけ経営にはシビアな判断を下すことが日常となっています。一方、採用については基本的な能力の確認はすでに序盤・中盤の選考で終わっています。そのうえで内定辞退ないし入社早々に退社してしまった場合、経営に大きなマイナスとなります。それもあって、志望度やマッチング、適性という点を相当重視するのが最終選考です。

就職氷河期だった2000年代半ば以降、最終選考では「ともかく、第一志望と伝えること」とのアドバイスが常態化。現在も、このアドバイスを強調する採用カウンセラーや社会人が一定数います。あながち、間違いとは言い切れないのは、志望度の高さを見ているからです。

他社の選考状況、聞かれたら

とはいえ、学生が売り手市場の中で、複数内定を取る学生が多いことも企業側は先刻ご承知です。最終選考で、受ける企業すべてに対して、「第一志望です!」と言い張ることが唯一の回答か、と言えば大きな疑問があります。

学生の回答も段々と進化してきており、ここ数年、多いのが「やり切り型」です。他社の選考状況や志望度を聞かれたときに、内定については正直に回答。選考状況についても答えていき、「御社以外に選考中の○○社が第一志望群です。○○社の選考はやり切りたいので、そこまでお待ちいただければと思います」と回答する、これが「やり切り型」です。

この「やり切り型」、それから「第一志望群」という答え方について、それぞれ否定論があります。が、無理やり「第一志望です」と言い張るよりは、まだまし、と私は考えます。

最終選考で怖い役員リスク

最終選考を担当するのは社長を含む役員。彼らが経営上でシビアな判断を下す、と先ほどお伝えしました。歴戦の猛者でありますが、一方では、単なるオジサンオバサンとも言えます。この両面も含めての役員リスクが最終選考では待ち受けています。

まずは、シビアな面から。数年前、とある運輸関連の大企業での最終選考での話です。最終選考に残ったのは、難関大生ばかり(プラス無名の地方私大生1人)。そこで志望度や学生時代の質問が出て、学生はみなきちんと回答できました。ところが、次の質問で全員が凍り付きます。

「わが社が地方創生を事業として展開する場合、何ができるか」

今なら、ふるさと納税など回答できそうなものですが、当時は安倍内閣が看板政策として出したばかり。新聞の政治面も含めて読んでいないと回答しようがありません。居並ぶ難関大生は全員、硬直。回答できず、そのまま、落ちてしまいました。

一方、オジサンオバサンの面とは何でしょうか。要するに、人間、褒められて悪い気はしないですし、あえてほめてほしい、と自分から振ることもあるよ、という話です。

最終選考という舞台では、社長・役員側があえて、「最近気になるニュースは?」と聞いてくることがあります。この質問、序盤・中盤だと企業に関連したニュースでなくても問題ありません。しかし、最終選考で出た場合、そうとも限りません。

たとえば、その企業が日本経済新聞のどこかの面で大きく出ていたとしましょう。それもポジティブな内容だった場合、その企業の社長、役員はそのことを知っています。そこに最終選考を迎えれば、学生に「気になるニュースは?」と聞いてみようかと思うわけです。もちろん、「その記事を読んだ、すごいですね!」という回答を期待しているかもしれません。そこまであからさまでなくても、読んだ、という程度の反応は期待しています。

ところが、「阪神タイガースが連敗したことです」「ボクシングのあの判定はおかしいと思いました」との答えが返ってきたとします。先ほどまでお花畑を歩いていたような社長・役員の心象風景は一変。中島みゆきの「荒野より」(2011年)がテーマ曲となるくらいの、荒涼とした風景に変わります。

読んだかどうか知りたかっただけなのに、ほめてほしいだけだったのに、なぜスポーツの話になるのか、この学生はよほどうちに関心がないのか。だったら落とそう。これが役員リスクと言うものです。

最終選考に落ちた企業への再挑戦は

最終選考に落ちた企業がどうしてもあきらめられない学生もいます。近年は選考終了後にフィードバック面談を設ける企業も多いため、やっていない企業に対して「落ちた理由を教えてください」と訴える学生も少なくありません。要するに、「悪いところは直すから、もう一度、選考を受けさせてほしい」ということでしょうか。

もし序盤・中盤の選考で落ちた場合だと、学生が本来のパフォーマンスを発揮できなかった、という事情も考えられます。この場合、再挑戦して、どうにかなった、という例もあります。私の高校時代の先輩が某局アナウンサーなのですが、確か1年就職留年をしていて、翌年に内定、入局しました。

しかし、最終選考で落ちた場合はどうでしょうか。その学生についてマッチングができなかった、企業に合わない、と判断されるケースが大半です。この判断を覆すのは難しく、あきらめる方がいいと私は考えます。

まれに、ではありますが、企業側から最終選考で落ちた学生に「わが社への意欲があるなら、もう一度、面談の機会を作る」というケースがあります。これは、志望度が高く、適性もあっていたにもかかわらず、志望部署とのマッチングが合わずに落とした、という事情があります。加えて、内定辞退者が出た(あるいは在籍社員が異動などで不足)ので、本来なら「補充で内定」とすぐに伝えたいところ。ただ、それだと格好がつかないのでワンクッション置くために、「もう一度、面談を」という次第。ま、こういう例はごくごく少数です。

初期ではイタい、最終では妙手の企業研究ノート

最終選考での逆転、ということであれば、多いのは選考後のフィードバック面談です。特にない企業でも懇意になった採用担当者との雑談なども該当します。このときに威力を発揮するのが企業研究ノートや企画書などの飛び道具。こうした飛び道具、序盤・中盤で使う学生はそこそこいますが、イタさが目立つだけです。ところが、志望度の高い企業について、コツコツ作っている学生は誰に見せるわけでもなく、頑張ってノート・企画書を作っていきます。これが思わぬ妙手となって逆転することがあります。

ある流通企業の総合職の最終選考でうまく話せない学生がいました。終了後、採用担当者と雑談する機会があり、「どうしても御社に入りたかったのに、面接でうまく話せませんでした。入社したら、こういう仕事がしたい、と自分なりに調べてきたのですが」と企業研究ノートを見せたのです。採用担当者が読んでいくと、あるページでめくる手が止まります。「これ、ちょっと預からせてくれ」。そう言ってノートを取り上げ、1時間後、この学生は内々定通知をもらいました。

面接ではうまく話せなかった学生がどうして内々定まで行ったのでしょうか。実はこの企業研究ノート、相当細かく、創業者の生誕100年が翌年にあたることまで調べていました。ところがこの流通企業、社長から採用担当まで、創業年は覚えていても生誕年は忘れており、行事を予定していなかったのです。この学生の企業研究ノートで救われた、という次第。ただ、単に内々定だけで、その後、金一封くらいあったかどうかは聞いていません。

日経テレコン21で最終確認を

企業研究ノートを無理に準備せずとも、実は簡単な方法があります。それが日経テレコンです。大きな大学のキャリアセンター・図書館や公立図書館の大規模館には、入っている可能性が高い記事検索システムです。名称通り、日本経済新聞社が運営していますが、記事検索できる新聞は日本経済新聞や関連新聞・雑誌(日経MJ・日経ビジネスなど)だけではありません。全国紙・地方紙から専門雑誌も含みます。

この検索システムで最終選考に残った企業名を検索すると、膨大な量がヒットするはずです。そこそこの規模の企業だと、役員の人事異動まで出てきます。細かいものまで全部読まなくても、できるだけ新しい記事を中心に読んでいくとそれだけで企業研究が進みます。まあ、できれば新聞は普段から読んでおきたいところですが。

先ほど、役員リスクのところでご紹介した「わが社が地方創生を事業として展開するにはどうすればいいか」という運輸企業の最終選考も、ある学生(地方の無名私大)だけが答えられました。理由は簡単で日ごろから日本経済新聞を読み、地方創生についても学生なりに考えていたからです。結果、無名私大ながら、難関大生を抑えて内定を得ることができました。「日経読めば内定が取れる」は言い過ぎにしても、「就活に有利」は嘘ではありません。こういう事例は最終選考でもそれ以外でもいくらでも挙げることができます。

「最後の質問は」でダメ押しも

もし、本当に第一志望という企業で、志望度が聞かれなかったら、「最後にご質問などありますか」でダメ押しの自己PRという手を取る学生もいます。「質問ではないのですが、御社への思いをお伝えしてもよろしいでしょうか」などと前置きしたうえで、第一志望が高いことをアピール。そこまで話してくれるなら、ということで内定に至った例もあります。まあ、「最後の質問」ですから長々話すと逆効果になりかねません。でも、数分話すくらいなら、自己PRとしても有効です。悲喜こもごもの最終選考、さて読者の皆さんはどんな結末を迎えるでしょうか。

石渡嶺司(いしわたり・れいじ)
 1975年札幌市生まれ。東洋大学社会学部卒。2003年から大学ジャーナリストとして活動開始。当初は大学・教育関連の書籍・記事だけだったが、出入りしていた週刊誌編集部から「就活もやれ」と言われて、それが10年以上続くのだから人生わからない。著書に『キレイゴトぬきの就活論』(新潮新書)、『女子学生はなぜ就活で騙されるのか』(朝日新書)など多数。

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