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チェック!今週の日経(13)宇宙ビジネス、世界で勝てる?
「みちびき」打ち上げ成功で広がる未来

チェック!今週の日経(13) 宇宙ビジネス、世界で勝てる? 「みちびき」打ち上げ成功で広がる未来
準天頂衛星「みちびき」

 日経の研修・解説委員や日経カレッジカフェの編集スタッフが、この1週間の日経電子版や日本経済新聞から企業ニュースを中心にピックアップし、解説する「チェック!今週の日経」。この1週間は2018年春に卒業する大学生・大学院生に対する経団連加盟企業の面接選考が解禁され、企業回りに忙しい皆さんも多いと思います。そんな中、解禁日と同じ1日に打ち上げられた準天頂衛星「みちびき」のニュースに目を留めた方もいるのではないでしょうか。今回は「みちびき」に関連した宇宙ビジネスのニュースを紹介してみましょう。

日本版GPS、ビジネスチャンスに

記事

 2日の朝刊13ページ、企業総合面に次のようなニュースが掲載されました。

日の丸GPS、誤差6センチ 衛星「みちびき」成功(6月2日)

 準天頂衛星「みちびき」の打ち上げ成功を受けた解説記事です。今回打ち上げに成功したのは「みちびき」の2号機で、2018年春までにあと2基を打ち上げて4基体制とし、これによって日本版GPS(全地球測位システム)の精度を、現状の誤差10メートルから誤差1メートル以下にできるのです。地上設備と組み合わせることで最小誤差は6センチメートルといいますから、きわめて正確な位置情報を提供できる仕組みになります。

無人トラクター
準天頂衛星「みちびき」を使い、豪でトラクターが無人走行した

 このことによって、様々なビジネスチャンスが広がるとみられており、そこに向けた個別企業の動きもこの記事では伝えています。例えば、日立造船の動き。離島などに荷物を運ぶドローン(小型無人飛行機)への応用に取り組んでいて、熊本県天草地方で離島に物資を運ぶ実験に成功しました。無人のトラクターを稲と稲の間を走らせる実験も実施。みちびきの電波が届くオーストラリアや東南アジアでのビジネスも検討中ということです。

 大林組の取り組みはショベルカーなど建設機械の無人運転です。建設現場でクレーンが電線に触れないように位置を細かく把握しながら動かしたり、ショベルカーで土を掘る際に深さを確認できたりする機器を開発しました。GPSの精度が上がることで、無人運転の精度も上がり、現場の人手を減らすことができるわけです。

 開発競争が進んでいる自動車の自動運転も日本版GPSの利用で一段と実現しやすくなるでしょう。その手前では、カーナビの精度向上も図れます。1メートル以下の誤差に収まれば、例えば交差点で右折するとき、どのレーンを進んだらいいかまで細かく導くことができるようになるのです。

衛星ビジネス、海外勢との競争激しく

 「みちびき」打ち上げ成功のニュースに関連して、衛星打ち上げビジネスと衛星ビジネス、さらにはGPS以外にも広がる衛星サービスなど、宇宙ビジネスのさらなる広がりについても様々な視点が出ていました。三菱電機と三菱重工業の宇宙ビジネス戦略をまとめたのが打ち上げ翌日、2日の日経産業新聞に掲載された次の記事です。

三菱電機の「みちびき」 コスト3割削り海外勢に勝つ(6月2日、日経産業新聞)

H2Aロケットは3月まで27回連続で打ち上げに成功している(三菱重工が4月に公開した34号機の機体)

 日経電子版には日経産業新聞、日経MJなどの専門紙に掲載した記事も一部転載されていて、この記事は電子版の「日経産業新聞 Editor's Choice」という連載コラムで読むことができます。

 この記事を読むと、衛星ビジネスは官需中心から民需主体へと、需要構造が大きく変わってきていて、そうした需要の変化にいち早く対応した海外勢に日本企業は遅れをとっているという実情がわかります。三菱電機は高い生産管理技術を総動員してコストを3割削減し、海外勢との競争に勝ち抜く戦略を描いています。打ち上げロケットを受託製造する三菱重工の方でも、実績を積み重ねている打ち上げの成功確率に加え、打ち上げコスト自体を削減する取り組みが進んでおり、グループ全体で宇宙ビジネスの国際競争力を高める取り組みが始まっています。

(企画委員 水柿武志)

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