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研修・懇親会に出ないと内定取り消し?

ホンネの就活ツッコミ論(16)

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NIKKEI STYLE

内定承諾を決めると内定者懇親会や研修はあるものの、学生は気軽となる。これが例年のパターンでした。そこでこの連載でも、内定辞退については6月1日公開の13回目「内定ラッシュで悩む学生 どうする?内定辞退」ですでに掲載済みです。しかし、内定を取った後も悩む学生が例年以上に多く、私もいくつか相談を受けました。そこで、今回のテーマは「内定後も悩む就活生」です。

内定者懇親会は行かないと内定取り消しになる?

内定が決まれば内定者懇親会を企業側は開催します。某通信大手は6月に入ってから3回も開催したとのこと。当然ながら、飲食等でかかる費用は企業側の負担です。さらに、内定者懇親会で内定学生を全国から集めるとき、交通費・宿泊費を全額出す企業も増えてきました。なんだか、バブル期を彷彿とさせるような話です。

「タダで飲み食いできて楽しかった」と、話す学生がいる反面、ため息をつく学生もいます。「うちの学科、卒論やその準備が大変で内定者懇親会、なかなか行けません。懇親会に行けないと、内定取り消しになるのでしょうか」。そんな馬鹿な。内定は、労働契約が成立している、とするのが一般的です。労働契約が成立していれば、労働基準法が適用され、学生であっても労働者と同じく解雇の4要件(人員整理の必要性、解雇回避努力義務、被解雇者選定の合理性、手続きの妥当性)に当てはまるかどうかが問われます。

要するに、本社と工場が地震で壊滅、企業活動が継続できないとか、よほどのことがない限り、解雇の4要件に当てはまることにはなりません。内々定段階だと、労働契約は成立していない、となります。が、この場合でも内定取り消しをした場合、民法の信義則違反が問われる可能性が高くなります。どちらにしても、内定者懇親会を欠席した程度で内定取り消しになる可能性はきわめて低いでしょう。

内定者が仲良くなっても困る企業も

手間と費用をかけてまで企業が内定者懇親会を開くのは内定者同士、仲良くなってもらうためです。仲良くなれば同期としての結束が強くなり、それはひいては企業にとってプラスになります。ところが、仲良くなりすぎてむしろマイナスの影響が出る企業も出てきました。

ある金融機関A社は福利厚生が充実している企業です。しかし、入社後1年間はコールセンター勤務などが基本となります。私のところに相談に来た学生はもともと金融志望ではありませんでした。IT技術と企画の融合に興味を持つ中で志望度が上がっていったとのこと。つまり、金融の厳しさを分かったうえで内定を得たわけではありません。やたらと福利厚生の良さを強調する割にコールセンター勤務をわかっていなかったので、聞いてみました。

「コールセンター勤務って、きつい仕事と言っていなかった?」

「ちょっときついかも、とは言っていました」

「どういう仕事?」

「カード利用のお客さんに案内をするとか」

それはすなわち、返済を促す電話です。

「あのさあ、使っておいて返せればいいけどさ。返済できないから延滞している利用者に『金返せ』と電話をするのって、きついよ」

こんな話をしたところ、すっかり意気消沈。結果、別の社の内定を承諾することとなりました。

それはいいのですが、後日、改めて聞くと、LINEで内定者のグループを作っており、そこで私の話を含め情報をすべて共有したとのこと。私とほぼ同じ話を他の内定学生も大学キャリアセンターなどから聞いたらしく、それも共有。結果、内定辞退の連鎖反応が相次ぎ、内定者グループのうちの3割もの学生が辞退したそうです。

親の承諾書、大学の推薦書はオワハラか、それ以外か

企業によっては、親の承諾書、大学教員かキャリアセンターの推薦書を必要書類とする企業もあります。これも学生からすればプレッシャーになります。承諾書・推薦書提出後に内定辞退をしてもいいものかどうか、悩むからです。ただし、内定承諾書と同じく、学生の内定辞退を法的に抑止するものではありません。企業からすれば、心理的な抑止効果を狙ったものです。

そこで、それを見越して大学によっては、「いくらでも推薦書類は作ってやる。それで気に入らないなら内定辞退をすればいい。それで企業がゴチャゴチャ言うなら、そのときは我々の出番だ」と、学生を応援するところもあります。一方で、「推薦書は学長印も必要だし、そんなものを軽々しく扱うわけにはいかない」として、発行を敬遠する大学もあります。 中には、企業のオワハラを警戒しすぎてか、キャリアセンター職員が推薦書提出を求めた企業に怒鳴り込みトラブルになった事例も。

では、企業が内定学生への心理的抑制効果を狙ったものばかりか、と言えばそうでもないようです。「親の承諾書は、親御さんにちゃんと報告してね、という意味合いもあった。大学の推薦書も同じ。ちゃんと内定報告をしておいてね、という意味が強かった。それが、今ではオワハラ扱い。ばかばかしいからうちはもうやめた」とは、とある商社採用担当者の談。

9月までは企業も怖い内定辞退

内定者フォロー・新入社員研修SNS・エアリーフレッシャーズを運営するEDGE株式会社は6月、2017年卒向けサイトを利用した内定学生3万人への調査を発表しました。この調査によると、選考解禁となった6月が内定辞退のピークであり、そこから9月ごろまで内定辞退が発生します。10月(内定日)以降はさすがに減りますが、入社直前の3月に再度、内定辞退率が上昇するとのこと。

企業からすれば、夏場をどう乗り切るかが正念場です。売り手市場を反映してか、内定者SNSの利用で内定辞退の防止を考える企業が増加。EDGE社のSNS・エアリーフレッシャーズも、2018年卒の利用企業は前年比2割増だそうです。佐原資寛社長は、内定辞退について次のように話します。「入社直前の内定辞退は単位を落として卒業できない、などの理由もあります。が、企業には黙っていて複数内定を持ち、電話で辞退してきた、という事例もありました」。

入社直前、土壇場での内定辞退は企業担当者からすれば避けたいところ。そのため、内定者SNSの利用企業が増えています。「内定辞退を考える学生は人事担当者や同期とのコミュニケーションを無意識のうちに避けるようになります。これが内定者SNSやFacebook・LINEのグループだとログイン頻度・書き込み回数が減ってきます。その際、Facebookなどでは採用担当者が内定者動向を把握することは難しいでしょう。しかし、内定者SNSならその動向を確認できます。特に弊社のエアリーフレッシャーズでは過去10年の追跡調査から辞退予備軍検索機能を搭載しています」(佐原社長)。

内定者研修でやりすぎ企業も

内定学生を暗くさせるのは内定者研修・インターンシップです。企業からすれば、翌年4月からは新入社員。企業の戦力となるわけで、できれば早めに研修に着手したいところ。また、できれば採用活動を手伝ってほしい、という思いもあります。

と言いますのも、就活イベントで内定学生を連れていくと、それだけで参加学生は盛り上がります。何しろ、目の前にいるのは就活勝ち組です。企業選択はどうしたか、SPI対策は、面接はどう乗り切ったか。聞きたい話はいくらでもあります。そのため、企業の多くは内定者インターンシップとして、説明会時期などを事前に提示。参加できる日程で受付や学生対応などの応援に入ってもらいます。なお、参加しても、基本的には交通費(遠隔地からだと宿泊費)を支給のみ。あとは「個人レベルでちょっとおいしい店に連れて行ってご飯をおごる程度です」(某メーカー採用担当者・談)。

これも参加したから高評価で、不参加なら内定取り消し理由になる、なんてことはありません。一方、内定者研修はマナー講習や商品・製品理解講座、あるいは業務に関連する資格のための勉強会などです。企業からすれば、内定者に早く戦力になってほしい、という思いから内定者研修を実施します。

ところが、この思いもともすれば空回り、すれ違いとなり、ひいては内定学生への負担となります。2例ほど紹介しましょう。

「関連資格の勉強がもう大変。必要かもしれないけど、大学の勉強にも影響が出てしまいます」(IT会社の内定学生)

「夏のインターンシップ、後輩学生を集めるためにチラシを大学で配れ、と言われた。ただ、うちの学生は内定先の業界に興味を示さない学生ばかり。サークルやゼミの後輩にも呼び掛けたのですが、反応がいまいちで。このままだと、誰も参加しそうにないのですが、人事考課に影響がありそうで怖いです」(不動産業の内定学生)

なお、後者は、その大学のキャリアセンター職員に聞くと、渋い顔でした。その企業に対しても怒っているのですが、それだけではありませんでした。「うちの大学も似たことをやっているのですよ。入試広報課の学生スタッフに対して、高校の後輩をオープンキャンパスに連れてきたら、図書カードプレゼントとか。地方出身の学生だと、帰省する際に、母校に立ち寄り、パンフレットやノベリティを進路指導の教員に渡してくれたら、交通費の一部を出すとか。そういうのを考えると、内定者に過大なことをやらかす企業をあれこれ言える義理がなくて」。企業だけでなく、大学も色々大変なようです。

将来はわからない

複数内定を持った学生、あるいは、一度は内定承諾をした学生からも、「どの社がいいですか」「内定先、このまま伸びるでしょうか」と質問をよく受けます。それがわかっていれば、この石渡、株式投資で今頃、六本木ヒルズあたりで飲み明かしているところです。

そうなっていないのは、株式投資の元金がないだけでなく、予測不可能だからです。私個人の話を少々。2003年にライターになった当初、とある週刊誌の外部ライターとして4年ほど働いていました。当時、ライターは週刊誌か月刊誌に定期的に記事を書いていないと、よほど著作を数多く出していない限り、生活することは不可能、と言われていました。さて、その後、私は書籍刊行がメインとなり、雑誌記事は今年6月、週刊朝日にコラム(それも大学・就活とは無関係の死生観について)を書きましたが、実に4年ぶりのことでした。

では、その間、無収入だったか、と言えばそうではありません。この日経カレッジカフェを含めてネットメディアで記事を書けば生活することが可能です。ライターとなった2003年当時、こういう未来を予想していたか、と言えば全く想定していません。私の例で恐縮ですが、かくのごとく、未来は誰もわからないのです。

しかし、未来はわからなくても自分自身をどの程度、強くできるかどうか、それはわかるはずです。自分自身が強くなっていけば、社会が変わっても、違うところから評価されていきます。内定学生の皆さんには内定者研修だけでなく、残り少ない学生生活を楽しみながら(あるいは勉強もお忘れなく)、卒業を迎えてほしいと思います。

石渡嶺司(いしわたり・れいじ)
 1975年札幌市生まれ。東洋大学社会学部卒。2003年から大学ジャーナリストとして活動開始。当初は大学・教育関連の書籍・記事だけだったが、出入りしていた週刊誌編集部から「就活もやれ」と言われて、それが10年以上続くのだから人生わからない。著書に『キレイゴトぬきの就活論』(新潮新書)、『女子学生はなぜ就活で騙されるのか』(朝日新書)など多数。

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