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移り変わる就職人気企業
今は食品・娯楽

移り変わる就職人気企業今は食品・娯楽

 就活生が就職したい企業の人気ランキングを見ると、日本の産業構造の変化が浮かび上がる。バブル景気の余韻がまだ残っていた1990年代前半までは電機や自動車、ゼネコンなど「重厚長大」企業が上位を占めていたが、現在は食品やサービス産業が目立つ。米国ではグーグル、アップルなどIT(情報技術)系の人気が高いが、そうした人気企業が現れないのも日本の特徴だ。

NEC、93年まで12年連続トップ

 就職情報サイトのマイナビ(東京・千代田)がまとめている就職人気ランキングを見ると、バブル真っ盛りの1989年には理系男女は上位からNEC、ソニー、富士通、日本電信電話(NTT)、日本アイ・ビー・エム、松下電器産業(現パナソニック)、日立製作所などが並んでいた。東芝も9位。NECは「PC-9800シリーズ」で日本のパソコン市場を席巻し、「日の丸半導体」の代表格として君臨していた時期だ。1982~93年まで12年間連続でトップの座を守り続けた。

 当時は20位内に鹿島など大手ゼネコンも入っていた。建設需要が高止まりし、この世の春を謳歌していたため学生の人気が高かったようだ。

 2017年の調査を見てみると、そうしたバブル期の人気企業の多くは姿を消している。一時低迷していたソニーは首位に返り咲いたが、NECは50位圏内にも残っていない。経営再建中の東芝の名前はない。ゼネコンでは清水建設が43位に入る程度だ。

安定した食品が躍進

 一方で、躍進が目立つのが食品だ。2位に味の素、4位に明治グループ、5位にサントリーグループとなっており、6位のトヨタ自動車よりも上だ。アサヒビールやオハヨー乳業、キユーピーなども順位を上げ20位圏内に入った。日本の電機産業の国際競争力の低下が叫ばれるなか、景気に左右されにくい安定業種を志向する学生が増えている。

 文系ではバブル期も今も空運・旅行・金融の3業種が人気が高いという構図は同じだ。大きく違うのはメディア・広告が低迷し、サービス産業が台頭していること。89年は7位に電通、22位に朝日新聞社、26位に東京放送(TBS)などが入っていた。それが今年は激変。新入社員が過労で自殺した電通は29位に落ち、放送・新聞は50位内に1社もない。バブル期に人気のあった三井不動産や三菱地所も消えている。

 代わりに資生堂やオリエンタルランド、バンダイ、ニトリ、タカラトミーグループなどが上位に食い込んだ。理系同様に不景気に強く、生活に身近な企業の人気が高まっている傾向がみられる。

 バブル期からこの間に急成長したユニクロのファーストリテイリングやソフトバンクグループ、楽天などの名は無い。株式市場で評価の高いエムスリーやカカクコムなども人気があるとはいえず、学生がブランド力を重視する傾向はバブル期から変わらないといえそうだ。
(栗原健太)[日経電子版2017年6月1日付]

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