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よくわかる「フィンテック」
AI活用も続々

よくわかる「フィンテック」AI活用も続々

 金融とIT(情報技術)を組み合わせた「フィンテック」。新たなサービスが次々と実用化されており、「金融の常識」を大きく塗り替えようとしている。仮想通貨や人工知能(AI)の活用、決済の新しい形まで、フィンテックのポイントをまとめた。

仮想通貨やAIが軸

 まずは「ビットコイン」など仮想通貨の流通だ。デジタルデータの改ざんを事実上不可能にする「ブロックチェーン」という技術が考案され、政府や中央銀行に頼らずに価値を保つことが可能になった。

 家電量販店に居酒屋、公共料金の支払いなどビットコインを使える場面は急増している。いまや国内の利用者は数十万人にのぼるという。

 AIの活用もフィンテックの大きな柱だ。資産運用の世界では、銘柄選別をAIに委ねる「AI投資信託」が相次ぎ投入され、投資家の人気を集めている。銀行業界ではAIによる融資審査が実用段階に入り始めており、各行はシステム開発などを競っている。

ビットコインを使える場所が増えてきた(東京・六本木のバー「Two Dogs Taproom」)

 決済の分野でも大手IT企業などがスマートフォン(スマホ)を使った新しいサービスを相次ぎ発表し、「買い物」や「支払い」の形は様変わりしつつある。インターネットを介して不特定多数の人から出資を募る「クラウドファンディング」もフィンテックによって可能になった新たな資金調達の手段だ。

 背景には2つの変化がある。ひとつはここにきてコンピューターの性能やAIの技術などがさらに進んだこと。もうひとつがスマホが一般的になったことだ。専用のアプリなどを搭載すれば現金振り込みなど「金融サービスの窓口」を気軽に持ち歩けるようになった。そもそも金融とIT(情報技術)は相性がいい。金融取引はデータのかたまりといえ、それをどう分析・利用するかで可能性が一気に広がってくる。

勢力図、様変わりする可能性

 フィンテックという新たな成長領域に投資マネーは勢いよく流れ込んでいる。米調査会社のベンチャースキャナーによれば、今年4月下旬時点でフィンテック関連のベンチャー企業は世界で2180社を数え、ベンチャーキャピタル(VC)によるこれまでの投資額は合計で644億ドル(約7兆1700億円)にのぼる。

 金融業界の勢力図は様変わりするとみられている。米シティグループはフィンテック系ベンチャーの成長が続けば2025年までに欧米の銀行員の3割が職を失うと予測。米バンク・オブ・アメリカも金融業で将来2500万人分の職がなくなると試算する。麻生太郎金融相は「(銀行の)支店はそのうちなくなるだろう」と語ったことがある。

 その一方でIT企業がベンチャー勢が新たな金融サービスを展開していけば、われわれにとっては振り込みや投資などがどんどん便利になっていくはずだ。フィンテックは生活や社会のあり方をも大きく変える可能性がある。
[5月5日付日本経済新聞朝刊記事をもとに構成、日経電子版から転載]

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