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気候変動の今2017(5)環境業界で働きたい
就活で「経験」を武器にする方法

authored by Climate Youth Japan
気候変動の今2017(5) 環境業界で働きたい就活で「経験」を武器にする方法

 「ESで書くことがない...」。おそらく、就活生にとっては"あるある"だと思います(笑)。僕の場合は、環境問題に取り組む企業に行きたかったのですが、「環境業界で働くための武器」が何もありませんでした。

こんな顔してます(笑)

 ということで、はじめまして! 僕は津田啓生と言います。普段は青年環境NGOのClimate Youth Japan(以下CYJ)で活動しており、大学院で温暖化問題と再生可能エネルギーの勉強をしています。今回は、NGOでの2年間の経験について話すことで、どうすれば「経験」が「武器」になるのかということをお伝えできればと思います!その上で、国際会議で感じた世界と日本の温暖化対策における「熱量」のギャップについてお話します。環境問題に関心のある人には、ぜひ全部読んでほしいですが、将来に悩んでいる人にも、飛ばしつつ読んでほしいです!

インターンのESが書けなかった3年の夏、環境NGOに飛び込んだ

 最初に書いたように、僕は3年の夏にインターンをしようと思いました。真っ先に浮かんだのは、環境省!単純ですよね(笑)早速申し込もうとしますが、志望動機が書けないんですね。特に「なぜ環境省でないといけないか?」が書けない。なんとか薄っぺらい志望動機を出しましたが、すぐにお祈りメールが届きました。その時、「自分には武器がない。就職するためには武器が必要だ!」と思いました。

Conference of Youth in TOKYO(COP21直前の若者の国際会議)にて

 そこで思いついたのが、環境業界に飛び込むということでした。単純ですが、それ以外何をすれば良いか分からなかったというのが正直なところです。早速、ゼミの教授に相談し、気候ネットワークという温暖化関連のNGOを紹介してもらいました。とりあえず気候ネットワークに通い始めると、そのNGOが温暖化の国際会議"COP21"に向けたインターンを募集するということを聞きました。武器を求めてNGOに来た僕は、直感で「これしかない!」と思いました。この時は、後に温暖化の国際条約「パリ協定」が採択される年で、世界中がCOP21に注目していました。この時点で大学院進学を選び、環境問題に関わる仕事ができるように、3年かけて自分の武器を磨こうと決意しました。

 そこからの1年(2015年)は怒涛の日々でした。毎週のように温暖化に関するプレゼンをし、国際法の英文を和訳するという毎日が続きました(おかげで、温暖化の国際法が理解できるという超マニアックな能力が身に付きました。武器1号です(笑)。そういった日々を送る中で、現在所属するCYJの吉岡渚さんと出会い、そこで活動する多くの若者を紹介してもらいました。同じことに関心を持ち、活動している学生がこんなにもいるのかと、仲間ができたことが嬉しかったです。こうして気候ネットワークとCYJという2つの団体に所属し、年末のCOP21に参加する準備を進めました。

国際会議で知る、世界の熱量

 COP21では、主に気候ネットワークの業務のサポートとして、情報収集や英文和訳を担当しました。それに加えて、会議の要所にはモニタールームで会議の進展を見守りました。温暖化対策と言えば、「中国やアメリカが対策しないと意味がない」「途上国もCO2を減らすべきだ」といった声をよく聞きます。しかしこのCOP21では、中国やアメリカがリーダーシップを取り、先進国・途上国が共に歩み寄る姿勢を見せました。特に2009年に世界的な温暖化対策の国際ルールを決めることに失敗しており、このCOP21が最後のチャンスだという危機感がありました。

 こうした熱量・危機感により世界が一つとなり、最終的にパリ協定は合意に漕ぎ着けました。特に驚いたのは、条約の目標として「今世紀後半中の温室効果ガス(CO2など)の排出を実質ゼロにする」という内容が書かれたことです。21世紀中にCO2を出さない世界へと大転換することが、195か国と1地域の合意で決まったのです。議長や交渉官は抱き合い、涙を流し喜んでいたのが印象的でした。

パリ協定の合意後、抱き合う議長や交渉のトップたち(津田撮影)

 このような熱も冷めやらないうちに、私は日本に帰国しました。しかし、日本ではパリ協定はそれほど注目されていませんでした。各国はCO2を出さない新たな社会を構築しようと戦略を練る中で、日本は今までの延長で何とかならないか?という議論が続いていました。巷でよく言われる「環境先進国」という評判に安住していては、すぐに世界に置いていかれるのでは?と危機感を持ちました。特に最近は"お家芸"と呼ばれていた日本の家電がグローバルな競争に敗れはじめていたので、同じことが環境分野でも起こるのでは?と思いました。

 この「日本の現状を何とかしたい」という思いが、現在の僕のモチベーションです。今は複数のNGOで省庁に対しロビイング活動に参加し、若者向けのワークショップ開催に打ち込んでいます。このように自分で問題意識を持ち、NGOで主体的に活動したことも、自分の大きな武器になりました(武器2号?)。また、自分が国際会議で感じたことを他のユースにも体験してほしくて、後輩の育成にも力を入れています。

経験を武器に就活へ

 僕は今、就活が終わったところです。この2年間は、上で書いていないことも含め、NGOで経験を積む中で何度も壁にぶち当たりました。その度にもがき苦しみながらも進んできたので、就活が始まる段階では自分がどのような強みを持っていて、将来何をしたいかがはっきりしていました。また業界における各企業の役割や強みといった全体像を把握できていたため、企業探しや企業とのマッチングもスムーズでした。

 僕は環境問題にも取り組むシンクタンクに就職します。将来、様々な人や企業をつなぎ、かつ面白い経験や機会を提供できる人になりたいからです。そのためにまず、環境に関して色々なことができる人材をめざすつもりです。

 今回は、就活で行き詰まり、学生の間に環境業界に飛び込んだことで、新たな武器とモチベーションを見つけられたことをお話しました。みなさんも、もし将来のことで行き詰まりを感じたら、「学生の間に業界に飛び込んでみること」をお勧めします!月並みですが、現場に行ってみないと分からないことって、やっぱりたくさんあります。そして、学生を受け入れてくれる社会人や企業は思っている以上に多いです。僕の経験はほんの一例ですが、この話が少しでも多くの人のお役に立てればと思います。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました!

後列右から3人目が筆者

参考URL
気候ネットワーク Webサイト
Climate Youth Japan Webサイト
・パリ協定解説パンフレット(気候ネットワークWebサイト内、ダウンロード可)
 http://www.kikonet.org/info/publication/pamphlet-paris-agreement

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